地上に舞い降りた天使
(*´ー`*)読んでくれているかたありがとうございます。
思わず変態という一言に傷ついてしまったが、なんてことはない。俺は変態ではないのだから、これから知ってもらえばいいだけだ。
その人物が木の陰から近付いて来たことで、月明かりの下にその姿がさらされた。
おそらく身長は100cmもないだろう。茶色っぽいボロ布のだぼだぼの服を着ており、茶色の靴もまたボロボロだ。目は半開きで生気を感じにくく、完全に無表情である。周囲の雰囲気と合わさって正直ちょっと怖い。そして何よりも
美少女だ
これは将来美人になる。クールビューティーというやつだ。美の女神が地上に舞い降りたと錯覚するレベルだ。
そう考えると罵られるのも悪くないのでは?
ふむ
閑話休題、彼女の容姿で一番気になるところは、短く切られた黒い髪だろう。
自分が住んでいた街は、世界で二番目に栄えている国の首都であり、そこに20年以上住んでいたが、黒髪は自分以外に見たことがない。せいぜい暗い紫や紺ぐらいだった。
これは運命ではないだろうか。そう、運命だ。これは蛍玄爺計画を実行するべきである。
どうも彼女は照れ屋のようで、照れ隠しに暴言を吐く癖がありそうだから、慎重にお近づきにならなければ。
そうと決まれば、先ずはご家族への挨拶をしなければ。
「こんばんは。俺は怪しいものじゃないよ」
「あやしいひとこそ そういう」
警戒しているのか、今以上に近付いてこない。何か解く方法はないだろうか。せめて、肩の力を抜く方法を……?
よくよく観察すると、肩にネズミみたいなのが乗っていた。あれは多分公星という種類だろう。通称ハムスターと呼ばれており、ペットとしての人気が高い。特徴として、警戒すると二足歩行になってファイティングポーズをとり、刺激すると鍛えている大人でさえ悶絶するパンチを放つこともある。
話題はコレでいこう。
「肩に乗ってるのは君の友達かな?」
「ううん きんきゅうじの しょくりょう」
逃げてハムスター!!
ちょっとハムスターがかわいそうになってきた。それにしても、あのハムスターは言葉がわかるのだろうか。ショックを受けているようにも見える。
――――――まさかな
「そ、その子の名前は何て言うのかな?」
「ねずこー」
さんざんである。一体そのハムスターが何をしたというのだ。確かにネズミで間違ってはいないのだが。
「そういえばまだ名乗ってなかったな。俺の名はゲイルだ。よろしくな」
「そう」
「君の名前を聞いてもいいかな?」
「ない」
なんと、なんとなくこの子の境遇が見えてきた気がする。これは保護する必要があるな!
それに、徐々にこちらへ近づいてきている。この調子で頑張るぞ。
「そうか。それじゃあ、そうだな。何て呼ぶか考えるか」
「きたいしてる むかしは ばばぁに えんじぇる ってよばれてた」
「地上に舞い降りたのは、女神ではなく天使のほうだったか」
「……………………」
しまったああああアアアア!!近づいてきた以上に離れてしまった!
紳士的発言は好みではないようだ。気を付けなければ。
それにしても、この子微妙に口が悪い気がする。おいおい俺が言葉を教える必要もありそうだ。
それにしても、どうしよう。警戒が強くなったぞ。何かないか……。
ん、食べ物で釣ってみるか?
「腹減ってないか?君の持ってるその食材と、俺の持ってるもので美味しい料理が」
「いえこっち」
凄くチョロかった。悪いひとに騙されないか心配である。
それにしても、近づいて来たときの動きが目で追えないほど速かった。
あの動きなら、一緒に旅をするのもいいかもしれない。
俺は天使に手を引かれながら、この先のことについて考えるのだった。
蛍玄爺:この世界の、幼女を自分好みに育てる官能小説
公星:現実のハムスターとの違いがあることを際立たせるため、変えてみた。この設定をなくす可能性あり
えんじぇる:名前ではない。種族でもない。謎名称
主人公の行動が全く読めない。