逝きましょう!異世界へ
午前1時30分。
俺はいつものように、ニマニマ動画にアップされる実況を、一心不乱に行っていた。
今日がその明後日だということは、頭の片隅にはもうなかった。だから俺はいつものように実況を行っていたのだ。
【ゴースターズ・サバイバル】が最終回を迎える今日この頃。もうじきボス戦であり、気が乗りすぎてしまっていたのだろう俺は、ボスの目の前まで来ていた。
「……っ!こいつ、めっちゃ強ぇぇええ!」
俺が作った中で最強とも言えるこのゲーム。さらに強いものを創ってみたいという気持ち。凄い面白いと思った。
『……あっ!そこよっ!』
「おう!わかって……っ……いよっしゃぁああああ!!」
このゲームを開始してから約5日。ついに念願の勝利となったのだった。
「セーブっと!ここで消えたら俺の苦労が台無しだぜっ!」
『消してあげようか?』
「断るっ!」
『嘘よ』
アルファースの声も入りながらの実況。コメントの中には[リア充?www]や[もう一人の人誰?]などの批判に近い言葉が紛れ込む。
ちゃんとセーブをして、次のシーズンのお知らせなどをいれていると、メールフォルダに1通のメールが入った。
今は関係ないと思い、無視を続けていると、その件数は段々と増えていき、100通にまで増えてしまった。
「アルファース……、メールの確認頼む……。増えすぎてパソコンが重い……」
『はぁ……、分かったわよ』
アルファースは嫌々だが、確認をしてくれた。すると、アルファースの息をのむ声が聞こえてきたから、俺は真っ先にフォルダを開いた。
すると、登録されていないアドレスが書いてあった。件名はこうだ……。
[君達、今日だってことわかってる?]
「……全部消してくれ、アルファース……」
『えっ……?テルミアスからのじゃ……』
「その名前を出すな。ヘドが出るぜ」
〈ヘドが出るぜって酷いなぁ……!あ、アルファースちゃん久しぶり!元気だった?〉
「俺を通り越すな、だアホ」
『テルミアス、久しぶりね』
そう……!俺達は、テルミアスのいったあの日からすっかりと頭の中からそのことが消え去っていた。
まぁ、ちょうどよくこのゲームが最終回を迎え、区切りがついたから、安心感が少しと、本当にここから異世界へと行ってもいいのかの罪悪感がある。
〈準備万端!さぁいくよ!?〉
「はいそうですね、なんて言えるわけないし、つーかよぉ、テルミアス」
〈ん?〉
「俺ら本当に呼び出されたんだよな?神から」
〈……そうだよ?〉
「まぁ、いいや」
テルミアスからの返答で少しだけ間があったが、わざと気にしないことにしておいた。突っ込んだら、あとあとになって面倒くさくなりかねないと思ったからだ。
取り敢えず、俺らは自分の準備をして、テルミアスからの指示を待つことにしたのだった……。
数分後、テルミアスの声がヘッドフォンから流れてきた。
〈じゃあ…いくよ!?いざ!異世界へ!〉
────バンッ!
「は────」
『!?────』
いきなり音をたてて俺らを驚かせたのは、床が開いたからである。
パソコンやら、俺の大事にしていたフィギアたちが、俺の視界から消え去っていく。
そんなことお構い無しに、俺とアルファースは加速しながら下へと落ちていく。
「どこまで続くんだ!?って!テルミアスいないしっ!」
『あのバカねー!!』
そして、高度な高さから飛び降りた……正確には落ちていったの間違いだが、いつの間にか意識を失い、前回の話に戻るのだった。