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カフェに近づくと年季の入った窓枠や扉の隙間から喧騒が溢れ出している。


ガブリエーレの開けたドアから、充満した世紀末の雑多な熱気の中へ、パメラは一歩入って行った。


鍵盤を叩き壊しそうなピアニストの演奏で踊る男女は、演奏を聞いていない。踊る女に目線を向けて飲む男たちは、女を見ていない。個々が個々の持て余した体を煙草の煙の中で漂わせているだけだ。葡萄酒が喉を通る時だけが現実の実感として味わわれる。


パメラは混沌に踏み込みながら、そこに溶けていった。居心地の良さが、彼女をどこよりも自分にさせた。


カフェに疾風が入ってくる。エドアルドは波紋のようにその魅力を振り撒く。


「あの人は誰?」


エドアルドの容姿や歩き方、深い瞳の色に、パメラは一瞬で目を奪われる。


「えっ?・・あぁエドアルドだよ。女は外身が良けりゃいいんだよな。でも奴にはもう決まった女がいるから無理だよ。一足遅かったな。」


短くなった煙草を消しながら、ガブリエーレはつまらなそうな言い方でパメラに答えた。そしてエドアルドの顔色が、また一段と悪くなっていることにも気づいた。


「やぁ。」


講義を終えたエドアルドがガブリエーレを見つけて、片手を挙げて近づいてきた。ガブリエーレはエドアルドにパメラを紹介する。


「エドアルド、こちらはパメラ。今日からクラロッシの生徒らしいよ。ペルピニャンから来たんだっけ?」

「えぇ、両親はスペイン人だからスペインで生まれたんだけど、数年前にペルピニャンに移ったの。初めまして、エドアルド。」

「やぁ、パメラ。僕もクラロッシで勉強してたんだよ。」


素振りだけでガブリエーレから煙草を一本貰うと、火を付けながらエドアルドは話しかけた。


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