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第003話〜マイルーム〜

「こちらラウンジとなっておりますっ!方々(かたがた)でご歓談なさったりご飲食なさる際には是非ご利用くださいませっ!」


 コロナちゃんに続いて階段を下りると真っ赤な絨毯が目に入る。照明は一様ではなく、薄暗いエリアと明るいエリアを故意に生み出しているようだ。遠くを見るに、滅茶広大な円の外周がラウンジになっているのだろう。そういえば岩塊から下りた階段の端もなぞると円を形作っていたような……。まぁゲームと言ったら円だよな(偏見)。摺鉢(すりばち)で例えれば口縁(こうえん)にログイン時の岩塊があり、木組みの建つ階段が胴、底にカウンター群があって、ラウンジはさらにその下の高台(こうだい)の外側といった感じか。

 一枚窓(反射防止層でも挟み込んでいるのか滅茶透明で存在を確信できない)を隔てた向こう側に星が見える。ん?この角度で星しか見えないってどういう理屈だ?……まぁそれは置いといて、


「ね、ねぇコロナちゃん?コロナちゃんが元気なのはいいことだと思うけど、ここではもう少し声量を落とした方がいいんじゃないかな?ほら、他の利用者?もいるわけだし……」

「ご安心くださいっ!ここ何故か騒いでも気になさる方々がいらっしゃらないんですよっ!」


 何故かって……そして騒いでる自覚はあるのか。

 確かにすぐ隣とはいえ俺にはこれほど騒……賑々しく聞こえているのに、ぽつぽつあるソファに腰掛けたり寝転がった(多分きっと)プレイヤー達はこちらに意識さえ向けていないように見える。

 逆に、談笑してる様子の席からも声が聞こえないってことはなんかアブソーバ的な緩衝効果が働いてるのか?まぁ今時……じゃなくてもゲームならこれくらい普通か。


 そんなプレイヤー達の様子(音以外)をもう少し(うかが)ってみると……。

 あれはノーパソか?なんか浮いてるんだが。まぁ俺もゲーミングチェアにもたれながらモニターの角度もうちょいどうにかならんものか考えたことはある。あれなら寝転がりながらでも首が疲れなさそうだ。

 そういえばインフルエンサー曰く『GGS内での配信可。その視聴も勿論可。さらに現実世界の動画も視聴可。なのに現実世界への直接配信は不可(血涙)』だとか。

 ……まぁ配信できなきゃ広告収入も無いわけだしな。今まで確立してきた配信形態もあるだろうに、イラストレーターを手配してまで面倒な手順踏むのは何かしらGGSに新しい(収益化の)可能性を感じてるってことなんだろうか……。

 確か礼状には二次創作的な活動を妨げないみたいな事も書かれていたような……。滅茶寛容。広告費みたいなものかも知れんが。


 なんて事を考えていると、


「ルシア様こちらへどうぞっ!」


 多分ラウンジで囲まれた内側エリアに向かう通路の入口でコロナちゃんが促してくれている。先導されて付いて行くと、両側に映画館ちっくな扉が。

 その一つを無造作に押し開けるコロナちゃんに内心(おのの)くが、中には誰もいなかった。良かった現場()に遭遇しなくて。


「こちらがルシア様のモニター兼シミュレータルームとなりますっ!」


 おぉ、ここがインフルエンサー曰く“神様ムーブ”を楽しめるとこか。なんかオフィスっぽいな。滅茶殺風景だが。ん?今“俺の”って言ったかコロナちゃん?


「え……っと?コロナちゃん。“私の”ルームってどういうこと?」

「はいっ!こちらはルシア様専用のルームとなっておりましてっ!ルシア様がお招きにならない限り他の方々がいらっしゃることはありませんっ!」

「入口に表札も無かったみたいだけどセキュリティは……」

「ああっ!えっとっ!一二三(ひふみ)に……警備統括は方々(かたがた)の波動を読み取る機能があるとか申しておりましたっ!」


 ……う〜ん、認証機能と割り振り転送機能ってことかな?まぁ今時普通……なのか?よく分からんが……、


「なるほど?そういうことなんだ。ありがとうコロナちゃん」


 まだ(まみ)えぬミヨコさん?とヨ……シ……ヨゴロウ?くんを空想しながら、俺はルームを見分して回る。

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