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囚われアリス、  作者: 葉山 樹
4/11

旦那様の申し出、



「まあ、お前の父親がうちに多額の借金をしている事は、知っているね?」




 酒を一口、喉に流し込んだ後、そう私に尋ねた。私は、やはり、夢ではなかった現実に喉がクッ、と奇妙な音をたてたが、気にせず頷いた。





「はい、父が借りたのは300万と聞いております。」






 父が持っていた契約書には、そう明記されていた。私は、お茶をコトリ、と受け皿に置くとそう答えた。すると、何を言うわけでもなく遥に旦那様は、顎をしゃくった。







「はい、旦那様。」







 スッと私に紙が差し出される。私は、それに目を通して、驚きに目を見開いた。







「すまねえね、亜里沙君の父親がなっかなか、お金を返さないものだから、

 利子がついて、500万になっているんだ。」







 300万でも返せる気がしないというのに、500万になったら返せるはずがない。私は、意識が遠のきそうになったが、そこは、我慢して、お茶を一気に飲み干した。







「何年かかるか分かりませんが、しっかりと返します。本当に父がご迷惑をおかけしてすいません。」








 三つ指突いて、畳に額を擦り付けるようにして頭を下げた。すると、酒が入っているからか、旦那様は陽気なテンションで、笑い出した。








「かっかっか、馬鹿じゃないのかい。よくよく考えてごらん。亜里沙君が何年もかけて

 金を揃えている内にさらに金額は増えるんだぜ?」







 私は、息を詰めると静かに借金の返済方法を考えたが、見つからず、ため息をついた。すると、旦那様が、ニヤリと笑った。







「うちで働きな。うちで働いている間は、金が増える事は無い。500万分の働きをしてくれれば、大丈夫。

 さらに、うちに住み込みで食費はもちろん、高校、行ってないんだろ? 

 行きたいなら学費は出す。」







 魅力的な申し出である。更に私は今、高1の年齢なのだが、金がなくいけなかったところを行かせてくれるとまで言う。まだ、今からであれば勉強が間に合うかもしれない。









 私の中は2つに分かれていた。

1つ目は、申し出に乗っかりたい私。

2つ目は、旦那様の何か企む様な表情に警戒する私。





***




 さあ、どうしましょう。










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