つぶやきの人・4「男同士の会話編」
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「ちょっと、ちょっとぉ。やめてもらっていいかなぁ」
『なにが?』
「俺の車に乗るたびに、『引き戸開けていい?』って言うの」
『意味一緒だろ? 引き戸もスライドドアも』
「新車なんだよ」
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「マイケルジャクソンのステップよりさ。
マツケンのステップの方が好きだなぁ」
『お、気が合うじゃん』
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『な、ほら。見てみろよあの風呂屋。納得いかねえ』
【誰でも入れる無料銭湯】
「なにが?どこが?」
『無料なら【銭】付けちゃダメだろ』
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『ねえ。この年表の紅白歌合戦てのはさ、川中島の合戦より前? 後の時代?』
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『あ~!あいつ! 右折禁止んとこ右に曲がったぜっ! パトカーに見られてるってのに!』
「、、、歩行者だろ」
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【リサイクルショップ・ゴミ屋敷】
「そそられる店名だな」
『どっちにウエイトを置いてるかだな』
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『この間さ、車で逆走しちゃった』
「あッぶね~! すぐに気づいたのかよ?」
『気づいた。左側にマイクとメニュー版が出て来たからよ』
「なんだよ? マイクとかって?」
『一旦方向転換にスル~した』
「これがホントのドライブスルーってわけかい」
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『スーパー行ったらさ、万引き疑われてさ。いくら俺はしてない!って言っても信じてくれない』
「大変じゃん!」
『この野郎! 表に出ろ! 俺じゃないって証明してやるって!って言ってやった』
「喧嘩か?」
『スーパーの入り口の【証明写真】ってのでさ顔写真撮って、突きつけてやったさ』
「なんの証明だよ、、、」
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「最近、川が氾濫することが多くなったな」
『温暖化のせいばかりとは限らんよ』
「他にも?」
『あの頃からさ』
「あの頃?」
『海の日と山の日が出来てからさっ』
「川も黙っちゃいないってわけだな」
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『先週さ、市民ホールで禁煙活動家の集会があっただろ?』
「ああ、あった」
『車でバンバン乗りつけて来てさ』
「それが?」
『いいんですかッ! 禁煙家が排気ガスを撒き散らして集合して!と、俺は問いたいね』
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『この会社の看板。どうもしっくりこないんだよねぇ』
【世界に羽ばたく造船メーカー】
「ん? 別になんともないじゃん」
『じゃあ聞くけど。船って羽ばたいていいの?』
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『冬は食べ物が少ないだろ? 二階のベランダに米撒いたら、スズメが沢山寄って来てさ』
「へぇ~」
『そしたらさ。うちの婆さんがハサミを持ってそのシタを』
「えっ! 舌をぅ!」
『下を通ったんだよ』
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「お前、書初めとかってやる?」
『書初めぇ? 古い習慣だなあ。そんなのしないよ。今どき。この年でだよ。それにもう使っっちまったんだよ!』
「使ったって? 何を?」
『墨をだよ』
「墨?」
『羽子板の罰ゲームに決まってんだろよ!』
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総合病院の玄関口
爺さんが話しかけてきた。
『おや? 退院ですか?』
「そうですが何か?」
『それはそれは。おめでとうございます』
「救急「隊員」ですが?」
『あら、それはそれはお急ぎの退院で』
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「あそこの自転車屋。セールやってるぜ」
『けど、経営が行き詰ってる感じ』
【丸山自転車創業祭】
「よく読めよ。自転車操業じゃねえぞ」
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『俺、駅伝やってるだろ。あれさ、距離が長くてヘロヘロになるんだよ』
「だろうね」
『そこで考えた。距離をもっと短く』
「それじゃあ駅伝にならねえじゃん」
『バス停伝』
「多少の遅れは許されそうだな」
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『昨日スーパー行ったら、メチャクチャ混んでてさ。このコロナ禍に長いレジ待ち。列が密にならないように方法を考えた』
「どうした?」
『順番くるまで、小さく前習え!しててやったさ』
「やるなら大きく前習え!だろ?」
『恥ずかしいじゃん』
「小さい方がよっぽど恥ずかしい格好だろ!」
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『俺な。県大会で優勝したよ。優勝メンバー! フォア・ザ・チーム!』
「お前、なんかスポーツやってたっけ?」
『口だけ開けて立っていればいいと言われたからね』
「まさかそれって?」
『もちろん合唱コンクールさ! 俺がフォア・ザ・チームに徹したのが勝因ってわけだよ』
「確かにチームの為だな」
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『その辺の広場やグランドで素人がやってんのを草野球ってんだ』
「俺、昨日市民プールに行ってきたけどそれは?」
『草水泳』
「それはおかしいよね」
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『財布を忘れて、愉快に笑われてもなぁ』
「サザエさんの歌のこと言ってるんじゃないだろうな」
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『あいつの家って貴族の出身らしいぞ』
「へぇ~」
『今だに家中、王子様だらけ』
「オール殿下ってわけかい」