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永遠なる揺り籠より  作者: 葦藤 基
第一章 ウィリディスの冒険

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第12話 はじめての友だち

ポカンと口を開けたままの子供二人は、道場帰りのカーチイルとマナイラだった。足元には二人の落とした大きなカバンがふたつ。どうやら、モモの存在に驚きすぎて落としてしまったらしい。


「カーチイルとマナイラよ。二人兄妹なの」


モモはチグイルから二人を紹介され、挨拶をした。


「ぼくはモモだよ。兄さまに会いに行くの」

「明日までお家で預かることになったの。今日は家に泊まるわ」

「ふーん」


アドリアが説明をするが、妹のマナイラはモモに興味がないらしく、とてとてと早々にお菓子の世界へ行ってしまう。


一方、モモに興味津々なカーチイルは色々な質問を詰め寄って浴びせた。どこから来たとか、どうやって来たとかである。


溌溂とした同世代の少年と話すのが初めてなモモは、少しおどおどとしてしまう。しかし、聞かれたことにはしっかりと答えることができた。


「ずるいよ、ばあちゃん。おれは空列車乗ったことないのに!」


駅でモモがアドリアと会ったことを知ると、カーチイルは憤慨した。


彼は頼んでも空列車に乗せてもらったことがなかったのだ。アドリアはそんな孫の様子に呆れた声を出した。


「列車はもう少し大人になってからって言ったでしょ。せっかく、たくさんお菓子を買ってきたんだから……」

「モモはおれより小さいじゃないか」


納得のできないカーチイルはアドリアに食って掛かるが、取り合ってはもらえない。アドリアたち保護者からすると、国に安全が保証されてはいても空を飛ぶ乗り物に子供を乗せるのは戸惑われるものであり、日頃から乗らないようにと言い聞かせていたのだ。


案の定、彼は拗ねてしまう。


「お菓子なんて……いらない。モモはおれの部屋に泊まるの?」

「まだ決めてないけど、モモくんが決めたらいいと思うわ」


チグイルが答えると、カーチイルはモモの手を引いた。それは力強く無遠慮な手だったが、泥棒のおじさんの手とは違って嫌悪感を抱かせぬものだった。。


カーチイルは話を聞いてくれない祖母たちから離れるためだったかもしれない。でも、モモにとってその手はとても新鮮だった。


「来いよ、モモ。部屋見せてやる」











カーチイルの部屋には、大きな窓があった。もうすぐ日の暮れる街の上には、水色とオレンジの混ざった空が広がっている。


日が落ちていく部屋をモモは茫然として見つめた。机やベット、本棚やいろんなものを窓から来た光の筋が通っていく。


本のなかにしか無かった世界が目の前にあることを、モモは夢のように思った──モモの部屋には窓がなかったからだ。


「……本でも、読むか?」


立ったままのモモにカーチイルは声をかけた。外で走り回って遊ぶばかりの彼は、部屋の中で遊ぶなんて本ぐらいしか思いつかなかったのだ。


「本は好きだよ。兄さまが読んでくれるんだ」

「自分で読まないのか? モモは字が読めない?」


確かに、モモは自分で読むことができるのに兄がいる時は読んでもらっていた。それが当たり前のことであったので疑問に抱いたのは今が初めてだった。


どうしてだろうと思いながらも、モモはそれらしい答えに思い当たる。


「兄さまは読むのが上手だから。きっと読むのが好きなんだ」


いつも嬉しそうに読み聞かせてくれる兄を思い出すモモ。

そうか、と言ってカーチイルは本棚からいくつも本を取り出し始めた。


「モモはどんな本が好きなんだ?」

「キツネとヒトデと、ウミウシが好き! ドラゴンも!」


モモは動物の本が好きだった。文字ばかりの歴史の本はつまらなくて、そういうものばかりを”読んで”とお願いしていた。


「モモは図鑑が好きなんだな。おれ持ってないけど。この絵本は? 剣の英雄の話、一番好きなんだ」

「ぼくも好き! 読んでもいい?」


カーチイルがウィリディスに薦めたのは、この国で最も有名な絵本のひとつ、”剣の英雄”アルフレットの物語だ。

床にしゃがみこんで、二人はひとつの絵本をのぞき込む。


一人が読み終わったらもう一人を待って、ページをめくる。それがゲームのようで、モモは楽しかった。






窓から差し込む明かりはだんだんと消えてきていた。

絵本にも影が多くなり、モモは部屋のなかが暗いと思って魔法の明かりを出す。


モモの手のひらにふわっと現れた明かりは、ゆっくりと部屋の上に浮かんだ。

当たり前のように魔法を使って、すぐ絵本へと顔を戻すモモを、カーチイルはポカンとしてみていた。


ヴィナットレー家のあの表情である。


「え、え? なにしてんの?」

「なにって、魔法だよ? カーチイルも使えるでしょ?」

「たいへんだ! 母さん! モモは魔族だよ!」


驚愕の顔のまま、カーチイルは部屋の外へ向かって大声を出す。モモは訳が分からなかった。だって、ただ魔法を使っただけだ。


「魔族? どこにいるの?」

「どこって、お前……」

「絵本に出てくるよね、魔族のジーハ、英雄さまだ」


それがどうしたの、とでもいうばかりのモモに、カーチイルは業を煮やした。地団太を踏んで不満を表すが、相手にはまったく伝わらない。


モモは魔法を使っただけだ。モモにとって、魔法とは特別なことでもなんでもなかった。


あらあらと、すぐに母のチグイルはカーチイルの部屋へやって来た。

カーチイルを落ち着かせる彼女は、浮かぶ魔法の明かりを見て事態を把握したらしい。トキタスアに住む大人であれば、魔法には慣れている。


「カッチ、魔族だって、モモくんはモモくんでしょう。大声ださないの」


チグイルが諭すと、カーチイルは反発した。


「だって、魔族だよ。おれ初めて話した!」


頭の上にはてなが浮かんでいるモモは疑問を口にする。


「魔族は杖を持ってるんでしょ? ぼくは持ってないよ」

「魔法の英雄さまのご本を読んだのかしら。杖を使うのは、強い魔族さんが特別な魔法を使うときだけなの……よくは知らないけれど、普通の魔法を使うのに杖はいらないはずよ」

「じゃあ、ぼくは魔族? 兄さまも?」


物語の英雄と同じかも知れないと、興奮するモモ。


びっくりから抜け出たカーチイルは、きらきらとした心を隠そうともせずモモににじり寄る。


「なあ、モモはもっと魔法使えるのか?」

「使えるよ」

「じゃあ見せてよ! おれ魔法を近くで見るの夢だったんだ」


その言葉にすぐさま母親は叱りつける。


「こら、魔法は見せるものじゃないのよ。モモくんも、危なくないときは使っちゃダメ」


チグイルにそう言われて、モモは魔法の明かりを消した。屋敷にいるテオエラじいから同じように怒られたことがあったからだ。


それと同時に、チグイルが部屋の魔導具をいじり、照明を点ける。

ほわっとした光が部屋を照らす。


「ふんっ! うるさいな、モモ、外行こう」

「外?」


もう外は暗いからと、制止する母親をカーチイルは気にも留めない。道場から帰った後のこの時間は、通りの人通りも多い、安全だと彼は知っていた。


「街灯があるから大丈夫だよ。外で遊んで、そのままルシエルの店に行くから」


カーチイルは右手にモモを引っ付かんで家を飛び出した。相変わらず無遠慮な手だったが、モモはその手が好きになっていた。


「マナイラもいく!」


カーチイルとモモが飛び出したそのあとを、お菓子に飽きたマナイラが追って行く。家の前の通りを走るモモの耳に、チグイルの声が届いたがモモは止まらなかった。


確かめるように手をぎゅっと握り返すと、カーチイルもニッと笑って、もっと強く握り返した。


モモは、そのことが途轍もなくうれしかった。


それはいつもテオエラにいたずらをする時と同じうれしさだった。なんであれ外の人との交流は、モモにとってうれしいものだった。










家から少し離れた大通りは明るかった。老若男女、いろんな人が行き交っている。

通りを子供三人で並んで行く。モモはマナイラに話しかけてみるが人見知りをしているのか、首を振ったり反応をするばかりで会話はできなかった。


取っ組み合いの喧嘩か、通りの隅で人が集まっていた。


それを横目で通り過ぎるモモたち。面倒ごとには近寄らぬが吉である。


しかし、モモもカーチイルも戦い事に無関心ではなかった。


「重心を誰も見てない。素人だね」

「モモは道場に行ってないのに知ってるんだな」

「うん、じいたちが稽古してくれるんだ」


モモはテオエラやマハヴィルから、カーチイルとマナイラは道場で戦い方を習っていた。


「なんの稽古してるんだ?」

「剣と体の動かし方だよ。魔法は兄さまからだけど。カーチイルとマナイラは何を習ってるの?」

「それはなあ……」


ふっ! はっ! と、カーチイルとマナイラは型をその場でやって見せた。

それは腕を振り切り、足全体で飛ぶ、基本の形だった。


「"制空武道"だ。世界一強くなれるんだぜ。モモはグリーンベール領出身だから、知ってるだろ?」

「おおー! 凄いね。いいなあ、制空武道は危ないって教えてくれないんだ」

「剣や魔法はいいのに? 変なの」

「変なの?」

「変だよ」


家やご飯屋、花屋に人々。様々なものが見える通りの中でモモはカーチイルといろんな話をした。


「この道の先には、何があるの?」

「学校があるよ。大きな川もある」

「その先には?」

「その先? えーと、別の街があるよ。たぶん。行ったことないけど」

「なんで行かないの?」


小さなことでも疑問を口に出すモモにカーチイルはちゃんと答えてくれた。


その後は、おにごっこがしたいと言うマナイラに付き合った。

結果はもちろん、足の速いモモの圧勝だった。






「導きは空に!」




道中で両手を上にあげて叫んでいる人がいる。気になって三人が近づこうとすると、横から声が遮った。


「こら、カッチ近づくなって言ったろう」


マナイラにアメをあげる彼らは、夕食の買い物中のご近所さんたちだ。カーチイルとマナイラは顔見知りだった。


「あの人は?」


モモが聞くと、一人が答える。


「関わっちゃダメだよ。あれは教会の子羊だ、領主さまが怖くてグリーンベール領には寄り付かない臆病者さ」

「グリーンベールは実力主義だと聞く、教国とのコネも能力の内だと評定されるだろうに」

「よっぽどのこと裏でしてるんだろうさ、教会は」


天下三国がひとつ教国の宗教、"星の教え"。教義を知っているのは信者のみで、謎の多い存在だった。


「星の教えってなんなの」


カーチイルが聞く。


「教義かい? さてね、空飛ぶナポリタンが世界を作ったとかそんなもんじゃないかね」


聞いたことのない言葉が出て、カーチイルとモモは同時に聞いた。


「空飛ぶナポリタン?」

「魔法で誰かが飛ばしたの?」


カッチやモモがポカンとしていると、周囲の大人はみんな笑った。


「あやあや、君たち冗談だよ」


マナイラはアメを舐めていて、話を聞いていなかった。










井戸端会議が解散され、三人は晩御飯の場所、ルシエルの店に向かっていた。


「ルシエルの店は最高なんだ!」


そうカーチイルはモモに請け合った。そこでは食べ物と音の交流会が開かれるのだと言う。その店の前、おしゃれな二階建ての店の前でちょうど、アドリアたちと鉢合わせた。


カーチイルは母親に小言を喰らっている──何かあったらどうする気だったの、と。


アドリアは店の前で店長のルシエルと話をしていた。

ルシエルは白いひげを蓄えたおじいさんだった。


「休み? ありゃま、そんなもんあったかね?」

「今日は予約制なんだが……まあ、ばあさんたちならいいよ。入って。子供はタダ、成人は五千ジハゼルな」


ジハゼル貨幣は、トキタスアの通貨だ。延ばされた金属の札で、材質による色によって価値が違う。

アドリアが大人三人分を支払うと、ルシエルは店の扉を開けた。


「運がいいね、今日は珍しくヨハンとルドヴェグ、かのティバー・ランドも来ている。間違いなく数年に一度の豊作日だよ」


ルシエルの店は、一階が本業の服屋となっていて、二階は彼の趣味の店となっている。


その趣味が、料理と音楽だった。


階段を上がると、そこにヴィナットレー家行きつけのサウンドダイニングがある。

音楽家を呼んで演奏する場所を提供し、自分はそれを聞きながら料理を楽しむ。彼の入りは料理代込の入場料だけなのでほとんど儲けはなかった。音楽家を呼ぶのはタダではないので、経営的にはもちろん赤字である。だから趣味の店なのだ。


世界界中の演奏家の独奏や協奏が聴けるとあって、その手のマニアには評判の店だった。


大きく2つのスペースに分かれていて、食を楽しむ場所、そして音を楽しむ場所だ。勿論、どちらも一緒に楽しめる作りになっている。


ルシエルからメニューを手渡され、美味しそうなものしかないそれにモモは心を躍らせた。


カウンター席に着いた一行は早速料理を注文する。近くから聞こえる生演奏はとりあえずBGMに、花より団子だった。


そして、ヴィナットレー家に混ざるモモについて聞いたルシエルは顔をしかめた。


「領事館に預けるのがいいと思うがなあ」

「さっきも言ったでしょ、色々と込み入ってるのよ。ちゃんとお兄ちゃんに会わせてあげるって、私は決めたの」


頑として譲らないアドリアに、ルシエルは呆れてしまう。


「最高議会場にいるかもだなんて、結構なお偉いさんなんじゃないか」

「軍官のお偉いさんか? こんなかわいい子だ、良家の子かも知れんぞ」


酒を飲んでいるポーデは上機嫌でモモの頭を撫でた。


「しかも魔族なんだろう? その可能性はある。帝国かどこかに攫われなくて良かったよ」


ルシエルの危惧に、チグイルも深刻な表情で同意した。


「帝国の反魔族主義は酷いものだからね……これ以上仲がこじれなければ良いのだけれど」

「しかし母さん、帝国がトキタスアを手放すかね。合衆国との仲介貿易が途絶えるのでは?」

「それがね、合衆国と距離を置きたい皇帝陛下のご意向があるらしいよ、噂では帝位継承の準備とか……」

「唯一皇帝様ねえ、いかなる国も世界の中心ではない……ウチのお上は分かってらっしゃるだろうけどね」


そんな会話を聞き流しながら、モモは一杯のお茶と向き合っていた。じいの好きな苦いお茶だ。


子供用だと出されたお茶はまっくろで、もちろんモモは好きではない味がする。

モモはお茶を飲まないことにして、ポーデの隣からカーチイルとマナイラのところへ移動した。


マナイラは白い猫のぬいぐるみで遊んでいて、カーチイルはそれをからかっている。

かわいいぬいぐるみは小さなカバンを背負っていた。


それを見たモモは自分のリュックサックをヴィナットレーの家に置き忘れたのを思い出す。


兄からもらったものを忘れるだなんて、今までのモモにはありえないことだった。そんなありえないことが起こったことを、モモは不思議に思うのだった。


マナイラに頼むと彼女はぬいぐるみを貸してくれた。今はもう、運ばれてきた料理に夢中である。

白い猫をモモが両手で抱くと、温もりを感じた。


そして、暗くて優しくてあったかい場所、世界一大好きな兄の腕の中が思い出される。


モモの目尻でシャボン玉のように涙がぷくーっと膨らんだ。


「兄さまに会いたい」


泣き出してしまったモモの背をカーチイルは慣れない仕草でそっと撫で、何も言わずに慰めた。


モモは寂しかった。


何をするにも、いつでも兄さまと一緒にいたい。そんなわがままは言ってはいけなかったお家。窓もない自分の部屋。そんな場所でも帰りたくなった。


今なら、兄を感じられる場所ならどこでもよかった。


今なら大嫌いなテオエラでも会いたかった。






溢れ出てくる涙を、ぐずぐずとモモは手で止めようとする。


「モモは小さいから、泣いてもいいんだぞ」

「……ぼくはもうすぐ大きくなるんだよ。兄さまが言ってたもん」


兄は欲しい言葉をくれる。引っ付いたりすぐ離れたりするモモを困った顔ひとつせずに構ってくれる。


大好きな人に、会いたかった。


「ほら、飯、うまいぜ。食べよう?」


出された料理は魚料理だった。柔らかくソテーされた魚の身と野菜がやさしい色をしている。カーチイルは大口を開けてほおばった。


「この魚はな、この近くの川で獲れるんだ」

「……カーチイルは外をたくさん知っているの? 強いんだね」

「おう、おれは強いぞ!」


ふんっと、胸を張るカーチイルにモモは尊敬の眼差しを向ける。涙目だが、涙は止まっていた。

もちろん褒められたカーチイルはまんざらでもない。


「お前いいやつだから友だちになってやるよ。カッチって呼んでいいぞ」


友だちって、なんだろう。こてっと首を傾げるモモのフォークは進まない。本で読んだことはあっても、友だちというものがなにをするものか、モモには分からなかった。


ただでさえ、ごはんはよく噛んで味わってゆっくりと食べることをしつけられているので──もちろん、ちゃんと噛んでたべないと兄が心配するからである──モモは食べるのが遅かった。


それなのに、考え事などしていれば、フォークが進むはずもない。カーチイルは心配して声をかけた。


「魚、嫌いか? 食べられないか?」

「ううん。兄さまがいるときはお膝の上で食べるよ。あーんってしてくれる」

「……はあ?」


「ねえ、ッチがあーんってしてよ」


あーっと口を開けて待つモモに、カーチイルは根負けした。照れ臭かったが、先ほどのモモの泣き顔を思うと、叶えてあげたいと思ったのだ。


「ったく、しょうがねえな! 今回っきりだからな。  ……うまいか?」


おいしい! と、満面の笑みを浮かべるモモにカーチイルも満足する。それどころか、上機嫌になった。


「っそ、そうか……ほら、そんなにうまいならいいぞ。おれのもやるよ」

「ありがとう。カッチ大好き!」


仲良くご飯を食べる子供二人。一方こちらは、一連の流れをずっと見守っていた大人たちである。


「あれまあ、カッチったら」

「ぐうたれ息子の成長の瞬間を見た気がするよ。これで妹にもやさしくなるといいんだがな」


ポーデのその言葉を合図に保護者の三人は息を合わせて乾杯をするのだった。






料理を食べ終えたヴィナットレー家とモモ。


すでにカーチイルとマナイラは疲れて眠ってしまっていて、ポーデやチグイルは飲みを続けるらしく、どんどんつまみや酒を注文している様子だ。


「モモくんも一緒に休む?」

「ううん、好きなとこ行く」


眠る孫たちの様子を見ていたアドリアが声をかけるが、楽器を持った人たちの方へ行きたかったモモはその誘いを断った。


そうして、モモは音の溢れる方へと足を踏み出した。

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