少年物語
今よりちょっと昔、ある所にまだ何も知らない幼い少年がいました。
その少年の家庭は最悪でした。
母親が夜の街に出かけたり、その間に父親が少年に暴力をふるっていました。
少年はどんどん心を閉ざしていきました。
ある時、少年は青年になりました。
母親はいつの間にか、いなくなっていました。
父親は青年を働かせ、そのお金で飲んで遊んでばかりいました。
青年は喜びました。
父親は自分の働いたお金で飲んだり、喰ったりしている、自分が父親を助けている、自分がいなければ、
父親は生きていけない・・・、と。
そう思ったとたん、彼の頭には復讐をすることしかありませんでした。
彼は仕事場で人の何倍以上も働き、収入を得ました。
来る日も来る日も、体が悲鳴をあげても、彼は働き続けました。
何年もの月日がたち、心も体もずたずたになった彼はようやく大金を手に入れました。
そして復讐をするため、父親の元へ行きました。
青年は父親がいつものように「金をくれ。」と。せがむと思っていたのです。
ですが、父親は倒れていました。
昔、少年を殴っていた手は、いつの間にか細くなり、体も青年がおどろくほど、小さくなっていました。
あんなに卑劣で醜かった父親がしんでしまったのです。
彼は涙を流しました。
悲しみの涙ではなく、悔しさの涙を。