九話 「大樹の試練②」
文加えました。でも2000字超えてないです。すみません。7月31日
意味のない中文一個注意。
九話 大樹のダンジョン攻略②
4層
3層は酷かった。俺の記憶をいいように弄り返されて。まあいい、忌々しい3層はもう終わったのだ。切り替えよう。
「さてさて、今度は何だ?」
といつもの看板を見る。
『己の考えを示せ』
看板の後ろには椅子。椅子には何枚かの紙が置いてある。
「考えを示せね。どれどれ……」
紙の内容を一から書くと
“魔法と科学の融合。◯◯m◯◯dに魔法併合並立量子コンピュータに関する実験を◯◯氏と◯◯氏のチームが行った。今までの量子コンピュータでは相対的な温度上昇を抑える事が非常に困難だったが、魔法を併合する事で摂氏-208.54度まで冷却する事が出来た。そもそも概存する量子コンピュータでは熱によって発生する振動により量子ビットが破壊され十分なパフォーマンスは愚か、稼働する事がすら叶わなかった。今回の実験によって魔法科学の有用性が改めて為され◯◯氏と◯◯氏は「魔法科学の革命が起こった」「私達は新たな可能性を生み出した」と語った。しかし1ケルビンを下回る冷却域に達するには多額の費用が伴い、持続して稼働する事は困難とされている。これからは如何にコストを抑えるかが課題となる。
貴方が考えるコストを抑える方法とは?”
「いや、分かるかぁ!」
「知らねぇよ、そもそも魔法にしても科学にしても素人だし!?」
というここに来て現代知識でないものが出てくる無茶振り。魔法もこの前知ったばかりなのにできるわけ無いだろ……。
まったくどうすればいいんだ。うーん……。
考えた、最適解を。よし!これだ!自分の意見だからこれでもいいだろう。これで開かなかったらおかしい、しっかり、看板の内容に沿ったのだから。
回答には投げやりに「知らない」と書いた。
すると、なんと……。開かなかった。
◆◇◆
テリアは3層で行き詰まっていた。試練の内容は...。
《己の感情を表せ》
3層
「分からない、何も分からない……」
見ていたものは、
あらゆるものが何者かに殺戮されていく様子。
あらゆるものが好きなものに振られ、去っていく様子。
あらゆるものが楽しく踊っている様子。
どれを見ても彼の心には怒りも、哀れみも、楽しみも、
湧いてこなかった。
ただ、満たすのは虚無だけ。
「これを見て、何があるんだろう?」
そう、彼には人の感情が理解出来ない。
ただ”一人”以外、興味も感情も何も抱かないのだ。
何が言いたい、何がしたい、何の感情を示せばいい。それが分からない。
普段常に温厚で冷静なのは感情が無いから。ただ何も分からないのを隠して接しているだけ。その気になれば、親しげに話していた相手にも、何も思わず殺害する事が可能だろう。そうすると彼を”唯一”怒る人がいるからしないのと、する意味が無いだけで。
“だが”
“その人も”
“もう居ない”
もう彼を縛るものは何もないが彼とその人は‘‘キズナ’’で繋がっていた。
彼の側に居た”唯一”の人。それが無くなり、大きな喪失感を感じた彼は‘‘悲しみ’’を覚えた。
寂しいよ……悲しいよ……それしか考えられなかった彼に”唯一”手を差し伸べ、パートナーとなった彼女。その彼女の魂は消え、新たな感情が生まれた。
“怒り”
彼女を奪った者への。コイツをどうにかしなければ、だがどうすればいい。どこに行けばソイツに会える。
彼女の身体に憑依した人間は異世界から来たらしい。そんな事はどうでもいいが、これは、不幸中の幸いだった。彼女と、この人間は何かしら関係がある。そうでなければこの様な事が起こるはずがない、そう思ったから。
よし、この人間を利用しよう。利用して必ず彼女を取り戻し、この”怒り”を僕から彼女を奪ったヤツにぶつけてやる。そう誓ったのだった。
「今、僕を満たしているのは”怒り”、さあ先に進もう」
彼の感情に応え、階段が出てくる。彼の行く先は、未来は、いったいどうなるのか……。
テリアの過去の一端が描かれました。詳しくではないけど。
次回はもう少しだけ短いです。
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