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ソノはパメラの崩壊した無残な姿を悲しみ、強い優しさを恋しがりながら、彼女の部屋を片付けた。
正気と狂気の境で何がパメラを踏み外させたのだろう。エドアルドとジョエルが重要な役を演じていることに間違いはないと察していたが、直接の引き金があったのだろうか。
床に染みついた緑は時間が経って木の隙間に入り込み消えてくれない。床を擦りながらソノはパメラの愛を考える。ソノは自分を滅ぼすほど人を愛したことがない。パメラのように愛することが幸せなのだろうか。それほどまでに愛は荒々しいものなのだろうか。人は各々の愛をもっているのだろうか。
自分はどう人を愛するのだろう。パメラの示した模範の愛は、浮き立つ期待ではなく、恐ろしい熱を持った粘着質の病のように思えた。床を拭く手はいつしかおざなりになり、思考だけが渦巻く。
ドアの取っ手を回す音が突然響き、ソノは驚いて入口に目線を上げた。
「ソロ・・」
開けられたドアからエドアルドが入ってきた。
「・・エドアルド。どうしたの?」
「いや、その・・」
エドアルドの真意はわからないが、ソノにはどうでもよかった。
「パメラの事知っているの?」
ソノは作った冷たい声を突き刺して尋問を始めてみる。
「あぁ、リッカルドから聞いたよ。」
「彼女と何かあったの?」
「・・・いつものように過ごしていたんだが、急に言い合いになって・・・パメラが・・・ジョエルとどちらかを選べって。」
「それでなんて答えたの?」
話の先を急かすようにソノは遮って質問した。
「・・・ジョエルと暮らすと・・」
「無慈悲なのね。」
パメラを捨てたこの男を罰したい欲求が湧いてくる。




