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文章が稚拙なのでちょいちょい改稿します。

 シーディがその場を立ち去ろうとした瞬間、突然背後からユニシスに抱きすくめられた。


「やはり、やはりお前が私のシーディだったのだな。シーディ、愛している。私はお前を迎えに来た……」


 その時突如、ユニシスの胸の辺りが眩い光を放ち始めた。慌ててその光り輝くなにかを取り出すとシーディに差し出した。


「見ろ、運命石がこんなにも光り輝いている」


 あまりの眩しさに目を細めながら、差し出された運命石をシーディはそっと触った。すると、運命石はさらに輝きを増しついに砕け散ってしまった。


 ところがその欠片はそのまま光の粒となり、シーディを包み込むように囲うと、一気にシーディに吸い込まれていく。


 光の粒に囲まれた瞬間、シーディはシャンディとしての記憶をすべて思い出した。





 その昔、運命石を作れる一族は、色々な者たちから命を狙われていた。欲深いものに捕らえられ、無理矢理運命石を作らされ命を落とす者、脅威と見做され殺される者もいた。


 そうして一族の者は根絶やしにされていき、シャンディの両親が最後に残った。


 両親は人里から離れひっそりと暮らしていたが、ある日旅人に見つかりシャンディを逃がすために殺されてしまった。


 そうして追ってくる旅人から山の中を逃げまとっていた時に助けてくれたのがユニシスだった。


 竜族は人と関わらず、人間界に降りてくることはあまりない。だが、ユニシスは人間界に興味を持っているようだった。


 これがきっかけで、ひとりになったシャンディはユニシスと一緒に暮らし始め二人は愛し合うようになっていった。


 ユニシスは人間が好きで、この世界に秩序をもたらしたいと言った。


 シャンディはユニシスのために、自分にできることは唯一運命石を作ることだけだと思った。


 運命石を作ると、その運命石を再度体に取り入れなければそのまま命を落とすが、それでも構わないと思った。


 シャンディはありったけの気持ちを込めて運命石を作り出し、ユニシスに渡すとユニシスは言った。


「必ずや人間界に平和をもたらし、この運命石を持ってお前を迎えに来る。それまで待っていてくれるか?」


「はいわかりました、約束します。私はずっとお待ちしてます」


 二人はそう約束を交わした。


 シャンディはこの約束を違えてはならないと思い、ユニシスが旅立つと最後の力を振り絞り、運命石を持ったユニシスに迎えにきてもらえるまで何度でも生まれ変わる呪術を自身にかけた。


 そして、シャンディはユニシスを待って何度も生まれ変わったが、シャンディが死んだ十六で命を落とした。何度も輪廻転生を繰り返しユニシスを待ち続け、シーディに生まれ変わったのだ。





 気がつけばシーディは涙を流していた。


「ユン様、やっと、やっと私を迎えに来てくれたのですね?」


 ユニシスは頷く。


「そうだ。二千年ものあいだ、お前をひとりにして悪かった」


 シーディは首を振る。


「でも、こうしてちゃんと約束を守ってくれたではありませんか。私はユン様に救われました」


 ユニシスはシーディの顔を両手で優しく包むと、親指で涙をぬぐう。


「いや、救われたのは私の方だ。その優しさを思い出し何度となく救われた。お前を忘れたことはなかった。なのに強くシーディに惹かれて戸惑った。だが、やはりお前は私のシーディだったのだな。愛してる、愛している。ずっとお前ひとりだけだ」


 ユニシスはそう言うと、シーディに口づけた。






 シーディが運命の乙女だったことは世界中に知れ渡ることとなり、当然後宮で暮らすことになった。


 本当は家族も帝都へ連れていきたかったが、両親が村を離れたくないとそれを嫌がった。


「そんな、私、みんなと離れたくない」


 そう言うシーディにユニシスが優しく言った。


「家族にはお前が会いたい時に会い行けばいい」


 それを聞いた両親が頷くのを見て、シーディは素直にユニシスに甘えることにした。


 村人たち全員に温かく見送られ、少し気恥ずかしい思いをしながらコジ村をあとにすると、馬車で後宮へ戻った。


 すると、後宮ではリンとランに出迎えられる。二人の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。


「シーディ様、もう二度と会えないと思ってました~」


「牡丹様~、お会いしたかったでずぅ~」


 そう言って二人してシーディに抱きついた。シーディも二人を思いきり抱きしめた。


 その後ろで立って見ていたスンは、しばらくそんなシーディたちを見つめていたが、突然こらえきれないように目頭を押さえた。


「すまない、私は今話せそうにない。後でゆっくり話そう」


 そう言い残し、その場を去っていった。


 こうして後宮へ戻ったあと、リンとランが変わらずシーディの世話をすることになったが、部屋は以前使っていた部屋ではなく、今後はユニシスと同じ部屋を使うことになった。


 ユニシスに抱きかかえられながら部屋へ入ると、炬燵があった。


「ここにも炬燵は用意したが、ここは私たちだけの部屋だ。他にリンやランと集まれる部屋を作ってあるから、おやつはそちらで食べてくれ」


 ユニシスにそう言われ、しばらく二人で見つめ合ったあとお互いに声を出して笑った。


 シーディはユニシスと炬燵に入り寄り添うと、疑問を口にした。


「あの日、なぜユン様は私のところへ来られたのですか?」


「お前が後宮を去ったあと、本物のサンタスが戻って来て言ったのだ。『運命の乙女が転生していると言ったのは私です』とな。てっきりあの予言をしたのはクントだと思っていたのだが、クントに入れ替わったのはこの予言をした直後だったらしい」


「そうだったのですね。それで、私がシャンディだと思って迎えにきたのですね」


「そうだ」


「サンタスの予言はどのようなものだったのですか?」


「『運命の乙女が生まれ変わり、その生まれた日に覚醒する』という予言だった」


「だから、私の誕生日に迎えに来たのですね」


 すると、ユニシスは自嘲気味に笑った。


「いや、実は誕生日だとかまったく考えていなかった。なぜならサンタスにそれを聞いた瞬間、私は後宮を飛び出しお前の元へ向かっていたのだから」


 そう答えると、ユニシスは少し考えてから言った。


「そうか、あの日はお前の誕生日だったな。そう考えるとサンタスの予言は完全に当たっていたのだな」


「そうですね、本当は誕生日は覚醒に関係なくユン様が私を迎えに来た日が、たまたま私の誕生日ということだったのですね。でも、迎えにきたあの日『シャンディか』と訊かずに『私のシーディか?』と質問したのはどうしてですか?」


 その質問にユニシスは


「話せば長くなるが」


 と、前置きし話し始めた。


「お前が前にここに居たときの話だ。私は勢力を増し権力を握ろうとする豪族を抑えるのに手こずった。そして、勢力を増したその豪族の娘との婚約話まで出された。まぁ、そんな娘と結婚する気はさらさらなかったのだが」


「そうだったのですか。牡丹はユン様が豪族と婚約するために邪魔になって嫌われたのだと思っていました」


誤字脱字報告ありがとうございます。


※この作品フィクションであり、架空の世界のお話です。実在の人物や団体などとは関係ありません。また、階級などの詳細な点について、実際の歴史とは異なることがありますのでご了承下さい。


私の作品を読んでいただいて、本当にありがとうございます。


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