はて、どうしたものかさっぱりわかりません(笑)
某テレビ番組の真似っこまではいかないが、二人揃ってはっきりなにこれと口走ってしまったが、真っ先に思った。
(……マジなバグですね、わかります……)
画面に写し出されたのは、あるゲームの画面だった。――そう、その名も……。
『……お、オセロ?』
馬鹿にしてるとしか思えません。何なんだよこれは。意味深な感じで出てきたと思っていたら、オセロ?ふざけんじゃねーよ。
「アルファース、あとよろしく」
『はぁ!?ふざけんじゃないわよっ!ゲーム得意でしょ?』
人に擦り付ける最低でゲームが得意な俺だが、一つだけ苦手なものがある。……それがオセロだ。
「オセロだけはマジ勘弁なんだよ……。あとは頼んだわ」
『はぁ……、奥手のものは嫌いなのね』
「ちげーよ。高度なプログラムとかだったら、人間の俺でも簡単にはまけちまう。だが、俺が作った高度なプログラムである、お前なら、誰にも負けない。んじゃま、よろしくな」
『はいはい』
オセロの画面をアルファースのパソコンに移し、アルファースは、オセロを開始した。
オセロとは、2人用のボードゲーム。交互に盤面へ石を打ち、相手の石を挟むと自分の石の色に変わる。最終的に石の多い側が勝者となる。
単純なルールながらゲーム性は奥深いとされており、“A minute to learn,a lifetime to master”(覚えるのに1分、極めるのに一生)をキャッチフレーズとする。
世界的には「リバーシ(Reversi)」としても知られている有名なゲームだ。
まぁ、俺的には角を取れば大体は勝てると踏み込んでいるが、俺の場合、そんなことをする前に簡単に相手に取られてしまうため、オセロは苦手分野に属している。
誰にも負けないっていうのには矛盾しているから、それはカウントしたくない。
簡単に言えば、嫌い。
『ねぇ、錬』
「なんだぁ?アルファース」
『勝つわ、このゲーム……』
「まじかっ?」
『えぇ、ただ……』
「ただ……なんだ?」
アルファースは口を濁すと、盤台に指を指す。……あ?少しおかしい。
俺はずっと盤台を見ていたわけではないが、おかしいと思える点がひとつだけある。
……チートか?いやまて、んなことをしたらはっきり言って負けが確定したみたいじゃねぇか。
『私の駒、あといくつ残っていると思う?』
「んん?えーっとだな、“2つ”だ」
『じゃあ……、相手はいくつ残っている?』
「えーっと……、っ!?」
相手が所持している駒の数は“0”……、ということは、俺らが一回分やっていないことになる。
俺らはちゃんとやっていたはずだ。だが、現状がこれだ。さっぱりわからねぇ。
それと、盤台に隙間はあと一つ。こっちにあるのは予備の駒と考えた方が妥当だという心理に陥ったが、果たしてそうだろうか。
「アルファース……、これはチートか?」
『わからない。だけど、人間かしら?』
「ロボットかと言いたいのか?」
『そこしかないと思ったのよ。ただの対戦型のロボットのやつだったら、必ずしもそのマスターがいるはずよ』
「だがな、アルファース。ロボットだったらこんな小癪な技はしない。こんな技を仕掛けるやつは人間だ。……だろ?」
『……そうね……』
アルファースはオセロを再開すると、たった数分で相手に勝ってしまった。
『疲れたわ……。まったく、錬が出来れば百戦錬磨なはずじゃなくて?』
「……まぁな。だが、これをやって何の成果が生まれるのやら……。さっぱりわかんねーぜぇ……」
『……だけど』
「ん?」
アルファースの口が止まった。何を語り出すのか分からないまま2分たったあと、アルファースがいるスマホやらパソコンから、メールの着信音が聞こえる。
それも、大音量で……。
《《♪〜〜♪〜〜》》
「なっ!なんだよ!!いきなり!バグか!?」
『今から確認とるわ!!……って、何かのウイルスに乗っ取られたみたいだわ!!』
「嘘だっ──────」
〈〈嘘じゃないよ?〉〉
その時だった。
俺ら以外の声が聞こえたのは───。
一体何が起きたのだろうか。
その時の俺らには何もかも分からないまま、事が進んでいったのだった。