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僕がいる世界はデスゲーム  作者: ルキ
第1章「街に現る」
2/3

2


(サキミ…)


「えぇ。現在タナルシティ5番地に巨大生物が接近中。避難して下さい。」


テレビのニュースから僕にとって最悪な情報が流れてきた。

そう。僕の大切なサキミがタナルシティ5番地に住んでいるからだ。


(早くサキミに連絡しなきゃ)


僕はすぐさまTwitterでサキミにメッセージを送った。


"大丈夫??生きてるよね??こう言う時は人という字を3回書いて飲み込まなきゃ"


(大丈夫かなぁ。はっ!)


その時僕は思い出した。謎の人物ヒモキ・レイタの事を。


「えっと…。交番だったよな。」


僕はハルバードを握りしめ、交番へ向かった。


「プクプク!プクプク!」


僕は合言葉を叫びながら交番の中へ入った。

通行人に変な目で見られたが、僕は必死だった。


「只野新斗さんですね?それではご案内します。」


「は、はぁ」


僕は交番のお巡りさんに連れられて、交番の奥の部屋まで行くと、

更に奥にある地下室への階段を降りた。


(なんだここ…)


僕がたどり着いた場所ははっきり言って研究所の様だった。

フラスコや見たことの無い機械、生き物の剥製などがあり、広々とした空間。

やけに明るく、壁や床が機械的で真っ白だった。


「では…」


僕を案内してくれたお巡りさんは、僕に一礼して去っていった。


「えぇ?!新入りが男ぉ?!」


奥の部屋から関西弁の女性の声が聞こえた。


(僕のことかなぁ…?)


気になったので少し奥の部屋を覗いてみた。


「大丈夫ですよぉ〜」


「しかもこの男クズニートじゃないですかぁ!」


そこには、僕の履歴書のような書類を持った黒髪セミロングの若い女と

レイタ局長がいた。


「すみませーん」


「あ、どうもー」


レイタ局長がすぐに返答してくれた。


「ここが巨大生物対策本部です。

今ちょっと忙しいのでサキミさんに教えてもらって下さい。僕は隣の部屋に居るので。」


(サキミ…?)


僕はドキッとした。サキミという言葉を聞いただけで僕のムスコから涙が出てしまった。

すると黒髪セミロングの女が僕に話しかけてきた。


「あはは…。あたいがサキミ。ソト・サキミっちゅー名前や。名前っちゅーかコードネーム的なやつやな。

んで、あんたがその新入りの彼か!…」


(めっちゃブサイクやん…。期待して損したわ)


僕が気に入らなかったのか、気まずい態度でソト・サキミが僕に自己紹介を始めた。


「巨大生物対策本部内の戦闘チーム『シャーマ』の一員や!これからあんたもこの『シャーマ』に

所属してもらう!まぁ…ウチらは戦争に行く兵隊さん。って感じやな!」


彼女はどうやらここに所属して、長いようだ。


(僕にしか巨大生物を倒せないんじゃなかったのか?)


「えーっと…サキミさん…?って具体的に何やって…」


僕は「僕にしか出来ないお仕事」ではなかった事に怒りを感じ、ソト・サキミに質問攻めをしてから

ブチギレて色々言ってやろうと思ったが、ある事が頭によぎった。


(サキミってTwitterの…)


僕は携帯を取り出し、Twitterで僕の大好きなサキミのプロフィールを開き、ソト・サキミに見せた。


「え、このサキミ?」


「え…?」


「ごめん、なんでもない。」


どうやらTwitterのサキミとは別人。人違いだったようだ。

僕は恥ずかしくなり一気に顔がトマトのように赤く赤面した。


「あ、と、とりあえずこれがあんたの戦闘服や!室内放送で自分の名前が呼ばれるまでに

着るんやで!」


ソト・サキミは僕に戦闘服を渡し、別の部屋へ行ってしまった。

軽く僕にドン引きしている様にも見えた。



とりあえず僕は謎の焦りに襲われ、すぐに服を脱ぎ、戦闘服に着替えた。


(うわぁ…すげぇ…)


僕は本部の棚のガラスに写った自分を見て、ついつい見惚れてしまった。


頭には青いターバン、青いローブによくRPGに出てくる村人の様な白い布の服。

まるでド○クエの様な衣装。僕はかなりテンションが上がった。


(はぁ。履歴書にゲームが好きって書いてて良かったぁ。)


恐らく僕の履歴書を見て、僕の好みを参考にデザインしたのだろう。


「アラト様、アラト様、出撃準備、完了致しました。至急、出撃ゲートまでお越し下さい。」


戦闘服姿の自分にうっとりしていると、サキミが言っていた放送が流れた。


(出撃ゲートってどこだろ)


「ニートくーん!こっちこっち!」


サキミは別の部屋からひょこっと顔を出し、笑顔で僕を呼んだ。


「僕はアラトです!!」


「別にどっちでもえーやないかぁ。ていうかそろそろ行くよ!」


僕は学生の時、新斗(あらと)という名前をニートと呼ばれ虐められていた。

少し傷ついたが、サキミは可愛いので許すことにした。


(寒っ)


そしてサキミと共に出撃ゲートを通過し、終わりの見えない廊下を歩いて行った。


「後どれくらいですか?」


「ん〜、もう2時間くらいやねぇ〜。なんなん、もう飽きたん?」


「長っ!いやぁ、このハルバードって言う武器結構重いんだよねぇ」


「男やろ!それぐらい頑張りぃーや!うちもコレなかなか重いんやでぇ?」


サキミの腰をふと見たら左右の腰にデザートイーグルの様なハンドガンを装備していた。

ハルバードはかなり長く、色んな所に当てないように持ち運ぶのが必死だった為、

彼女の装備に目がいかなかったのだ。


「え、それって多分普通の銃じゃ無いよね?どんな能力があるの?」


「おっ!よく気づいた!この銃は撃つと相手が大爆発するんや!でも2丁それぞれ2発撃ったら2時間程使えなくなるねん。でもこれめっちゃ強いんやで?!」


「へぇ。じゃあ後で撃たせてぇ?」


「アホ!こんなもんお前みたいなもんが使ったら体ごと吹き飛ぶで?!あんたも局長から何か武器を貰った筈や。ほらそのあんたが持っとる斧みたいなやつとか!」


「あーこのハルバード?これで切られたら物体が溶けるっていう能力らしいけど…」


「へぇ〜?強そうやん?!今までそれでなんか切ったん?!」


「貰ったばかりだから何も切ったことないんだよねぇ。」


そうこう話しているうちに廊下の先の方に光が見えてきた。


「ほな、行くで…。」


「えっ?」


サキミは光に向かって走り出した。







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