モラハラ夫との別れ方
ずっと続くと思っていた。
朝起きた時の「おはよう」も
「ただいま」と「おかえり」も
寝るときの「おやすみ」だって
だってそうだろ?
家族なんだから夫婦なんだから。
結婚と恋愛は違う
誰かが言っていた。
幸せは続かない
誰かが言っていた。
でもそんなこと俺らには関係ないと思った。
だって5年も付き合って、ずっと幸せだったんだ。
彼女だって笑っていたんだ。
なのになんで結婚した途端、上手くいかない?
幸せな日々は、1か月も続かなかった。
1年経った今では、ろくな会話すらない。
俺が悪いのか?
そんなことないだろ?
多少の贅沢なら、させられるだけの金は稼いでるし、今の時代に君は専業主婦だ。
なのになんの不満がある?
どんどん笑顔がぎこちなくなる君に、昔みたいに笑って欲しくて、どうしたらいいのかたくさん考えた。
子どもでもできたら、笑ってくれるだろうと思った。
女は子どもが好きだから。
なのに彼女は、子どもが欲しくないという。
頭がおかしいのかと思った。
この世に子どもが欲しくない女なんて、いるはずないだろ。
彼女を軽蔑した。
結婚は波だそうだ。
1番いい時に結婚し、悪いときに離婚する。
このままじゃ離婚だろう。
でもそれは嫌だった。
付き合っていた時の彼女は、本当に可愛かった。
その時の彼女に、戻って欲しいだけなんだ。
このままじゃ、埒が明かない。
俺は彼女と話合うことに決めた。
仕事終わり
家に帰ったことを気づくようになるべく大きな音で、扉を閉める。
彼女が急いでやってきた。
俺は来ていたスーツを、彼女に手渡した。
おかえりもお疲れ様も言わない彼女に、失望する。
付き合っていた頃の彼女は、どこにいってしまったんだ。
「話がある」
「………はい」
俺たちは、リビングに移動した。
机には彼女の作った料理が置かれていた。
今日はとんかつだ。
彼女はいつも手抜き料理ばかりを作る。
専業主婦なんだから、揚げるだけで済む料理じゃなくてもっと手の込んだ物を作って欲しいものだ。
「なんで俺にずっと冷たい?」
「………そんなこと」
「普通旦那が帰ってきたら、お帰りなさい。お仕事お疲れ様ですだろ?それに専業主婦のくせに、料理もいつも手抜きだし、しまいに子どもを産みたくない?頭おかしいんじゃないか?子どもを産みたくない女なんているはずないだろ!病院行った方がいいと思うよ」
言ってやった。
今まで我慢していたこと全部。
これで少しはマシになれば良いけれど。
「………あなたは私が100%悪いって思ってるのね?」
「当たり前だろ?すぐに直すっていうなら、離婚はしないでやるから早く直せよ。許してやるのは今回が最後だからな」
「普通旦那が帰ってきたら、お帰りなさい。お仕事お疲れ様ですって?そんなこと言って欲しいんだったらせめてただいまくらい言いなさいよ!自分がしてないことを他人に強要するな!」
「え、なに急に怒ってるの?怒りたいのは俺の方」
「私の方に決まってるでしょうが!!それに専業主婦のくせにですって?今の仕事好きだから続けさせてって言ってるのに、無理矢理辞めさせたのはあんたの方でしょ?結婚前から家事が苦手って言ってるのにそれでもいいからやめてくれって言うから、仕方なくやめたのに、毎日毎日家事が下手だって、ふざけんじゃないわよ!!子どもを産みたくないのがおかしいですって?産むのがあんたじゃなくて私だから、そんな好き勝手なこと言えるのよ!!今の時代だって子どもを産むのは命がけなのよ!?それに子どもが生まれたって、家事も育児も手伝わないのは、目に見えてるじゃない!!もういいさよなら!!離婚届送るから書いて出しておいて!!」
彼女は言いたいことだけ言って消えた。
「なんなんだよ」
どうやら俺が恋した彼女は、もうどこにもいないみたいだ。




