夕騒
水のような話、という意味で水話(すいわ)。 普段の生活で目に付いた小さな不思議をどちらともなく持ち寄って、それを考察し架空のミステリを作り上げるというものだ。 京都大学の文芸サークル「檸檬」で知り合った夕靖と香住にはそんな風に共有した時間があった。彼女から呼び出されたのは木屋町の独特な居酒屋だった。――明白な事実ほど誤られやすいものはないよ。 不穏な種は拭えず、そんな言葉が頭に浮かぶ。 顔のない幽霊。犬の目線。串抜き穴。 重なり合う水話の波紋が、不思議な夜の終わりに、ひとつの結末を迎える。 青春ミステリを書きました。感想を頂けると嬉しいです。