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その夜遅く、眠れないジョエルを下腹部の耐え難い激痛が襲った。僅かな出血に驚くが、無頓着になっている自分が恐ろしくもあった。血の付いた寝間着を洗っているとフィリーチェが物音を聞きつけ階下に降りてきた。


「・・・どうしたの?」


フィリーチェがジョエルの血の付いた服に気付き声を掛けた。


「・・・いえ、別に・・」

「出血したの?寝ていなくちゃだめよ。私がやってあげるから、ベッドに戻って。」


フィリーチェは半ば強引にジョエルから服を奪い取ると、冷たい水で血を洗い出した。


「明日、お医者様に診せないといけないわ。早く横になって。」


ジョエルは返事もせず俯いてエドアルドの眠るベッドの傍らに再び体を休めた。パメラに感じた怖気づくような気持ちはなく、不確実な安心を感じてジョエルは眠りについた。


翌日医者から、出産までは安静にするようにきつく言われ、ジョエルはベッドから出られなくなった。エドアルドに愛されたフィリーチェが、自分の看病をすることになる。フィリーチェはエドアルドを今でも愛しているのだろうか。エドアルドもフィリーチェを愛しているだろうか。


ジョエルの思考は体内の子供ではなく、二人の関係だけを注視するように移行していった。直接に言葉で尋ねる勇気など持ち合わせないジョエルは、二人の会話に耳をそばだて、二人の指先の動き、視線の行く先を目を凝らして見る。


フィリーチェが家に来てから、ジョエルは食事をすると喉が詰まるような苦痛を感じ、飲み込むことができなくなった。ろくに食べることもできないのに、彼女の神経は研ぎ澄まされ、二人の観察に費やされた。


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