第2章 離陸
「圭介早く起きないと遅刻するわよ」
母の声で目が覚めた。
「やっべ」時計を見ると6時20分を回っていた。予定より20分オーバーである。
急いで着替えを済ませ、朝食を食べ、30分で身支度が完了した。
家族皆にいってきますの言葉を言い、圭介は家を出た。
「お待たせ。ごめんちょっと遅れた」7時36分頃池袋に着いた。秋人は既に到着していた。中々おしゃれな私服を着ている。
「おう。待ってたぜ。大丈夫この時間なら間に合うよ。さぁ行こうか」そういって秋人と圭介は羽田空港まで向かった。
「にしても、パズモンのあのイベントやった?あれマジむずくね?」
「いや、あれ簡単だよ。属性をそろえてさうまくブレイクできれば」道中、俺と秋人は今人気のアプリの話題で持ち切りだった。
そうこうしているうちに羽田に到着した。担任の先生や南原高校2学年の生徒でごった返しだった。
「おっ来たなイケメンコンビ」クラスメイトの斎藤真司が話しかけてきた。圭介と秋人はお互いにバスケ部でルックスもいい。しかも中学の頃からバスケをやっているので、今はかなりの腕前になっている。なので二人ともクラスでモてる方の部類である。だからクラスの男子からはイケメンコンビとよく言われている。
「おう真司おはよう」イケメンコンビはもう言われ慣れてるので特に気に留めなかった。
「今日は遅刻しなかったな真司」真司はいつも遅刻魔なので俺がからかった。
「今日遅刻したらやばいだろ」
「ははは。それもそうだな」
友人となんやかんや会話しているうちに約束の集合時間になった。
「はい。じゃあ1組の皆僕に付いてきてください」1組の担任の草野先生が言った。圭介の学年は6組まであり、1クラス38~40人程度なので2学年全体だと200人以上いる。
もちろん200人が一斉に移動しては混雑を招くため、1組から順に飛行機に移動していった。
「はい、3組の皆さん、行きましょう」15分ぐらい待ってようやく3組が移動する番になった。各々が友人と会話しながら移動を始めた。
「いや、にしても想像と違ったよな」健吾が俺に話しかけてきた。
「ん?何が?」
「いや、俺さ、飛行機ってさ外に出てさ階段みたいなもので上がって機内に入っていくものだと思ってた。そしたら違うんだね。この通路歩いてればいつの間にか飛行機の中に入ってるんだな」
「ああ俺もそう思ってたわ。まぁ俺の場合飛行機乗るの今日が初めてじゃないから」
「へぇーそうなのか」
「あぁ。何年か前に家族でオーストラリアに旅行に行ったことがあるんだ」
「そうか。お前ん家金持ちだもんな」
「そうでもねえって」
圭介の母は普通の主婦なのだが、父は官僚の仕事をしている。なので家柄も圭介は良かった。
そうこう会話しているうちに、2学年すべての生徒が飛行機に搭乗したようである。
「いいか皆分かってると思うがこの飛行機は我が高校が貸し切っているわけではないぞ。もちろん他のお客様も乗っている。迷惑をかけないように。私語を慎んで、高校生らしく行動するように」
担任の橋本先生から諸注意を受けた。それでも初めての飛行機に浮かれている人が多いのだろう、話し声はなかなか止まらなかった。
皆飛行機がいつ飛び立つのかワクワクしてたが、なかなか飛行機は動かなかった。
「なんだよ。この時間もどかしいな」隣に座っている。秋人が俺に言った。
「まぁそんな慌てんなって。いろいろ確認とかあんだろ。人が乗ったからすぐ飛び立つわけじゃないぜ」
「おぉそうか・・・お?」と秋人が言ったところで、ようやく飛行機が動き出した。
「おお動き出したじゃん」クラスの皆も興奮しているようだった。ざわつきの音量が増した。
「いやでも久々だから俺もワクワクしてきたわ」と秋人に言った。
南原高校二年生238人、引率の先生9人を乗せた飛行機は大空へと飛び立った。




