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僕がいる世界はデスゲーム  作者: ルキ
第1章「街に現る」
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「現在、北へ移動中。警戒して下さい」


僕の部屋にぽつんと置かれたテレビモニターから

とあるニュースが流れていた。


「避難して下さい」


どうやら僕の住む街、「タナルシティ」に巨大生物が出現し

街中が混乱しているようだ。

だが巨大生物など、映画やアニメでしか見たことが無い。

というか、この世に存在する事すら信じていなかった。


(へぇ。まあなんとかなるっしょ。)


僕はそう思い、スマホを手に取り、ゲームアプリを始めた。

だがスマホを持つ僕の手は、震えていた。


「あ、イベントきてんじゃーん」


そんなニュースに僕は少しも興味がなかった。だが、本当は少し怖かった。

なぜなら50メートルもの巨体が、馴染みのある風景を破壊しているのだから…。


ブルル…


(あ、サキミからだ。どうしたんだろ?)


サキミ。いわゆる僕の書いている小説のファン第1号。

そんなサキミからTwitter内でメッセージが届いた。


"助けて!死んじゃう!"


僕は何が何だか分からなくなった。

だが冷静になってみると、ふとあのニュースが連想された。


(サキミ…大丈夫かな。いや、大丈夫っしょ)


なぜか僕はサキミのメッセージを信じることなく、パ◯ドラを始めてしまった。


「あっくん!お友達!」


僕の部屋のドア越しに聞こえてくるのは僕のお母さんの声だった。

お母さんとドア越しに話すのはいつもの事。


「うっせぇババァ!!ノックしろや!」


「はいはい。お友達来てるけど…」


「あ、あぁ!」


僕には友達なんて居ない。

でもお母さんには心配されたくなかった。


携帯を置いて嫌々玄関まで歩いて行き、玄関の扉を開けた。


「どうも、ヒモキ・レイタです。」


そこに立っていたのはヒモキ・レイタと言う若い男だった。

眼鏡をかけ、インカムを装着した、ひょろひょろな男だ。


「キミ、誰?」


「巨大生物対策本部事務局長です。」


僕にはこの状況がよく理解できなかった。


「何の用?」


内心、恐る恐る問い掛けた。


「タナルシティに現れた巨大生物を殺して下さい。」


レイタ局長は険しい顔で僕に告げた。


「は?何を言ってるの?」


胡散臭いお誘いなど正直怠かったが、

ニュースで中継している限り、信じるしかなかった。


「実はあの巨大生物は、新斗さん。どうやら貴方にしか倒せない様です。」


こんな事を言われたらやるしかなかった。いや。

こんなチャンスを逃したくなかった。唯一僕が輝けるチャンスを。


(はぁ…。なんだか大変なことになってきたなぁ。まぁやってみるか。小説のネタになるし。)



「え、今ニュースでやってるやつだよね?」


一応僕は確認をした。


「はい、そうです。政府はあの巨大生物を『ポクリア』と呼んでいます。

タナルシティに現れた目的は不明。ただただ街を破壊しています。」


「ふーん。で、武器とかあるの?」


僕は巨大生物、敵の目的なんてどうでも良かった。

戦って悪を成敗し、ヒーローになりたいだけだった。


「もちろんあります。チート武器、『ハルバード』です。」


レイタが突然玄関の外から持って来たのは、

2メートルほどの金属の棒の先に、尖った槍、斧、鍵つめが一緒になっている、

ヨーロッパで、ルネサンス期に主流となっていた武器だ。


(重っ…)


やはりこの大きさなだけに重かった。


「で、何がチートなの?」


僕はチート武器の能力がどんな能力なのか気になった。

というか、内心かなりワクワクしていた。


「このハルバードはなんでも切れます。それに…

切れた物体はどんな物体であろうと溶けてしまいます。」


「うーん。それって強いのかな…」


正直そんな能力じゃ燃えなかった。モチベーションもあまり上がらない気がした。

もっとこう…かっこいい能力が良かった。


「あ、すみません忘れてました。そのハルバード、切れば切るほど自分の大切なものが

消滅してしまいますので気をつけて下さい。」


「はぁ?」


僕はポカーンとしてしまった。


(能力が特殊すぎる。)


「なんで悪を倒して善を尽くすのに、コッチにまで被害を受けなきゃならないんだよ」


「善を尽くす?あのぉ、一応巨大生物も生きているんです。一応この世に生まれた

立派な命なんです。ですが今回仕方なく駆除という形で殺さなければいけなくなりました。

なので命を奪う代償として大切なものが消滅してしまう。

悪を殺す事だけが正義だと思ってないですかぁ?」


僕は黙ってハルバードを持ち部屋へ向かおうとした。


「もしやる気があるなら事務所まで来て下さい。場所はタナルシティ公園最寄りの

交番まで来て下さい。合言葉は『プクプク』です。」


そう言われ呼び止められたが、何も言わず部屋へ戻った。

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