第1章 前夜
よろしくお願いします
2月2日15時35分
都立南原高校2年3組の教室では、翌日から始まる沖縄修学旅行の話題で持ち切りだった。
「いやー楽しみだね明日の修学旅行」
「明日何時に羽田集合だっけ?」
6時間目の授業が終わり、担任が来るまでの間、生徒たちの賑やかな声がこだまする。
俺、山本圭介も明日の修学旅行の話題で友達数人と会話していた。
「なんか、明日ってかんじがしねーなー」俺が言った。
「だよな。いつの間にか明日になってったって感じだよね」そう言ったのは友人の中村秋人である。
秋人とは、中学からの仲である。中学からお互いにバスケ部に入っており、クラスも3年間同じだった。高校でもお互いにバスケ部に入った。クラスで確実に一番仲のいい奴である。
「女子たちがキャッキャキャッキャうるさいよな。まぁ楽しみっちゃ楽しみだけど、面倒っちゃ面倒かも」そう言ったのはクラスでいわゆるお笑いキャラの藤田健吾だった。
「まぁ明日からの3日間授業ないだけましじゃね?」俺が言った。
「それもそうだな。ここの高校マジ授業つまんない先生多いよな」と秋人が言った。
そうこうしているうちに、担任の橋本先生がクラスに入ってきた。
「はい、帰りのホームルーム始めるぞ。えーっと連絡事項は・・・もちろん明日の修学旅行についてだ。皆分かってると思うが、明日は羽田に8時30分に集合だ。持ち物はパンフレットを確認するように。間違って制服で来るなよ藤田」
「制服では来ませんけど、裸で来ます」藤田のボケにクラスから笑いが起こった。
「まぁそんなところだ。じゃあ連絡事項は以上だ!じゃあ明日遅れないようにな!楽しんでいこう!じゃあ解散!」先生がそう言ってクラスの皆が各々のタイミングで立ち上がり、帰路へと向かった。
俺は親友の秋人と一緒に帰った。修学旅行の話題はそんな出ず、今月の部活での大会日程などを話した。
秋人とは、家も近いので、ほとんど毎日一緒に帰っている。圭介の家が近づいてきたので秋人に別れを告げた。
「じゃあまた明日な。7時30分に羽田だよな」
「おう。待ってるぞ」
「オッケー。じゃあな」といって圭介は家に入っていった。
「ただいま」そう言って家に入ると母と妹がすでに帰っていた。
「お兄ちゃんおかえり」妹の春香が言った。
「圭介おかえり。明日でしょ修学旅行。ちゃんと準備はできてるの?」母の弘美が言った。
「ごめん。まだ何もしてない」
「早く用意しないと駄目じゃない」
「分かった分かった」そう言って圭介は早々に自分の部屋に入っていった。
その晩、圭介はいつも12時に寝るところを10時に寝た。明日は6時起きなのでさすがに早めに床に就いた。ベッドに入りスマホで人気のアプリで遊んでいると、すぐに眠気がきた。携帯を充電器に差し込み
圭介は深い眠りについた。




