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3 戒厳令

もうちょっと血沸き肉踊る展開にしようと思っていたのですがなかなか・・・。



 「やつらは合衆国大統領たるワシの命を狙ったのだ!許してはおけん!」


 政権移行が終了し早速軍の高官を呼び出したジョーカー大統領がそう吠えた。


 本人は自らを精悍なドーベルマンのように考えているが周りにはよく吠える噛みつき癖のある年老いたブルドックにしか見えなかった。


 ホント、誰だ、こんなの選んだのは。


 「実際には大統領支持派がほとんど一方的に殺戮を行っただけですし犠牲者の大半はジョーカー大統領宅に詰めかけただけの者です。これを大統領を狙ったものと主張するのは些か無理が・・・。しかも今戒厳令を発動すれば国民の分断は決定的なものとなり・・・」


 「そんなこと知るか!合衆国大統領のワシに逆らうヤツは合衆国国民の資格なしだ。密入国者どもと一緒に叩き出すか殺してしまえ!」


 「そんな無茶な」


 軍高官は頭を抱えた。


 彼は合衆国軍人であり軍の最高司令官である合衆国大統領の命令に従う義務がある。

 軍事力の行使はキレイごとではなくその目的や理由に明確な正義や本当に正当性があるかどうか分かったものではない。

 至急性や即決性が求められ表面的に体裁だけが整えられ行動することを余儀なくされることもある。

 多くの場合ことが軍事力の行使であるため取り返しがつかない。


 それでも行動することを求められるのが彼の立場ではあるがこの大統領の言い分はどう控え目に見ても常軌を逸しているようにしか見えず従うのに躊躇われた。


 「お願いします。再考を・・・」


 「くどい!これ以上逆らうというなら貴様の任を解き反逆者として拘束し然るべき者に命令を下すぞ!」


 ジョーカー大統領の最期通知に軍高官は口をつぐんだ。


 斯くして合衆国に戒厳令が敷かれることとなったのである。


次回は少し話しが飛ぶかも。

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