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前世に未練を遺した異世界人  作者: テキラデ
第一章 禁忌魔術”凡人“召喚
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七話 「汚い服程奇麗な心へと還元する」

描写加えました。7月31日 大体1話2000字を超えるように頑張ります。


夜、謎の夢を見た。真っ暗な中声が聞こえてくる。男とも女ととれない様な声。

ただ不思議な不気味な不安定な声。震える、重なる、反響する声。


それは ———



“あき、らめな、い、で” “ちか、ら、をつか、って” “そのためのチカラだから”



一体何なのか ———


◆◇◆


朝が来た。雨漏り必死と思われる木の天井を眺めつつ外の明るさに安堵する。


「目覚めワリィ……。よう分からん夢見るし……」


金髪の頭をガリガリ掻きつつ寝床から起きる。あの夢は何だったのだろう。何があったのかは覚えてないが、何故か今はただ不気味で恐い。自分でも心拍数が上がってるのに気付く。


指輪が光る。テリアが起きたようだ。


「おはようアラタ、何かあったの?」


「ん、いや、ちょっと夢見が悪かっただけ」


「んんん、おがようごぜいますぅ……すうぅ……」


メリアも起きた。前もおはようの挨拶おかしかったよな。すうぅ……ってまた寝るなよ……。


「まあいいけど、何かあったら言うんだよ。この先過酷だから」


テリアはカウンセラーかなんかか?やけに親身になってくるな。

心配ばっかさせててもしょうがない。よし、切り替えて今日も張り切って行こう!と切り替えたと同時に。


「皆さんお目覚めですか?朝食の準備ができておりますのでこちらに」


例の奥さんだ。朝食とか言ってたけど生活苦しそうなのに大丈夫なのだろうか。それに俺達なにも差し出せない。ここはとりあえずお言葉に甘えるとして。


「いくぞテリア、メリア」


「あと5分だけぇぇ」


分かった、5分だけじゃなく永遠に眠っとけ。そう言うと渋々ながら起きて来た。


相変わらずボロい木製の床でできている廊下に出て、奥さんについていくと丸いテーブルがある部屋に案内された。


用意されているのはあたたかそうなご飯。


「大丈夫ですか?奥さん」


「ええ、これくらいしか出せませんが、はいどうぞ」


「ありがとうございます!頂きます」


出て来たのは卵焼きとモヤシ炒めと……米。他にも日本らしさが出ている。例えば箸とかだ。ちなみにテリアは別のものが用意されている。


この世界にもモヤシやら米やらがあるのか。割と地球に似てるな。

毎日コンビニだった俺からしたらご馳走だ、生活環境から見てやはりかなり奮発していると思う。せめて感謝を噛み締めながら食べよう。

思いつつ箸を持ち、試しに卵焼きをつつく。


「うま……」


「ふふ、ありがとう」


うん味付けが最高だ!とテリアとメリアが言う。料理は素材じゃなくて作る側の技量だと言った有名人がいたがそれは本当だな。


水を飲み、飯を食いつつ一通り自己紹介を交わす。


「へぇーあの子、カミラさんのお子さんだったんですか」


奥さんの名はカミラ、父親がカメスケ、娘がカレラの3人家族らしい。この村には12世帯住んでいて、どこも生活が苦しいらしい。でも、決して大樹の試練に来た人を無碍にはせず、困っていたら介抱するなどといった事をしていた。


「よお、起きたか。朝っぱらから豪勢なこっちゃなぁ」


声の正体はカメスケ。あんたも朝から嫌味やな。でもここは我慢我慢。俺のメンタルはオリハルコンより硬いと云われている。もちろん自称。


「ああ、おはようございます。朝からこんなご馳走いただいちゃってすみません」


「いいのよう。まったくあなたったらまたそんな事言って……」


奥さんが睨むと そういうんじゃねぇよ……。と萎々と去っていった。

唐突に来て挙句飯も奮発して貰っている身だから、正直肩身が狭い。


「いや、あのすみません」


伝わったのか気にしないでくださいねと声を掛けてくれた。


ゆっくり飯を噛み締め、食べ終わった。


「おねぇちゃん達おはようぅ」


目を擦りつつ喋りかけてきたのは娘のカレラちゃんだ。


「おはよう、お邪魔して悪いね」


「おねぇちゃん達後で来て、見せたいものがあるから!」


「分かった!」


ドンドンドンドンと走り去って行くカレラ。元気で良い子だ。


「さて、カレラちゃん所に行くかな。カミラさんありがとうございます。ご飯美味しかったです!」


「ありがとうございます。カレラの事はすみません」


「いえいえ大丈夫ですよぉ。あの子とっっても良い子で私、感服いたしました!」


そう言いカレラの所に行く。玄関前で待っていたようだ。


「こっちだよ、ついて来てね」


ついて行くとあったのは”花”透明で今にも花弁が消えてしまいそうな、うっとりとする花だ。


「これだよ」


「「うわぁ綺麗!」」


言ったのはアラタとメリア。テリアは感慨深そうに眺めている。


「これは、実は前にも見た事がある。何だったかは思い出せないけどね……」


「これはね、”ヒース”って言う花なんだよ!別の名前は……何だっけ?でも私この花大好き!だって、とてもキレイなんだもの」


「ヒース、俺は聞いた事ないな。この世界特有の花かな」


「私は知ってますぅ!花言葉は”福な愛”だった様な気がします」


へえー良い花言葉だ。俺はそれよりもこの世界にも花言葉があった事に驚きだ。それにメリアはやっぱり女の子だな。


テリアはまだ感慨深そうに眺めている。


「良いものを見せてくれてありがとう!これでまた頑張れそうだよ」


頑張ってね!とカレラが見送ってくれる。カミラとまさかのカメスケも来てくれた。


「頑張ってねー!」


「まあ、精精頑張れや」


また、あなったったらぁ!と奥さんが怒っている気がするが気にしないでおこう。


この人達の期待に応えよう。そう誓ったのだった。

次回は大樹の試練攻略。1、2、3と続きます。


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