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囚われアリス、  作者: 葉山 樹
6/11

廊下での出会い、






「ここだ。とりあえず、女物の着物を用意してある。あ、着替えれるか?」








 遥が着物を差し出して、そう尋ねてきた。旅館の部屋でテンションが上がっていた私は、着物と聞いて、喜んで頷いた。







「祖母に格好いいから、って頼み込んだから、着物着るのは、慣れてるから大丈夫。

 わあ、可愛い水仙模様…」






 着物は、淡い水色で裾に水仙が描いてある。私が、広げてはしゃいでいると静かに遥が部屋を出て行った。私は、それを見届けると着物に着替えた。








「亜理紗、出来たか?」








「ん、出来た。」








 遥の尋ねに返すと遥が部屋に入ってきた。そして、スタスタと近づいてきたかと思ったら、無理矢理、鏡の前に座らせられた。









「わっ、遥!? 

 ど、どうしたの?」







 何も言わず、遥は、どこからか巾着を取り出して、私の髪を梳き始めた。そして、丁寧に結い上げていく。気づけば、3分も経たずに綺麗に纏め上げられていた。最後に毛先をくるくるとパーマがかけられた。








「あ、りがと…っていうか、すごいね…」







 私が苦笑しながらそう言うと、かあっ、と遥が頬を赤くした。そして、恥ずかしそうに俯いた。








「…ここの召使いの姉ちゃん達のを昔からしてたのもあるし、

 …一応、お嬢様の世話係だし。

 あ、旦那様には三人、子がいらっしゃってな。俺は、次女の世話してる。

 たぶん、亜理紗も三人の誰かの世話をすると思う。」








 遥はそそくさと片付けて、部屋を出ようとしている。私は、慌てて遥の後を追った。









 廊下を歩いていると反対側から、ツインテールの少女と整った顔の長身の男性がやってくる。少女はきゃっきゃと男性に絡みつくように腕を組んでいる。








「亜理紗、お嬢様とお坊ちゃまだ。廊下の端で礼をしろ。」








 小声で遥にそう指示され、私は、遥に習って礼をした。すると、少女は私と遥を見ると、高い声で話しかけてきた。









「あれ、はるじゃあん? 

 今は、美羽(ミウ)が兄様のお部屋に遊びに行ってたから、

 玄関先でお掃除するんじゃなかったの~?」








 クスクスと笑いながら、礼をしている遥の頭を撫でていく。すると、隣に居た男性が口を開いた。










「こら、美羽。世話係と言っても、遥は婚約者だぞ。頭を撫でるなよ。遥、すまないな。

 美羽が迷惑かけてるだろ?」








 低音で静かな声で遥に笑う声が、私に響いてきた。何となく、好きな低音ボイスである。









「いえ…坊ちゃまが謝られる必要はございません。

 お嬢様の我が儘にはもう何年も付き合っているので…」









 遥の言葉に美羽というお嬢様が、頬を膨らませた。まあ、礼をしているので、正確には見ていないが。









「ひどーい、遥。美羽が我が儘、いつ言ったのよぅ。

 ねえ、兄様。」









 私は、とりあえず、目立たないように息を潜めていた。すると、男性が美羽お嬢様の質問をかわす様にして、私に声をかけてきた。










「あー…うん、まあ、どうだろうな、

 遥、この子は誰だ? 見たことない顔だな。」









 げ、低音ボイスは、話に加わらずに聞いてたかった……、







***







 廊下で面倒な出会いをしてしまったようです。





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