出会いと別れ
街に出るとまた俺は呆然とした。そこに広がっているのはまさに江戸の世界。商人、舞妓、農民、様々な職種の人たちが歩いている。
「お爺さん、今って何年?」
「2020年じゃよ」
訳が分からなかったが、今の状況から察するに、どうやら俺がタイムスリップをしたというより、街自体が時代を巻き戻したようだ。歴史は繰り返すとよく言うが、まさかこのような形でとは思わなかった。そのようなことを考えながら、お爺さんと歩いていると、一人の女が俺の胸元目掛けて突っ込んできた。
「助けてください」
その女の顔を見た瞬間、俺は嬉しくて思わず笑いながらとっさにこう放った。
「あいらじゃん。お前もここにいたんだ!」
俺は知り合いがいたことでここが時代を巻き戻した世界ではなく、俺が住んでいた現代の世界であることを確信し落ち着いた。
そこに10人のお供を引き連れた盗賊の頭であろう男がやってきた。
「おい、小僧その女をよこせ。」
すごいリアルな世界だと俺はとてもワクワクしながら、答える。
「断る。」
「お前ら、やつを殺せ。」
10人のお供が俺に飛びかかる。俺はとっさにそこらへんにあった木を拾いそれで、対抗しようとするが、その木は簡単に折れてしまう。その時俺は本当に殺されることを察した。つまり時代は確かに巻き戻っていたのだ。俺の人生ももう終わりと感じたその瞬間、敵10人の背中に同時に矢が刺さる。血が流れる。
「姫、お怪我はありませんか?」
さっと、男がこちらにきた。どうやらあいらの護衛隊らしい、多分武士だろう。二人が話している間、俺が盗賊の方を見ると、盗賊の頭は10人のお供同様に矢を刺されすでに死んでいた、背中ではなく頭に刺さった状態で。
「ところで、お主は何者だ?」
男が話しかけてくる。
「俺はあいらの知り合いです。今はどうかわかりませんが、」
「あいらさまこの方をご存知で?」
「知っているような気もするのですが、思い出すことができません」
少し悲しかったがそうなるだろうとある程度の予測はつけていたので、そのままその言葉を流した。
「ではお主にあいら様を助けていただいたのは誠に感謝いたします、が、私たちはすぐに城に戻らなければなりません。どうかこれを感謝の気持ちとして受け取ってくだされ」
男はそう言い、あいらを馬に乗せて去っていった。俺はあいら達が見えなくなると、袋の中身を除いた、そこに入っていたのは金貨5枚だった。どれだけの価値があるのか想像も出来なかったがありがたくいただくことにした。
それからお爺さんと家に帰り夕飯の支度をしていると、お爺さんが突然言葉を発した。
「ここからおよそ160里行ったところに京の都がある。そこにいる仙人に鍛えてもらうのはどうじゃ?」
「どういうことですか?」
「男なら今日見たような武士の一員となって天下を目指せるよう人物になりなたくないかということじゃ。」
かっこいいような気もするな、と思った俺は軽く行くことを決めた。
「お爺さん、俺そこに行ってくるよ」
「なら支度をせんといかんのぅ」
その日は眠りそれから一週間ほどの準備の後ついに出発の日がきた。
「お爺さん行ってくるよ」
「気をつけてな」
「うん」
160里を馬で走り続けどれから時間が立ったのだろうか、いつの間にか京についていた。