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ソノがアトリエに戻ると、パメラはベッドに横たわって阿片パイプを吸っていた。優等生という常識の前で虚勢を張る子供のようだとソノは思った。
エドアルドは無関心に自分の作業を続けている。
破滅していくパメラの指から阿片パイプを切り離してテーブルに置くと、ソノは朦朧としているパメラの背中をゆっくりと擦った。パメラの心の痛みを撫でるように、それが消えてくれはしまいかと願うようにパメラを慈しんだ。
この可哀想な美しい創造物が、輝きを再び放つことはできないだろうか。ソノは無駄な思案をしながら、パメラが正気に戻るまで背中を擦り続けた。
「ソロ、送っていくわ。」
大きな深呼吸をしてだるそうに起き上がると、パメラはソノに声をかけた。
「ありがとう、じゃあ行きましょう。」
ソノはパメラをここから出すべきだと信じていた。作業を止めようとしないエドアルドに礼を言って外に出ると、ソノは我慢できないように言った。
「パメラ、エドアルドから離れたほうがいいわ。」
「何を言っているの?」
パメラは驚いたように怪訝な顔をソノに見せた。
「エドアルドにはジョエルがいるし。」
「なぜ知っているの?」
「さっき、階下で偶然会ったの。」
「彼女はただのモデルよ。」
「一緒に住んでいる人なのよ。よく考えて。」
ソノは声の調子を抑えてゆっくりと言ってみたが、パメラの心を波立たせるには十分な言葉だった。
「違う!エドアルドには私がいるのよ。愛してるの。彼も私を愛してる。」
「このままじゃあなたがボロボロになってしまうわ。」
一瞬声を荒げたパメラは、ソノの言葉を耳の前で遮断して、もうそれ以上は答えずに黙って片手を高く上げると、背を向けて夜の中に消えていった。ソノはその後ろ姿の寂寥に耐え切れず、振り向いて煩悶を抱えて急ぎ足で帰途についた。
愛することがパメラの命の源泉となり、絵の具となり、作品が生まれていた。それがいつしか愛することは苦しみでしかなくなっている。パメラはその日はもうエドアルドのところには戻らなかった。




