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[16]ランちゃんズ!

 とんとん拍子にとは行かなかったかもしれないけれど、ランちゃんが一緒にバンドやろうと言ってくれた日を境に、ボクらの活動は本格化していった。


 先ずは小手先に動画をアップロード。前のようにイケてないブツ撮り映像ではなくって、衣装も揃え、PVらしくバンクを変えたりエフェクトをかけたり映像も一工夫。

 曲も根性一発録りではなくて、一番良いテイクに編集し直したりオーバーダブを重ねたり。ちょっとズルのような気もするけど、見てもらうためにはまず見栄え優先ということで、軽音楽部メンバーや五味先生の指導の元、ミキサーや動画編集ソフトを駆使して仕上げていった。


 お陰さまで注目度はバッチリ、カバー曲一つとオリジナル曲一つをアップしただけだけど、アクセス数は以前とはまるで段違いだった。


 もちろん、それには五味先生の強引とも言えるプロモーション活動も一役買っていたのだけど。意外なことに先生は本気だった。先日の一件でも何とか学校をクビにならなかった彼女は、本当にマネージャーっぽく彼方此方を奔走してくれた。


「来月頭のサマーフェスに狙いを定めて活動を本格化させるわよ! 話題性は十分だからイケるイケる、自信を持ってね! 後は週二本を目標にライブハウスでの演奏と、新しい動画のアップ。そうそう、ちょっとしたドキュメンタリー風の動画も撮るわよ!」


 先生は今日もそうやって檄を飛ばしている。


 そして肝心のグループ名――というかバンドの名前。そっちは中々決まらなかったのだ。


 どこから引っ張ってきたんだ、というひねくれた厨二的バンド名を掲げる津島さんと、ストレートだけどちょっと外した感じのバンド名ばかりを主張する浅見さん。残り三人は別にどれでもー、というスタンスで早くも解散の危機を迎えたボクらだった。


 が、結局。これ以上は無い形でストンと落ち付くこととなった。


「……ちょっとー、いくらなんでもストレートすぎじゃない?」

「何のヒネリもないわね」

「コミックバンドっぽいです!」

「駄目かなぁ?」

「駄目じゃない、と思いますが……」

「考えようによっては……むしろ親しみやすくっていいわね」

「そうね。呆れるほどストレートな方が、時と場合によっては武器になるわ」

「分かりやすくてキャッチーなバンド名ってやつだねー」

「じゃあこれで決まり?」

「そうね」


 一同頷き合う。ランちゃんの方を見ると、彼女は照れくさそうにしていた。


『ランちゃんズ』


 これがその、バンド名だった。


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