第5話 一時。
注意。
一部内容に、傷害描写・欠損表現が含まれます。
それでも良いよという方は、
どうぞ「現想異文奇譚」を楽しんでください。
第5話です。
楽しんでくれたら、幸いです。
イテク達は、町で調達した荷物を担ぎながら安全領域外にあるキャンプ地に向かっていた。
彼、イテク・アセナウィートは、安域外の森を見渡しながら、重いな、と思ていた。物を背負っているというのもあるが、雰囲気、いや実際に、なにかが重いと感じていた。それは、魔力なのか、はたまたこの場所特有の地形なのか、磁場なのか、光景なのか。とにかく、物理的だと思う何かを感じていた。
「あっあそこだね」と重い荷物を持った姿が、相変わらず爽やかさを引き立たせ、瑞々しく汗に浸った顔をこちら向けて、ティチィは言った。
彼はティチィ・キューコ、別にリーダーを決めているわけではないが、リーダーのように率先して指揮をしてくれている、なんとも頼もしい人物だ。自分とそう歳は変わらず、彼の方が一個上だが、何倍も大人のように思える。精神年齢的なものだろうか。この世界の住人は、それが高いと感じる。もちろん、今まで会った人全員ではないが。というより、歳が離れた人の知り合いが多いから、そう思うのかもしれない。
キャンプ地に近づいて行くと、不穏な声が聞こえきた。
「だから、大人しくしろって言ったろ」と眼帯を付けた男が言い、メスの魔物を突き飛ばしていた。
そこには、リザードマンとオーガのハーフであるオードマンがオスとメス一体ずつおり、手を後ろに拘束されていた。衣服を着ておらず、黒い髪と正反対の色の毛が生えている。見た目は、図鑑で見た通りオーガ寄りの骨格をしているが、鱗があり目が爬虫類を思わせる。その青い肌から、所々生々しく血を流し、傷口から骨や筋肉の繊維が見え、皮膚がペラリと垂れている。メスの方の腹の辺りに目をやると、全身と同じように筋肉がしっかりと発達し、そこについている脂肪が戦闘に適していると思わせる、その腹に今にも臓腑が出てきそうな切り傷が見えた。
目を逸らそうとしても、片足が膝下から無く血がダバダバと流れ、オスの方を見ると、指の断面が見え、もうこれ以上見たくないという気持ちに追撃するように、男のそれがそういう木目のように見え、半分に切られていた。どこを見ても、不快な色合いが目に映る。
こんな事は自分の世界にもある事だ。とイテクは頭に過ぎった。昔から形や規模を変えて続いている。ただ、俺が知らないだけだ。俺も命を殺した。でも、これは、今見ている、これは、違うものだ。ある意味、家畜を殺すようなものだった。だが、これは。仮にこの者たちを家畜として見たとしても、こう⋯⋯やるだろうか。家畜に。イテクは、この光景に負の感情とは違う、非現実的な、錯覚のような浮遊感を抱いた。頭が追いつかず、気持ちとは裏腹に凝視してしまう。鱗の再生が追いつかないほど剥がされた跡が見え、爪を押し当てたような痕が、テントの方に目を逸らした時に見えた。
テントの横で二メートルほどの猿の魔獣が呑気に寝ている。確か、この魔獣はここを守る番犬のような役割だと思い出す。その魔獣の懐で、筋骨隆々な男が、袋に何かを入れた。体の中がスっと抜けるのを感じる。これは、困惑、もしくは確信だろうか。
オスの魔物が蛇のような音を出しながら「Wazw cutf!!! Azy cutf gyw!!!」と怒鳴った声で言いながら男の方ににじり寄る。すると、メスがなだめているのか、オスの方に近寄って、地面を墨が涸れた筆のように赤く塗る。
「なんだ?おい、なんて言ってんだ?」と眼帯の男がテントの中にいる長髪で面長な男に言うと「さぁ、知らねぇ。どうでもいいだろ、そんなの」と虫の居所が悪いのか、不機嫌にメスの方を睨みつけながら言った。メスはその視線に気づくと、表情は変わっていないが、どこか強かに意志が霞んでいる。
眼帯の男が続けて「まっ、いいか。とにかく、黙れ。な」と睨みつけているオスの首に剣を撫でた。
男は何を思ったのか「あいつらにも、こうやったんだろ?」と冷静に当たり前のことをやるかのように、落ち着いた口調でメスの魔物の腹に剣を刺した。
「なぁ!こうやって、縛って、脅してよぉ!」
メスの腹がパチパチと瞬きをして、メスは自分の体を恨むように悶え苦しんでいる。欠損しない限りは、魔物にとってこんなもの屁でもない。ただ、辛いだけだ。
そんな光景を見てオスの魔物は「やめろ!殺すぞ!!!」とこちらの言葉で、そう言った。
男はピタリと止め「なんだ、知ってるのか?俺らの言葉が。で、殺すって?」とバカバカしいとニヒルに笑う。
「あ?なんだ、その顔は?」
男は魔物の顔を見て、よくそんな顔、できるな、と思った。その魔物の決意なのか、はたまた殺意に対してなのか、そんなことが頭を過った。あいつらの事を思い出すと共に、男に怒りが湧く。
「もういいか⋯⋯」
その言葉は、皆に鋭い予感を突き刺した。その男は、剣を振り上げた。
ガサッと奥で葉が鳴った。
皆、一斉にそちらを見る。この静寂は、緊張をより感じさせた。
「はぁ⋯⋯、まぁいいか。おい、行くぞ」と仲間に首で促し、外にいる筋骨隆々な男が大きな袋を担いで、テントを通り過ぎ、長髪の男が立ち上がりにくそうにテントから出る。眼帯の男が立ちながら魔物に付けられている首輪を引っ張り、イテク達は道を開けた。
オスの魔物が引っ張られながら、森に入って行くその後ろで、面長な男がメスの顔面を殴った。オスがそちらに振り向き、肩を振り回し、メスの方に向かおうとするが、虚しく首が引っかかり前を向く。引っ張られながらも、メスの方を必死に見ようと視線を向ける。メスは、臆することなく脇に抱えられながらも、睨みつけ、大人しく、だが絶対的な意志を目に、怒りとは違う冷酷な何かを静かに秘めた。イテクはその目に、嫌だな、と思った。
「ガァっ⋯⋯ッ!」とオスの魔物が呻き、イテク達は後ろを見た。眼帯の男は黙らせるためにやったのか、剣でオスの腹を刺していた。膝がつきそうになるオスを引っ張り上げ、男がなにか耳打ちをする。
「チラチラ、うざったいんだよ。歩きずれぇだろ。⋯⋯次はねぇぞ」とその内容を、イテクは魔法による特性で、それを聞いた。いや、聞こえたと言った方が最適で良いだろう。
その魔物は、剣が刺さったまま歩かされ、イテクはその後ろ姿を見つめていると、面長の男がイテクの横を通り過ぎる。その魔物の横顔に何かを感じ取ったイテクは、運命なのか、とそう思った。
イテクがテントに向かうため、目線を外した時、何か言われた。彼は、反射的に振り向く。すると、そのメスがキツネのようなハンドサインを笑顔でコンコンと振っていた。左脚が振られるたびにグキュグキュと蠢いて、断面が少し淡く青くなっているものを見せながら。
荷物を置く音が聞こえ、イテクは振り向いた。そして、また見た。もう遠くにいた。
あのハンドサイン、キツネのように中指を親指にくっつけたハンドサイン、あれはなんだろう?
イテクは、奥の草むらを見る。感謝、だろうか。
「えーと、一応聞くけど、テント、どうする⋯⋯」とティチィが言ようとした時「私、外で寝るから」とアコォが離れ、艶のある美しい黒髪が歩く反動で波打った。その髪を追うようにカイメが「じゃあ、私も。アコォちゃん、一緒に寝よ」「いやだ」「ええー」と掛け合いをしながら、カイメは抱きつき、アコォは腕を組んでいるのを解いて、カイメの腕を掴んで顔をもう片方で押しながら、ふたりは歩く。
カイメの焦げ茶色の肌とアコォの白い肌、活発と冷静、暖と冷と対極にいるふたりだが、やはり相性が良いのか、属性による土と水によるものか、お互い体に触れられているのに嫌な気持ちに一切ならず、アコォの表情がどこか緩んでおり、カイメの表情もいつもにこやかだが、一層明るく、どこかにこやかだ。そんなふたりが、愉快に寝床の準備に向かっていった。
ティチィはアコォの強気な態度にタジタジになりながらも「ユトァは?」と言うと、女性とも男性とも取れる声で「そうですねぇ。私には、狭すぎますし。のびのびとしたいので、私も外にします。では」と紳士的にお辞儀をして、彼も準備に向かった。確かに、二メートル近くある身長に体格も巨漢な彼にとっては狭いだろう。むしろ、あのテントを見る限り狭すぎるくらいだ。もしかしたら、いつも外で寝ているのかもしれない。だから、単に今まで通りにしただけなのかもしれない。
ティチィは、そう、と腰に手を当て「イテクは?」と顔を向ける。
「俺も、いいかな。周りが見えないのが不安だ。
たとえ、ここを守ってる奴がいてもな」と歩きながらその猿の魔獣を見て「だから、俺も外で寝るよ」とティチィの方を向いた。
「そうか。⋯⋯あのさ」とティチィが続けて何かを言いかけるが、イテクの顔を見て「いや、なんでもない」と少し笑う。
「なんだよ」とイテクは困惑し、ティチィが誤魔化すように「いや、ただ、前に言ってたやつ、一緒にでもって。どうだい?」
その言葉に「ああ、取りにいくか」と馬車で話した事を思い出し、テントを横切った。
「よし、じゃあ先輩が教えてあげよう」と言いながらティティがイテクの横に行くと「うん、よろしくー」とそれに対して素っ気なく棒読みな感じでイテクは言った。
「そんな軽く⋯⋯」と言った何かを欲しているティティに、イテクは肩に手を置き「よろしく」とハリのある感情を込めて言う。
「いや、もっとこう敬意とか」
「信頼はあるんだがなぁ」
これか? とイテクはキノコを手に取った。そのキノコは、ずっしりと重く弾力があり、今は秋ではないが、秋を思わせる良い匂いがしている。だが、そんな紅葉な景色を連想させる事とは裏腹に、そのキノコの様相は禍々しく、笠の部分は典型的な形をしているが、縁が爛れる様に伸びて、そんな布には穴が空いている。これは、なんとも。毒キノコではないらしいが、毒キノコというのは、うまいらしい。
どんな味だろうか? 町とかで食料をあまり買わないから疑問に思ったが、そうしないくらい、うまいってことなのか⋯⋯。楽しみだ。
イテクが帰って来ると、ティチィ以外の三人がキャンプ地の中央で食事の準備をしていた。真ん中に炭を入れた網が置かれ、その横に野菜スープを作っている鍋がある。イテクは皆と会話を交わしながら、取って来たものを台に置き、鍋の様子を見る。
かき混ぜなら、明日からか、とイテクは思った。予定通り、明日から始まる、安全領域外の世界が。今いるここもそうだが、キャンプ地になっているのがここの安全を保証している。そうじゃない世界を、明日、俺は訪れる。イテクは、空を見上げた。食事を用意するだけで、もうすっかり夜になっていた。
暗い紫の空には、赤がかった光と青がかかった光、大きいものから小さいもの、そしてこの世界には白夜を思わせる星が月の周りを回っていた。そんな星星が夜空を照らしていた。
炭の香りと共にキノコの香ばしくて甘い匂いが、鼻腔を通って食欲を刺激する。今夜は、キノコ尽くしだ。
「うま〜」とカイメが足をパタパタさせ「美味しいわね」と髪を後ろに結んだアコォが手皿をしながら食べ「いやぁ⋯⋯、やはり食は良いですね」とユトァが瞑想しているかように味に浸る。
「イテクは、どうだい?」とティチィが湯呑、その白く焼かれた肌に淡い緑色が下に向かって靡いている湯呑を持って言った。
イテクがそれに「ああ」と言って食べると、歯に肉厚な弾力が伝わり、それを歯で切ると、繊維質な歯ごたえがどこかワクワクを湧き立たせ、垂れ下がっている所を噛むと、少しコリコリとした食感がし、噛めば噛むほどキノコ特有の味が出て、圧し締められた肉汁が、味付けのタレと炭火焼きの風味に溶け、口いっぱいに旨味が広がった。
「最高だ」とイテクは笑顔になり「それは良かった」とティチィが微笑む。
食料を買わない理由が良く分かる。明らかに、滞在分の食料が足らないと思ったが、このためだったか。遠征に行く者の大半は、普通は買わないと言っていたが、確かにこれは買わないな。ただ、これを味わえるのはトータルで三日、さらに一人に付き一食分まで、それゆえに惜しい。もっと食べたい、そんな欲が出てしまう。この遠征は、食材調達も兼ねているから、この食材が売られているのは確実だが、少なくとも今の収入じゃあ、ご褒美の時になるだろう。
「あと、イテクが作ったこれも良いね」とカイメが持っている器を見せた。食材は買わなくていいと言われたが、どうしても作りたかったものがあった。
皆が食べている鍋、その出汁が自分が作りたかったものだ。ただの野菜スープを元に作ったもので、なにも特別なものじゃない。そう思ったが、それが喜ばれているのなら、ただのスープも特別に感じる。
「そうか?それは良かった」
「うん、美味しくて、あと、なんか⋯⋯すごく落ち着く」とカイメが、目を細めて口が3を寝かせたような表情で言う。
「⋯⋯」とアコォが、お前がこれをねぇ、とした顔で飲みながらイテクを見る。
「なんだ、その目は」
「やはり、本場だからですかね」とユトァが言うと「まぁ、本場、そうだな⋯⋯、はは」
皆が、だべりながら明日について話していると、イテクは、まだ調理されてないキノコを見て「なぁ、油あったよな」とある事を思いついた。
イテクは、このキノコの長所である肉厚を損なわせないように、薄く切っていき、衣を軽くつけ、揚げる。なんとも期待が膨らむ歓喜で心地よい音がパチパチと聞こえてくる。揚げ物は、やはり良い。
揚がった物、キノコチップスと言おう。それを「おお」とカイメが箸で摘んで、それを食べると、軽快な音を鳴らしながら、それが無くなっていくと共に表情が緩んで「うまい!」と言った。
「それは良かった」
カイメがもう一枚つまんで、イテクに向かって「お酒ない?」と言うと「ないよ」と何言ってんだとした感じで言う。
「え?なんで⋯⋯?」とホラーなのかと思うほど、暗闇を抱いた目でイテクに詰め寄る。
「いや、なんでって⋯⋯。一緒に買ったよね。ここに来る前に」
「そんな⋯⋯!こんなキノコを食べさせておいて、お預けだなんて」と芝居がかかったわざとらしい口調で、自分を抱きしめながら妖艶になんか言った。
イテクは「はは⋯⋯」と呆れを込めた笑いを出しながら、無視しようとそれを食べる。
だが、変な流れができたのか。
「イテク畜生」
「焦らすのが、お好きなのですね」とアコォとユトァがなんか言い出した。こいつら⋯⋯。
「おい、ティチィ、こいつらになんか言ってくれよ」とこいつらを指しながらティチィの方を向くと、キノコチップスを咥えて「ん?ふふ」と食べながら笑顔を向けられた。
「なんだ、その顔は」
イテクは諦め、でもどこか楽しさを感じながらスープを飲もうとした時に、ティチィも網にあるキノコに手を伸ばす。
「大丈夫だよ」
「なにが」
イテクは、朝早くに起きて、鍋を温めていた。その後ろから砂が擦れる音が聞こえ、そちらを見ると、アコォが目を擦って歩いていた。
「あ、イテク畜生」
「まずは、おはようだろ」
アコォが顔を洗って、イテクの前に座る。
「おはよう」
「はい、おはよう」
「いるか?」
「そうね、いただくわ」
アコォがそれを黙々と飲み、イテクも飲む。朝に出汁の効いた温かいものを飲むのは、やはり落ち着く、と二人は感じていた。
朝の日を浴び、風を感じ、生物の脈声が聞え、土の匂い、日に熱せられた匂いがする。森の葉が風で撫でられる音がする。アコォとイテクに会話はない。いや、ポツポツと「早いわね」「ああ、やっぱり寝れなくて」と終わる。そして、静寂がきて、またポツポツと話す。そんな空気の中にいる。だが、イテクは気まずさを感じていなかった。心地よい。別に、無理に会話なんてしなくて良いんだ。ただ、仲間、友と時間と空間を共有しているだけでも、それはとても素敵な事だ。もしかしたら、人から見たらお互いを探っている感じに見えるかもしない。だが、自分はそうは思わない、思えない、感じない。アコォもそう思っているだろうか?
分からないが、そうであったら嬉しい。過ぎていく。ただ、過ぎていく。
「あれ?2人とも、早いね」とティチィが起きてきた。二人はティチィに挨拶をし、ティチィが座ると、イテクが「いるか?」と聞き「じゃあ」とティチィが言って、それを注いだ。
少し時間が経った時、話している脇でティチィが食材の入った箱を見て、昨日の残りじゃ足りないと思ったのか「ちょっと、取りに行ってくる」と森の中にあるスペースへと入って行った。
アコォが穏やかに「ねぇ、あなたの魔法見せてくれない」と言ってきた。イテクが「魔法?」と聞き返すと「ウルフよ」と言った。彼は、それに答え〈ウルフ〉を出した。イテクの体から翡翠が立つと、それは土を鳴らした。アコォは近ずいて来る翡翠の狼を撫で「やっぱり、実体があるのね」と言った。毛並みを感じるそういう自体ではないが、柔らかく暖かい生物を触っているような。そんな感じね、とアコォは思った。アコォが「ウルフ」と言うと、流水が形を成しながら漂い、地面が水を鳴らす。
イテクは、やはり、と思いながら、その狼を観察した。綺麗だ、と思った。それは美しく、水が脈動し、水によるものなのか、一挙手一投足が、遅く錯覚させ、時間感覚がどこか狂う。
イテクは、それに触れる。それは、程よい温度をしており、中に手が入ると、水が規則的に流れているように感じ、その方向に手が絡まる。おそらく、狼の形を成しているからだろう。
「それにしても、なんで俺のを」
「それは、私の魔法の参考になるから」
「参考?」
「ええ、私の属性は見てわかる通り、水よ。
水は、どんな形にもなる。あなたの魔法と同じように。だから、参考になると思って。それに、あなたのは生物のように実体があるから」と翡翠の狼を撫でながら言った。
「なるほど。⋯⋯もしかして、動物に好かれたりするのは、それか?まぁ、動物が好きっていうのもあるだろうが」
イテクは出発前の馬車で見たことを話した。
「あの時ね。そうね⋯⋯、確かに好きよ、動物。ただ、前までよりって意味になるけどね」と軽く笑う。
イテクとアコォが話していると、イテクはアコォの視線が気になり、後ろを向くと、ティチィが「ただいま。そろそろ、食事の準備でもしようか」と声をかけながらティチィが歩いており、慣れた手つきで腰に付けているフリントバッグを叩いて、バッグになったそれをふたりの横に置いた。
麦色の水面から器の底が見える。食べたら、いよいよか。最初は、調査だな。とスープを手に取る。イテクは、恐怖や不安、疑念、戸惑い、葛藤をスープと共に掬った。
読んで頂きありがとうございました。
更新が遅いですが、これからも書いていきますので、改めて、よろしくお願いいたします。
前に、書くのに慣れた気がする、と書いたが全然だ。
文章というより、表現ができていない。
くそぉ、上手くなってやる。
自由自在に操る快感を得たい。