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アトリエのベッドに仰向けに体を伸ばし眠りこけたエドアルドの靴を、ジョエルは静かに脱がせて、まだ酒の息をする彼を寝かせた。


彼女はエドアルドの熱が怖かった。自分に向けられる熱が自分への愛なのか、芸術への愛なのか、わからなくなる時がある。そんな時は自分の愛を確かめる。エドアルドが自分を愛しているのかではなく、自分が彼を愛しているのか。


答えはいつも大きなイエスだった。彼を愛さないことはできない。そして失うことのほうを怖れた。酒と薬に奪われるかもしれない。窃盗で警察に奪われるかもしれない。


翌朝、ジョエルは右のこめかみにできた赤紫の痣をうまく髪の毛で隠し、絶縁状態の実家に無心して僅かな金を手に入れ、全額を石膏や大理石、粘土に変えた。


「なんで!なんで大理石があるんだ!」


遅く目覚めたエドアルドは驚きながら子供のようにはしゃいで喜び、ジョエルは優しく微笑む。エドアルドは魔法のように現れた彫刻材の出どころなどに関心はなく粘土をこね始める。


それからしばらくは街に出ることもなく創作を続けた。粘土が阿片のようにエドアルドを恍惚に導く。


ジョエルは父親に正論で罵倒され、母親に泣かれても、粘土をエドアルドに与えられたことを誇らしく思った。自分の愛が誇らしかった。


19歳のジョエルには愛が何なのか、どういうものなのか、定義すらできないけれど、エドアルドを愛していた。彼のすべてを愛していた。エドアルドがジョエルだった。これが愛なのだと彼女は全身でそう感じた。それが強さなのか、弱さなのか、誰もわからない。


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