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4 弾圧

対外戦争も大概しょうもないのですが治安出動も政治の無能や失策を糊塗する行為で最悪の手法でしょう。


 「離せ!俺が何したっていうんだー!」


 黒人の青年が兵士に後ろ手で押さえつけられていた。

 ほんの数ヶ月も前なら人種差別として問題になりそうな光景だが今はそれに目を向ける者もいない。


 往来には自動小銃を持った陸軍の兵士が立ち並び周囲を威圧しており合衆国を代表する大都市のひとつだというのに行き交う市民の姿も疎らだ。

 時折そんな疎らな市民の中でも兵士が不審に思った人物が容赦なく取り押さえられ連行されていく。


 それを目の当たりにした市民達はしかし巻き添え恐れて目を反らして足早に通りすぎていくだけであった。


 拘束された彼らはテロ容疑者として拘束されたため一般の犯罪者にすら与えられる人権の保証も一切なく厳しい取り調べ後は同じように捕まえられた他の一般市民と共に各所に造られた臨時収容所に移送され一般社会から隔離されていった。


 時折銃声がして抵抗しすぎた市民が射殺されている姿もあった。

 しかしそれもなんの問題にもならず死体は専用のトラックに放り込まれ路上の血溜まりは軽く拭いとられただけで赤いシミのまま放置され一般市民の恐怖心を煽っていく。


 新聞等のメディアやネット、ツイッター等の情報発信も検閲されジョーカー大統領に批判的な情報発信を行っている者達は連邦捜査局の手によってテロ容疑者として摘発されていった。


 一般に連邦捜査局は公平中立な正義の集団と思われがちだが選挙中のジョーカーの対立候補に対する選挙妨害が長官の指示で行われたように狂信的なジョーカー支持派の影響力が強く言論弾圧に手を貸していたのだった。

 元々一昔前には赤狩りなどの思想警察的な役割を果してきた経緯もあり容易くジョーカー大統領の手に落ちたのであった。


 弾圧が続きジョーカー大統領に対する抗議行動も一旦は沈静化していった。


 しかしそれはジョーカー大統領に対する憎しみが深くなり地下に潜っていったに過ぎなかったのである。

テロ容疑者ってのを犯罪者でも戦犯でもないグレーゾーンに押し止めているのは権力者サイドの都合。


法治の範囲外に置いたとして好きなように拷問処置ができます。

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