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どうしてもジョエルを表現したい。エドアルドはその想いと裏腹に、手にした金を酒と薬に変えてしまう。彼は生涯で何度も与えられる情熱ではないことをわかっていた。それでも肉体は酒と薬を求める。そしていつも肉体が勝つ。


カフェを出ると深く深く石畳に沈んでいく夜がエドアルドを捉える。血液のように赤葡萄酒が全身をめぐる彼の体は寒さに慄くが、エドアルドは自分の息の白ささえ煙草の煙と見極めがつかない。


彼は夜を感じないほどジョエルを自分の感性で形にしたかった。彼女を思う熱を形に昇華させたい。今この瞬間を形にしたい。早く。早く。しかし、石がない。熱に憑りつかれたまま当てもなく歩く。


町のあちこちでは地下鉄の敷設工事が行われ、枕木やレールの材料などがぞんざいに置かれたまま、作業員たちは日の暮れとともにいなくなる。闇の中、静まった工事現場にエドアルドの目が留まる。


あった!エドアルドは餓鬼が食物を貪るように、持てる限りの枕木と地面に敷く石を抱えてアトリエに帰った。今の彼に世の中の善悪は通用しない。喜びでじっとしていられない気が急かす。


「エドアルド、どうしたの?どこから持ってきたの?」


ドアの脇に枕木や石を置くエドアルドの後ろ姿に、ジョエルは声を掛けた。


「神様がくれたんだよ。」


エドアルドはジョエルの顔を冷たい両手で包むと荒っぽいキスをして、すぐさま枕木を手に取った。彼は喜びに満ちている。


「盗んだの?」

「どうでもいいだろう、そんなこと。」

「駄目よ、よくないわ、返してきて。捕まったらどうするの?」

「あんな風に置いておくのが悪いんだよ。盗ってくれって言っているようなもんさ。」

「・・・」

「なんだよ!なんなんだよ、その目は!」


エドアルドが硬い男の手でジョエルの白い頬を平手打ちすると、ジョエルの細い体は力ない羽のように部屋の隅に飛んで行った。咄嗟の出来事でジョエルは頬の痛みも少しの間感じなかった。


「そこに座って、少し俯いた感じで。」


何もなかったようにエドアルドはジョエルに言う。ジョエルも何もなかったように椅子に座る。言葉が出ない。屋根裏部屋の冷たく寒い三角の空間で、引きつった顔に涙が伝った。


エドアルドはその涙に優しくキスをすると

「綺麗だよ。愛している。」と、盗ってきた材料を物色し枕木を一本手に取って、貪るように彫り始めた。


ジョエルの涙にそれ以上の返事はせず、彼はそのまま夜が明けるまで情熱を昇華させ彫り続けた。


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