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7.仲良し姉妹

神さまも将来のことは悩むみたいです。

 デメテルの気持ちは素直に嬉しかった。僕もその気持ちに真摯に向き合わなきゃな。でも、それはそれとして、何かデメテルにしてあげられることが見つかればいいな。今の僕に出来ることってなんだろ……?   


 もしかしたら、これからの天界での暮らしの中で見つかるかもしれないな。神さま達がどんな生活をしてるのか興味もあるし、まずはその辺りを知っていくことから始めてみよう。

 デメテルのご両親にもそのうち、お会いできる日が来るんだろうか?妹さんは日本に転生してるはずだもんな。


「そういえば、アルテミスさまはご両親の能力とは違う分野なんだね?」


 確か、月と星の神さまを目指すとかって言ってたっけ?


「ええ、そうなのよ。アルテミ(あの子)スも少しはお母さまたちの力を継いでると思うのよね。でも、そういえば、昔から星が好きだったわ。自分の神としての道を決める年齢になって、あの子なりに色々、悩んでたみたい」


 そういえば、神さまの年齢って考えたことないな。デメテルはどうみても20代前半にしか見えないんだけど……。


「あの、聞いていいのかわかんないけど、アルテミスさまっていくつなの??」

「年齢?ん~そうねぇ。分かりやすく流星の世界でいうと、あの子、1000万才くらいじゃないかしら?」


 ……は?


「え?……えっ?……い、いっせん、まん……さい……?」


 1000万才って……え?マジで??1000万年前に産まれたってこと??恐竜がいたのってどれくらい前だっけ?1億とか2億年前?かな?よくわかんないけど、恐竜の時代よりは後ってことなのかな。


「ふふっ、驚いてるみたいね?その頃は確か、地球にまだ流星たちみたいな人はいなかったわね?もちろん、ご先祖はいたでしょうけど」

「じゃ、じゃあ、デメテルはお姉さんだから、もっと前に産まれたんだね……?」

「うふふっ、そうよ?でも、女性に年齢を聞くのは失礼なんでしょう?」

「え?あ!ご、ごめん……」

「ふふっ。うそうそ。じょーだんよ。流星には私のこと、なんでも知っておいてほしいの。私はね、2300万才くらいよ!」


 腰に手を当ててニコッと笑顔を作ると、ばい~んと彼女の存在感ある一部分が揺れる。ばいんばい~ん。おぉ!これが2300万(才)のお胸さまか!


「そう言えば、私が産まれた頃に、地球の大陸がようやく流星の時代と同じような形になったらしいわよ。それまではあちこちに陸地が動いてたらしいの」


 そう言いながら、デメテルが人差し指を大きく左右に動かす。お胸さまもゆさゆさ揺れる。うん、ずっと見てられるな。ゆっさゆっさ。

 ハッ!まずいまずい。真面目に聞かないと。


「うちはずっと昔から地球担当の家系なのよね。だから、お祖父さまたちよりもっともっと前の神も、ずっと地球を見守ってたのよ」


 地球の歴史を実際に見てるってすごいな。でも、デメテルが2300万才か……ん?待てよ?


「あの、デメテル?変なこと聞いちゃうけど、デメテルのお母さんってもしかして、4000万才とかだったりする??」

「やだも~!お母さま、そこまで若くないわよっ?それだったら、1700万才くらいで私を産んでることになっちゃうわ!あ~おかしいっっ」


 はは、笑いすぎて涙を浮かべてるよ。ホント明るい女神さまだなぁ。でも、これで分かった!地球換算の年齢にするには、神さまの年齢を100万で割ればいいんだ!

 てことは、デメテルはいま、23才か……見た目も一致してるし、きっと合ってそうだな。僕より3つ年上か。そう考えると、余計、親近感が湧いてくるな。


「あ~おかしかった!あら?な~に?どうしたの?なんだか嬉しそうな顔してるわよ?」

「ううん、なんでもないよ。笑い転げてるデメテルに見とれてただけ」

「もうっ!からかわないで!流星ったらいじわるなんだからっ」

「ごめんごめん」

「あ、そうだわ!アルテミスの写真、見てみる?ちょうど地球に転生する直前のがあるわよ?」


 そう言うと、慣れた手つきでタブレットを操作し始めた。う~ん……この地球人っぽい感じ。こうしてると、ここが天界ってこと忘れそうになっちゃうな。


「え!ぜひ見たいな!」

「はい、ど~ぞ。どお?2人で撮ったのよ」


 わくわくしながら差し出された画面を見ると、そこには満開に咲いた花のような笑顔を浮かべた、いかにも仲の良さそうな姉妹が写っていた。デメテルと、その肩くらいまでの背丈の可愛らしい女の子だ。


「へ~!!この右の子がアルテミスさま?すっごく可愛いね!髪も巻いてるのかな?お洒落なんだね!」

「そうでしょ?うふふっ、巻き髪(それ)、私の真似をしたいみたいで、やって!って手にコテを持ってよくせがんでくるのよ」


 コテ?ああ、あの太い棒みたいなやつか。すごいな、僕より地球の物を知ってるなんて。


「まあ、私のはくせっ毛だから、そんなに巻かなくても自然にそうなるんだけど、あの子は逆にストレートなのよね」

「そうなんだ?お姉さんの真似をしてみたい年頃なのかもね」


 写真の中の可愛い女の子は、どうみても小学生にみえる。よし!僕の年齢換算案は正解みたいだな。


「そうかも知れないわね。いっつも私の後をくっついてたものね」


 ほんとに仲が良いんだね。でも、(地球換算の)10才でもう自分の将来を考えて修行っていうのかな?始めるのか……神さまってもっとお気楽なのかと思ってたけど、全然違うみたいだ。


「いまは月と星の神さまになるために頑張ってるんだね?」

「そうね。いまあの子が地球に無事に転生していられるのも、流星のお陰だわ。本当にありがとうね?こっちに戻ってきたら必ず、アルテミスにもお礼に来させるわね」

「はは、もうその話はいいよ。アルテミスさまが無事で、僕もこうしてここにいるんだから、ね?」

「うん……ありがとう、流星」


 2人で微笑みあう。美人は3日で飽きるなんていうけど、そんなこと全然なさそう。心も綺麗な神さまだから、きっと一緒にいて安らぐんだろうな。……なんだか照れくさいや。


「それで、ご両親はアルテミスさまの将来のこと、なんて言ってたの?」

「うちの両親は、結構、理解のある方だと思うのよね。私の時もそうだったんだけど、『自分の好きなものを見つけて、そのことに一生懸命になりなさい』って言ってくれたの」


 その時の事を瞳をキラキラさせて話すデメテル。きっと、ほんとに嬉しかったんだろうな。


「アルテミスもきっと、同じことを言われたんだと思うわ。だって、お父さまたちが応援してくれたって教えてくれたもの」


 へ~いいご両親だなぁ。好きなものをみつけなさい、か……僕もベーカリーカフェ(日本にいた頃の夢)は諦めて、他のことを見つけられるといいな。


「デメテルのご両親って本当に素敵な神さまだね。僕たち人間の世界でも、やっぱり自分の家や職業を継がせたいって親はたくさんいるよ。子供の意見をちゃんと聞いて、その上で背中を押してあげるのってなんだか素敵だな。だから、デメテルもこんなに真っすぐで心の綺麗な女神さまに育ったんだね。あ、もちろん、外見も凄く美人だし、笑顔だって可愛くて素敵だよ?」

「や、やだわ……恥ずかしいからもう言わないでっ。もしかして、お姉さんを口説いてるのかしら?ん~?」

「え?ち、ちがうったら。本心を言っただけだよ。はは、まいったな」

「ふふっ、ごめんね。あんまり褒めるものだから照れちゃったの!あと、ありがとう。お父さまたちのこと、素敵って言ってくれて。とっても嬉しいわ!」


 顔を赤らめながら微笑む彼女は、僕を見て何かを思いついたように一瞬、悪戯っぽく笑って続けた。


「それにしても、ほ~んと、流星ったらいつのまにか、私の大事なものを盗ってっちゃうんだから」

「え……?なにも盗んでないよ??僕」

「いいえ、あなたはとんでもないものを盗んでいきました……わたしの心です!」


 デメテルはそう言うと、愛らしい笑顔で投げキッスをしてきた。ほんと、どこで覚えてくるんだろ??その台詞。天界はブルーレイも観れるのかな?

ここまで読んで頂いてありがとうございます。

まだ次回も、アルテミスの話が続きます。

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