これこそ、意味不明です(笑)
画面を通して聞こえてきたのは、子供の声だった。アルファースと俺は未だに混乱していて、なにがなんだか分からないような感じだった。
〈初めまして、僕は君達を迎えにきたよ〉
「───迎えに……」
『きた?』
顔は見れていないのだが、この子供は糞餓鬼だと考えられる。
例えば俺のスマートホンとパソコンの番号とメルアドを知っていて、わざと掛けてきた……。ということでいけば、大体の予想はできる。
だが、あんな高度なプログラミングのアルファースを負かす勢いで、しかも俺の苦手分野である“オセロ”を知っていた。苦手分野を知っていたといったほうが早いだろう。
〈そんな怖い顔しないでよ、錬さん!〉
──……んっ?
「アルファース……、俺はこの糞餓鬼に名前など教えたか?」
『教えたの?』
「確認だわっ!……もし、教えたとしたら、俺はバカだろ」
『元からバカじやない?』
「っ、てめぇ……!!」
俺ら二人は糞餓鬼なんかほっぽいて口喧嘩に没頭している。
あの糞餓鬼の顔を見ることができるはずもなく、今どんな表情をしているのだとか、どんな服装をしているのだとか、そこら辺が理解しがたいところだ。
〈いきなり二人の世界に入らないでよ。あ、名前教えていなかったね。僕はテルミアス!よろしくねっ〉
いきなり出てきて、いきなり名乗りやがったこの糞餓鬼……、テルミアス。何を考えているのかさっぱり掴めない。
〈ねぇ、何で名前を知っているか……だったね。僕の答えられる範囲なら大丈夫だけど、……覚悟とかは出来ているかな?〉
『覚悟……?』
〈うんっ!あぁ、やっぱりアルファースちゃんの声は萌えるね!可愛いよ!〉
「いきなり話反らしやがった……」
この話ぶりからいくと、昔から俺やアルファースのことを知っているようで……、いつから?いつから俺らがこのネットワーク世界に入り込んだことを知っているんだ?
どんどん謎が深まっていくばかりで、アルファースとテルミアスのことをすっかり忘れていた俺は、アルファースを一先ずスマートホンの中に組み入れた。
今後何があるからわからないから。──もしも、離ればなれとかになって終わぬように。
「んで、テルミアス。俺ら二人に何の用があってここに来たんだよ……。パソコンやスマートホンを持っている家庭なら沢山あるじゃないか?」
『そうよ。何でわざわざここに?』
〈それは今からゆっくり話すよ……。出発までまだ時間はあるからね……〉
最後にボソリと呟かれた一言は、俺には聞き取れなかった。だが、アルファースは聞いていたようで、その一言を聞いた途端に顔をしかめた……。
「あ、アルファース……?」
『……っ……?あぁ、ごめんなさい、貴方に悪気がある訳じゃないの』
「……お前……」
『錬────』
「デレることができたのかっ!」
『…………はぁ?』
──アルファースがデレてくれた!俺の好みにぴったりに設定しておいてよかった!!まったくぅ!
『……人がせっかく心配してあげてんのに、その態度は何かしら?錬……』
「あ、アルファースぅ?」
──このときの俺は、アルファースに殺られてしまったのだった。ちゃんちゃん───……。じゃ、ねぇーよっ!!
〈……、一先ず簡単に説明するね?君達を迎えにきたよって言ったよね?〉
「あぁ……」
テルミアスに話を戻され、俺はテルミアスに言われたから相槌をうつと、テルミアスは顔をしかめた。
〈君達はこれからここではなくて、別の世界……、そう……。“異世界”に行ってもらうために、君達を選んだんだ……〉
お父様、お母様、兄貴、アルファースよ……。
俺は死ぬの?