人類が滅んだ世界で、僕は君に恋をした
国語1の小説初心者が初めて作った作品なので、とても下手かもです。たくさんのアドバイスをいただけると嬉しいです。
「ここはどこだ…………?」
僕は機械からすぐに飛び出す――ボロボロになった研究室のような部屋だった。目の前から美しい声が聞こえてくる。
「こんにちは、私はアリナです」
僕はその綺麗な銀髪の女性を見て言った。
「愛してる!」
そしてその女性、アリナは嬉しそうに言った
「ありがとうございます」
思ってる言葉をそのまま言ってしまった……僕は状況を理解して一気に顔を赤らめる。少し気まずい空気になったと思ったが、アリナはずっと笑顔だ。少し恥ずかしかったが聞きたいことを聞いてみる。
「僕はなぜこんなところにいるんだ?」
「ここは100年後の世界です。あなたはコールドスリープで100年間も寝ていたのです。もしかして記憶がなくなっているのでしょうか? 」
「そうなんだ……何も覚えていなくてな」
「少し街を歩いてみましょうか。そうしたら何か思い出せるかもしれません」
「そうするか」
僕は部屋の隅にあったボロボロになったドアを開いた。すぐそこに階段があったのでそこを下る。下った先に、外へ出るドアがあったのでそこを思いっきり開けた。その光景はとても美しかった、ビルがツタに巻き付かれる大木のようで、本当に大自然の光景だった。だがしかし、人の姿が1人も見当たらない。
「もしかして、人類は……滅んだのか?」
「はい。AIの暴走で人類は滅んでしまいました」
「そうか……」
彼女も僕も悲しい表情になった。僕だけ生き残って他の人たちは死んでると考えると少し心が痛くなる。
「そうだ……少しだけ記憶を思い出した」
「何か思い出したのですか?」
「僕は『大罪人』だったんだ」
「僕は、人を殺した。全てを諦めようとしてた時期があったんだ。そして屋上から飛び降りようとしたんだが、止められたんだ、誰かに。その人は滑ってしまって、僕の代わりになるように落ちていったんだ……」
僕はとても苦しそうな顔をしながら記憶の内容について伝えた。だけどアリナは――
「そんなことないですよ。私は昔、あなたに救われたことがあるんです。あなたは決して『大罪人』などではございません。もう少し歩いてみたらいい記憶が元に戻るかもしれません」
僕はそんな言葉に少し元気をもらったが、少し疑問に思ったことがあった。
「ありがとう……だがなぜ100年も経ってるのに君は生きてるんだ? 」
「私はアンドロイドなんです」
その衝撃の事実をアリナは軽く言う。だけどなぜか僕の気持ちは変わらない。だから、僕も軽く返事を返す。
「そうなのか」
なぜ僕の気持ちが変わらないのかはわからない。普通は好きな人が人ではないと知ったら心は変わるはずなのに。
しばらく沈黙が続いた。
「そろそろ街を歩こうか」
「そうですね」
僕たちは歩き出す。
数分歩いた頃、僕が話し始めた。
「僕の服――よく見てみたら猫が描いてあるな」
「猫が相当お好きだったんでしょうね」
「君は昔の僕についてわからないのか? 」
「猫を飼っていたという話はお聞きしましたが、それ以外は何もわかりません」
「なるほど……昔の僕は猫が好きだったんだな。少し記憶が戻った気がするよ」
「どんな記憶ですか?」
「猫を飼ってた頃の記憶さ」
「誰かわからないが……猫を2人で飼ってたらしいんだ」
「2人で……ですか」
「誰かわかるか?」
「すみません。わかりません」
「そうか……」
僕はその人を必死に思い出そうとするが、思い出すことができない。
「ペットショップへ行ってみないか?」
「いいですけど……なぜですか?」
「もしかしたら思い出せるかもしれないんだ」
「わかりました。案内しますね」
「ありがとう」
僕たちはゆっくりとペットショップへ向かう。
「アリナは何か好きな動物はいるのか?」
「私も猫が好きです」
「そうなのか、可愛いよな」
「ですよね!」
そんな会話をしていたら目の前にペットショップらしき建物があった。
「ここがペットショップです」
「随分とボロボロになっているな」
「そうですね……」
すっかり100年も経っているから中身も大変なことになっているかと思ったが、案外とマシだった。ペットショップの中にはボロボロになったケージがたくさんあった。人はいないが、僕はペットショップを色々と探す。
棚に1個だけポツンと袋が置いてあった。
「これは……僕が猫によく食べさせていたキャットフードだ」
「何か思い出せましたか?」
「結構近づいたとは思うが、まだあまり思い出せないな。」
「そうですか……」
少し悲しそうな声でアリナは言った。
「猫の名前だけでも思い出したいな」
「ではあなたのペットがいた時の家へご案内いたしましょうか?」
「それはありがたいな。頼む」
「承知いたしました」
僕たちは自動ドアらしきものを通り再び街を歩き始める。人がいない街には寂しさを感じるが、会話や物音が聞こえなくて落ち着く。そして僕は考えながら歩いていたら……ドタッ
石に躓いてしまった。
「大丈夫ですか!?」
「あぁ……少し痛いけど大丈夫だよ」
「今すぐ治療するので動かないでくださいね!」
「これぐらいすぐ治るから――」
アリナは僕のそんな言葉を無視するように絆創膏を貼ってくれた。
「ありがとな」
「お怪我は大丈夫ですか?」
「うん……」
大丈夫とは言ったが歩くのが難しいぐらいに痛みが悪化してきた。ここは正直に言うべきだろうか? 少し疲れてきたからどちらにしろ言ったほうがいいか。
「ごめん、アリナ」
「なんでしょうか?」
「少し休まないか? 疲れてきたんだ」
「承知いたしました」
僕はすぐそこにあったベンチらしきものに座る。ちょっと汚いがまあ使えるだろう。アリナはすぐ隣に座ってくれた。
「お怪我が痛むのですか?」
「まぁ……それもある」
「今日は1日お休みいたしますか?」
「いや、数分待ったら歩こう。ところでここの光景に何か見覚えがあるんだよな」
「何か思い出せそうですか?」
僕は必死に考える。
「思い出した!」
「子供の頃ここの公園でよく遊んでいたんだ。キャッチボールとかしていたな。懐かしい」
「キャッチボールですか。いいですね」
ベンチの下にボールが転がっていた。これはキャッチボールをやれということだろうか? 僕は腰を屈めてボールを拾う。
「アリナ! 気分転換にキャッチボールをしよう」
「やりましょうか」
そしてアリナは僕から10mほど離れて、僕に力いっぱいにボールを投げる。それをキャッチし投げ返す。それを何度も何度も続けた。数十年ぶりの懐かしい感覚があった。
「楽しいなアリナ!」
「楽しいですね!」
僕の球が少しだけ大きく飛んでいき、奥にある茂みまで飛んで行ってしまった。アリナはその茂みへ向かっていったのだが、そこから猫がピョンッと飛び出てきた。僕とアリナはびっくりした。100年後の未来であっても猫が生きていたからだ。猫がこちらへ走ってきて、それをアリナは追いかけている。
「猫さん待ってください!」
「ニャー!! 」
そして猫は僕に飛びかかってきた! 僕はびっくりしたが、猫を抱きしめる。そしてアリナが近づいてきて――
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ」
「100年も経ってるのに猫さんがいるなんて驚きですね……」
「もし猫が生きているなら、猫以外の生物も生きている可能性があるかもな」
「危険な生物に襲われたら大変なことになりそうですね……」
僕は抱き抱えている猫を撫でる。猫は可愛い顔をしながら鳴いてくれた。
「もし危険な生物に襲われることになったら僕が守るよ」
彼女はアンドロイドのはずなのに人間のように顔を赤らめる。
「ありがとうございます、だけど無理はしすぎないようにお願いします」
「わかった」
猫に癒されたおかげで足がだいぶ回復した。それと記憶を少し思い出すことができた。
「猫の名前の記憶を思い出した」
「なんて名前だったんですか?」
「確か女の子で、名前はリナだ」
「いい名前ですね」
「そろそろ僕の家に出発するか」
僕たちは猫を置いて行こうとしたが、ねだる子供のように鳴きながらこちらに近づいてくる。連れていって欲しいのだろうか。
「あなたにすっかり懐いていますね」
「ここに置いて行くのも可哀想だから、この猫を連れていっても大丈夫か?」
「私は問題ありませんよ」
「じゃあ連れて行くか」
僕は猫を持ち上げて昔使っていた家へと進み始める。太陽は沈もうとしており、少し暗くなり始めていた。
「たくさんの建物が崩れているな」
「100年も経っていたら建物なんて崩れてしまいますからね」
「家も崩れていないといいが……」
「そうですね……」
そんな会話をしている途中急に崩れた建物から物音がした。その音がした瞬間、猫が何かに恐れている顔をした。そこから飛び出してきたのは……
とても腹を空かせたオオカミだった! 僕は咄嗟にアリナの手を掴み逃げる。さっきの怪我の痛みに気づかないぐらいに必死になる。
しかし、オオカミに追いつかれてしまいアリナの片足が食いちぎられる。僕はすぐにアリナを担ぎ、オオカミがアリナの足に夢中になってる内に全力で逃げ出す。僕はすぐそこにあったペットショップへ入る。
「これでひとまずは安心だが、アリナ大丈夫か!?」
「はい、アンドロイドなので痛覚はありませんが――」
「アンドロイドとかなんて関係ない! すぐ治療するぞ」
「ありがとうございます。足の部品は研究室にあります」
僕は急いで取りに行こうとするが――
「待ってください!! 外にはオオカミがいるので危険です! 」
「だけどそうすると君の足が……」
「落ち着いてください。オオカミは夜行性なので昼間にはおそらく寝てます。昼間に行きましょう」
「わかった……だが、それまで何をすればいいのだろう」
「きっと疲れているでしょうし、寝てはどうでしょうか? 」
「生憎と眠くないんだよな」
「そうですか……」
「…………」
30分ぐらい沈黙続いたと思ってた。だけど実際には10分しか経っていない。僕は少し暇だったので、アリナに話しかける。
「ごめんな。僕のせいで……」
「大丈夫ですよ」
アリナは落ち込んでいる僕を気遣ってくれているのか笑顔で言ってくれた。
「守ってやるとか言ったのに、結局僕は無力だった」
「私はアンドロイドなのでいくらでも直りますが、あなたは足が千切れてしまえば治ることはないのですから」
僕はそんな言葉に少しだけ元気をもらえた。
「ありがとうな。アリナ」
「こちらこそ心配してくれて、ありがとうございます」
僕はしばらく猫を撫でていた。アリナはそれを見てずっと笑顔でいてくれた。ずっと猫を撫でているとやがて眠くなっていき、僕は眠りに落ちた。
僕は飛び起きるように目覚めた。アリナはびっくりした顔をした。
「わっ!!!」
とても大きな声が聞こえてきた。
「ごめん――驚かせたな」
「こちらも驚きすぎてしまいました。すみません」
僕た立ち上がって周りを見渡す。猫の姿が見当たらなかった。
「猫はどこへ行ったんだ?」
「夜中に出ていってしまいました」
「そうか……まあいいか」
「ところでアリナは寝なくても大丈夫なのか?」
「私はアンドロイドなので、睡眠は取らなくても大丈夫なんです」
「そうなのか。それじゃあ僕は研究所まで行こうと思うよ」
「わかりました。絆創膏を1枚だけ渡すのでもし怪我をしたなら使ってください」
僕は絆創膏を1枚だけもらいポケットにしまった。そして外に出ようとすると後ろから声が聞こえてきた。
「気をつけて、必ず帰ってきて再び私を助けてください」
「わかった」
と僕は一言だけ外に出る。
外に出たら目に太陽の光が入ってきた。眩しくて少しだけ目を閉じる。
僕が前に進んでいると急に建物が崩れてきた。必死になってそれを避けるが、建物の破片が手に刺さった。すぐに手に刺さった破片を抜き、アリナからもらった絆創膏を貼る。
「やっぱり外は危ないな。気をつけないとダメだ」
そんな独り言を喋りながらずっと歩いていると、昨日いた研究所が見えてきた。その研究所の前まで行き僕はドアを開け、階段を上る。そして階段の先にあったボロボロになったドアを開ける。
「えっと……部品はどこだ」
僕は棚などを探していると研究の資料らしき本を見つけた。それを軽く読んでみる。そこにはAIの作り方が書いてあった。
「思い出した……僕は昔、AIの研究をしていたんだ。まさか……僕の作ったAIが暴走したのか? それってつまり僕が人類を滅ぼしたということではないのだろうか……」
僕は罪悪感で涙を流したが、アリナの言葉を思い出す。
――「必ず帰ってきて私を再び助けてください」
「まずはアリナを救わなきゃだな……」
僕は続けて部品を探す。そして奥の倉庫のような扉があったのでそこへ入る。
少しボロボロになっていたが足の部品が見つかった。これを持ち帰ればアリナは救われると思った瞬間のことだった。ここの建物がグラグラと揺れる。
「まずい! これは崩れる!」
僕は倉庫のドアを体当たりでぶち壊す。ドアを開けて階段を下りてる暇はないと思い、目の前にあった窓を突き破る。昨日の傷と少し降りた体勢が悪かったのが原因で足に激痛が走る。その瞬間建物は崩れ出した。激痛で立ち上がることが難しいが、僕は気合いで立ち上がる。
「アリナの元へ向かわなくちゃ……」
僕は後ろを振り向き崩れた研究所を見る。少し記憶が戻った。
「僕は確か壊れたアンドロイドを修理したんだ。それがおそらくアリナだ。なぜ壊れていたのかは思い出せない」
とりあえず僕は前を向き進み出す。とても痛い、だけど僕は足を引き摺りながら前へ進む。僕は何度も前へ進み、なんとか夕方までにはペットショップの前にまで辿り着いていた。その時、僕は限界が来て倒れ込む。アリナが片足で急いでこちらまで来てくれて、僕はペットショップの中へ入れてもらえた。
アリナは自分で足をくっつけ、僕の治療をしてくれていた。
「これじゃしばらくは動けませんね。何があったんですか?」
「研究所が急に崩れ出したんだ」
「すみません。私のせいでこんな怪我をさせてしまって」
「いや、僕が君を先に怪我させたんだ。こちらこそごめんな」
僕らは黙り込んだ。そしてアリナが喋り出した。
「大丈夫ですか? 少し休んだほうがいいかもしれません」
「大丈夫だ。明日には出発しようか」
「少し疲れた顔をしてますよ。無理はしないでくださいね」
そんなに疲れた顔をしていたか? と疑問に思ってしまう
「心配させてすまんな。でも大丈夫だ」
アリナは少し不満そうな顔をしていたが、僕は気にしない。そうしてしばらくするとアリナの声が聞こえてきた。
「眠らないんですか?」
「少し考えたいことがあってな」
そうするとアリナはまるで感情があるかのように怒る
「ちょっとは休んでください!!! あなたが明日になっても治らなかったら心配だし困るんですよ!!」
僕は初めてアリナが怒った姿を見て少し驚く。
「心配させてごめんな、ちょっと休ませてもらう」
と言ったのはいいが目を瞑っても眠ることができない。
「疲れていて眠れないんですね。膝枕でもしますか? 」
僕はびっくりしたが、少しだけならいいと思ってしまった。そして僕はアリナの膝に寝る。考え事なんてすぐに消えてしまい、僕はいつの間にか眠りについてしまった。
僕は膝の上で目覚めた。とても眠気がすっかり消え、ストレッチをした後のように体が軽くなっていた。
「よく眠れましたか?」
「うん、よく眠れたよ」
「それはよかったです」
僕は起き上がる。
「ありがとな――アリナ」
「どういたしまして! 」
僕たちは外に出てアリナが先頭になり歩き始める。
「そうえば何で君は僕を助けたりしてくれるんだ? 」
「好きだからですかね」
アリナは笑顔で言い、僕の顔を恥ずかしすぎて真っ赤になる。
「なんか……ありがとう」
「もうすぐで家に着きますよ」
「そうなのか」
そしてアリナは崩れた建物の前で止まる。
「ここです」
「崩れてしまっていたか……」
「何か思い出せますか?」
「何も思い出せないな」
「少し家の周りを歩いてみましょうか」
僕たちは家の周りを歩き始める。様々な建物が崩れてしまっていた。
「本当にすごい光景だな」
「そうですね……」
そうすると集合場所に最適な人の銅像らしきものが見えてきた。そして急に頭痛がした。
「うっ――頭が」
僕は目の前がクラクラし始める。そして昔の記憶が戻り始める。
「デートに遅れて来るなって〜!」
彼女は笑いながら僕のほっぺをツンツンして、そんなことを言った。
「ごめん、寝坊しちゃった」
「次来れなかったら起こしに行くね」
「次は遅れないから大丈夫だよ」
「その言葉2回目だぞ〜!」
とそんな会話をしながら僕とその女性は笑う。
そして僕とその女性は手を繋ぎながら街を歩き始めた。
そこで僕は目覚めた。気を失っていたみたいだ。そしてその女性に膝枕をされていた。今気づいたが顔が雨でも降ったかのようにびしょ濡れだった。
「大丈夫ですか?」
「大丈夫だ。少し記憶を思い出していただけだ」
「とても泣いていましたが何があったんですか?」
「いや、何かとても大切な女性と話をしていただけなんだ」
「そうですか……」
「もう十分休んだからそろそろ歩き始めよう」
「そうですね」
僕たちは立ち上がり再び歩き始める。あの女性は誰だったのだろう? とても大切な女性だったということしか思い出せなかった。そして歩いていると信号機が見えてきた。再び視界が揺れ始めた。過去の記憶がまた流れてくる。
僕とその女性は赤信号なので待機していた。そして、近くの山から迷子になってしまったのだろうか、なぜか犬みたいなオオカミが信号を歩いていた。そのオオカミの元へトラックが走ってきていた。オオカミの存在に気づかず轢こうとしていたんだ。僕はそれに瞬時に理解し、オオカミを守りに行く。
「危ない!!!」
オオカミを守ることはできたが僕は瞬時に死を感じた。
(僕は死ぬのか? まだ生きたいのに……)
しかしその動かない背中を誰かが突き飛ばしたんだ。
その女性は僕のせいで死んだ、轢かれてしまって……
僕はその悪夢から覚めて叫んだ。
「ごめんなさいッ!」
目の前にいたアリナは少し困惑する。
「何か思い出したのですか?」
「昔の恋人を思い出したんだ。その大切な大切な僕の恋人の名前は――――エリナだ。僕のことを一番真剣に考えてくれて、一緒にいる時は楽しくて……」
僕は自然と涙がこぼれ落ちてきた。
「トラックから僕がオオカミを守って、エリナが僕を守ってくれたんだ……」
「僕のせいで……僕がオオカミを守らなければ……」
気分が落ち込んでいる僕にアリナは言う。
「私はその時いなかったからわかりません。ですが一つ言いたいことがあります。私はあなたのことが好きです、エリナさんもきっと同じ気持ちだったんでしょう。ですが、私が死んだ後にこんなことを言われたら悲しいです。エリナさんはあなたが好きで守りたいからあなたを守ったんだと思います。ですがその気持ちを無かった方がいいなんて絶対に違うと思います! オオカミもあなたにも助かって欲しかったんですよ! それをあなたが『守らなければよかった……』なんて言うのは違うと思います!! それは彼女の気持ちを否定しているのと一緒です!」
アリナは泣きながら言っていた。本当に…………本当に……人間みたいなやつだな。僕はまたしても元気をもらってしまった。僕は涙を拭って、彼女の涙も拭いてあげる。
「ごめん。ありがとう」
僕は、もう彼女には心配をかけたくない。
「もう全てを思い出した」
「まだ思い出せてないことがありますよ」
なんだろう、まだ思い出してないこととは。僕は恋人のことも自分のやってしまったことも思い出したはずだ。
「ついてきてください」
僕は黙って彼女について行く。
そして目の前にはボロボロになったマンションらしき建物があった。
「ここが、彼女の亡くなった後、あなたの住んでいた家ですよ」
「そうか……」
「あなたは彼女を亡くしてしまった後、心が壊れてしまったんです。そして仕事を辞め、ここに引っ越したんです」
「もうそれは思い出したよ……」
「では屋上まで行きましょう」
僕たちはゆっくり階段を上る。ゆっくり上っているはずなのだが、とてもその時間は早く感じた。そしてすぐに屋上まで来てしまった。
「あなたからしたら私と初めて会った場所はここでしょうか? 」
僕は全てを思い出した。
「君が助けてくれたんだな、アリナ」
僕は全ての記憶を思い出したことにより、それを察していた。
「もうすぐお別れの時間です」
1人になるのは嫌だ。だけどアリナのためにも、エリナのためにも生きなきゃいけない。
彼女はおそらく自分で作った、その過去に戻れる道具を使おうとしていた。
「懐かしいな。君と最後に会えてよかったよ」
「こちらこそ何度も救ってくれて、ありがとうございます」
「君はそれを繰り返していたんだな。まるで、それはAIだな」
「何言ってるんですか? 私はAIですよ」
笑顔でそんなことを言う彼女に僕は――
「君は立派な人間だよ」
と僕が命名した人間にそう言った。
私は、飛び降りようとしている彼の手を掴んで言った。
「私も愛してますよ」
そして私は飛び降りた……
すごく考察できる物語を作りたかったのですが、すごくわかりにくく、難しくなったかもです。