最終章 表裏
「話は終わったか?」警察官の一人が聞いた。
「ああ。さっさと連行してくれ」
本田と阿倍の二人は警察によって手錠をかけられ、飛行機の外へ連行されていった。
担任の先生も全員事情聴衆の為警察に呼ばれた。生徒たちは取り敢えず、飛行機から降り沖縄空港の
待合所で待たされた。
「・・・・・・」重苦しい沈黙がクラスを包む。
「・・・あんな過去があったなんてな。橋本先生に」クラスのお笑いキャラの藤田が言った。
「ああ。ビックリだよ。女子生徒と付き合ってたとか、別れたくないためにほかの生徒に罪を着せたとか・・・」圭介は言った。
「ちょっと橋本先生の見る目変わったわ私」
「だよね。少なくとも今までと同じ感じでは接っせないよね」
「橋本先生どうなるんだろ?犯罪って事になるのかな?」
「うーん・・・この場合難しいね罪のない人間に罪を着させたから、虚偽告訴罪となるか、それとも女子高生と付き合ってたという事でえーと何罪だ・・・」クラスで2番目くらいに頭のいい木戸が淡々と言った。
「まぁどんな罪になるかは別にどうでもいいがよ、とにかく死人が出なくてよかったじゃねぇか」
「うーん・・・いい・・・のか?」
「修学旅行これからどうなるんだろうね?」
「沖縄まで来たんだし、中止って事はないだろ。ただ、橋本先生はそのまま署まで言って事情聴衆されるだろうね」
「・・・そっか」
「はぁーせっかく楽しみにしてたのになぁ修学旅行なんか楽しむって感じじゃなくなっちゃったね」
「まぁまさかハイジャックに合うなんて思わないからな」
クラス中から優しくて良い先生と思われていた先生に驚愕の過去があることに生徒全員はまだ驚きを隠せなかった。今回の事件で分かった事は人間何を考えているか分からないと言うことだ。一見優しそうな橋本先生に裏の顔があったように、少なからず皆裏の一面があるのかもしれない。圭介はコンビニでアルバイトをしているが、もちろん学校にいるときの自分と、バイトしてる自分では、多少違う自分を演じている。これから大学、社会人となっても素の自分を演じ続けられるだろうか。難しいだろう。人間なんてのは周りの環境で簡単に変わる。劣悪な環境で仕事をしてきた人間が性格がねじ曲がってしまうように、環境にいとも簡単に流されてしまうのだ。
そうこうしていると向こうから先生たちがぞろぞろと歩いてくるのが見えてきた。
「おっ先生たち事情聴衆終わったみたいだぞ。いこうぜ圭介」秋人が言った
これからの学校生活、社会人となって色々な人と出会うだろう。この人は本当に信用して良いのか、表裏のない人間か、これから出会う人をちょっとそういう目で見てしまうかもしれない。いやむしろそうした方が良いかもしれない。そして自分に本当に合う友人や彼女を見つけよう。
決意を胸に圭介は重いバッグを片手に歩き出した。




