クスリマツリー
クリスマス小説です!
ワシはサンタじゃ。見て分かる通りもう後期高齢者じゃ。若い頃は改造したソリでブイブイ言わせておったが流石にワシも時の流れには逆らえん。年老いた体で生活習慣病に怯える日々を過ごしておる。さらに8頭のトナカイと部下の妖精たちを年金だけで養うのは流石に無理じゃ。普段はパートをしておる。皆の欲しがるプレゼントも高額化しており、ワシの懐はクリスマスの夜の様に寒い。本当は良い子にも悪い子にもプレゼントをあげたいんじゃが、それは叶わんのだ。
今日はクリスマスイブじゃ。この日のために体のコンディションを整えてきた。早速プレゼントを配りに行くとしようか。
プレゼントは夜のうちに配らねばならん。子どもたちにも気づかれない様にしなくてはならんし、最近ではサンタを捕まえようとカメラやトラップを仕掛けてくる子どももおる。
ほれ、こんな風にな。
甘い甘い、こんな物にワシは引っかからんぞ。
おお、この子は今年もお手紙とお菓子を置いてくれとる。ちゃんと返事を書いておかねば。
しかしこのクッキー、砂糖の塊みたいなものではないか。こんなものたくさん食べれば糖尿病まっしぐらじゃな。
だが子供達の想いが詰まっておる。これは美味しく頂いておこう。
その後もたくさんの子どもたちにプレゼントを配り、時にはお菓子や手紙なども貰いながらクリスマスの夜は明けていった。
プレゼントの配達も終わり、部下の妖精が今日の薬を持ってきた。できるサンタは健康管理にも気を遣っておるのじゃ。後継者も不足しておるし、まだまだワシが現役で頑張らんといかん。
「今日のお薬です。」
「なんじゃ、いつもより多くないか?」
「サンタさん、お年を考えてください。あんなにたくさんの糖分を摂取しておいて体に良いわけないじゃないですか。」
「じゃが、あのお菓子一つ一つに子どもたちの想いが詰まっておるんじゃ。食べないというわけにもいくまい。」
「それはそうですが、サンタさんのお身体に何かあったらどうするんですか。身体を壊して今後プレゼントを配れなくなったなんてなれば子どもたちが悲しみますよ。」
「はぁ、それを言われると何も言い返せんわ。クリスマスで薬増すというやつじゃな、ふぉっふぉっふぉ」
「「「「・・・」」」」
「なんじゃ、誰もクスリとも笑っておらんの。これでは皆のクスリは増さんかったということか…」
ふむ、場が凍りついておるな、そういえば今は冬じゃったな。どれ、ワシが一肌脱いで場を温めてやろう。いや、一肌脱いだらワシが寒いじゃろ。風邪をひいては敵わん、老人らしく身体を労るとするか…。
ふぅ、やはり年々衰えを感じるのぅ、果たして来年もプレゼントを配れるだろうか…。
皆さんもサンタのおじいさんの健康のためにもカロリーオフのお菓子を作ってあげてくださいね!
子どもたちもサンタさんはもう後期高齢者なのでプレゼントが届くのが遅れたり、流行のものが貰えなかったとしてもどうか怒らないであげてください。
タイトルはクリスマスツリーではありません。
薬祭り…クスリまつり…クスリマツリー…