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ヘタレ女の料理帖番外編  作者: 津崎鈴子
2/17

あの人達のあの日あの時。(魚六のマサキ編)2

ゴールデンウィークの企画の後の打ち上げで、ユキちゃんの色気に心を撃ち抜かれ、ついつい口説きモードに入ってしまったが、突然やってきた嵐に邪魔をされてしまった。


「ユキちゃん、会いたかったよーーーー!!」


ユキちゃんにしがみついた女子高生風の女の子に目を向けると

すごい勢いで睨まれる。


照明の加減か、うすぼんやりと照らされるその顔は、ホラー映画の幽霊のように俺を恨みがましく睨みつけ威嚇する。


はぁ?お前は誰だ?!


憎しみのこもった瞳で見られる筋合いないよなぁ。こいつ初見だし。


ああ、こんな目で威嚇されんの、高校以来だよなぁ。

ユキちゃんにしがみついてるガキんちょを見てユキちゃんも

すごく混乱していた。


挙句の果てにガキんちょは泣きわめくし、ユキちゃんはオロオロするし。


「ごめん、今日は帰るわ」


「お、おう……気を付けて」


くそ。いい雰囲気だったのに。


ガキんちょ連れて帰るユキちゃんの背中を見てすごく気を使っている様子に、謎は深まる。


しかしあいつは誰なんだ? 


モヤモヤした感情を抱えて夜は更けていった。



☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・゜☆.。.:*・


 翌日、タカシに昨日の出来事を聞かれた。


なんか、俺がガキんちょに睨まれてちょっと昔の顔に戻りそうだったって

冷やかされた。


え?そうだっけ??いや、突然睨まれて威嚇されたらついつい昔の自分が


出てきそうだったけど、さすがにガキ相手にマジ喧嘩は仕掛けないよ。


「しかし、あのガキんちょ、誰かに似てた気がするんだよね」


そう、あの目。なんか、昔に見たことある。


あのガキんちょとは初見だけど知り合いにそっくりなんだ。


ああいう目をする奴は過去の知り合いにごまんといるから特定できない自分が情けない。


「俺も見たことある気がするっつーか、誰かに似てる気がするんだよ」


タカシも考え込んでいる。


 そんな話で頭を捻っていると、井戸端ばあちゃん達がユキちゃんと

ガキんちょを捕まえて話を聞き出しているのが見えた。


今日は大人しいガキんちょは、肩を落としている。


「やぁ、昨日はお疲れさん」


にっこり笑顔のタカシが手を振る。

タカシのこういうところ、すごいよ。昨日の状況がフラッシュバックして

ちょっと考え込む。


「昨日は、その、どうも」


ガキんちょに視線を向ける。やっぱり誰かに似てる気がするんだよなぁ。


誰なんだろう。


「ハルカこそごめんなさい。ちょっと気が動転してて」


昨日の臨戦態勢はなりを潜め、ガキんちょは素直に謝ってくる。


だいぶ反省しているところを見ると、ユキちゃんに怒られたのか?


ガキんちょの生態はイマイチわからない。ま、興味もねえが。


「ところで彼女、誰なの?」


タカシが興味津々で話しかける。


「幼馴染のハルカちゃん。何も言わずにエミさんとこに手伝いにきたもんだから心配してくれてたらしいんだよね。

昨日のテレビに映ったのを見て、ここまで探しに来てくれたの」



ユキちゃんの幼馴染か。


ユキちゃんはよっぽど地元では慕われていたんだなぁ。


わざわざ追いかけてくるくらいだもんなぁ。


「へえ、ハルカちゃんっていうんだ。お姉ちゃんとかいない?」


タカシが聞くと、ガキんちょは、居る、と素直に答える。


「ハルカのお姉ちゃんは結婚してるよ。アヤメっていうの」



アヤメ!!!!!



その名前に俺とタカシは固まった。

しかし、タカシはそういうの隠すの上手いからその名前をへえ、と聞いてにこにことしている。


「じゃぁ、俺ら後片付けの見回りあるし。気を付けてね」


とタカシに引っ張られるように後にした。


ユキちゃんたちと、会話が聞こえないであろうところまで離れると


ふたりしてため息をついた。


「おいおい。北高のアヤメ姐さんの妹か?姐さん結婚してたよなぁ」


タカシが固まっている。それもそのはず、俺らが高校生の頃、


ちょっと喧嘩三昧な日々を過ごしていた時によく小競り合いを


していたグループの頂点てっぺんだった人だ。

北高の殺女アヤメといえば、最凶の女だ。


鉄パイプ持った男を素手で半殺しにしたっていう話はこの界隈では超有名。


俺らとはちょっとした因縁で仲良くなって以来、俺らのガッコと北高は


同盟結んで不可侵条約を交わして平和にやってるって話。遠い昔のワルかった時代の話だ。


よく見れば、確かにアヤメ姐さんに似てる気もする。


「年の離れた妹がかわいくてさぁって写真持ち歩いてたよなぁ……」


タカシ、ため息をつく。


「そんな偶然あるのか?」


「わからん。でも線は濃厚だなアヤメ姐さんに会う機会があったら聞いてみるよ」


ふたりしてため息をついた。






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