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籠の姫  作者: 桃巴


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32/41

青と赤

 ヒラヒラと舞い降りる。


 籠の塔からマントがヒラヒラと舞い降りる。


「デイル様、サラ姫様から言伝てです!」


 ルクアは塔から声を響かせた。


「『もうマントはいりませんわ。お返しいたします』とのことです」


 デイルの手にマントが舞い降りた。クツナの塔でサラを受け止めたマントが。デイルは深呼吸し空を見上げる。


「『もう寒くはないのですから』と、そうおっしゃっていました」


 デイルの目には北方のどよんだ空が見える。しかし、サラはきっと青き空を目指しているのだろう。


『俺は……』


 デイルは顔を戻し、ちらりとキールを見た。


『俺の役目は終わった。しかし……』




「王様、鳥が逃げたようです。捕らえに行かれますか?」


 そう、イザナは王に問うのだ。


「鳥籠が空ですよ?」


 どうするのだと問い詰める。もちろんわざと。


「鳥を愛でるは……」


 王がそうポツリと呟いた。そして、次に……


「鳥を愛でるは、羽ばたいてこそ!!」


 その宣言にフタバの顔が破顔する。


「だそうですよ、デイル殿。愛でたければ、追うしかありませんね」


 イザナはデイルの手からマントを奪う。


「貸してください。ラフトは寒い」


 デイルはキールを見る。迷いはない。


「ヒャドのことは任せた。俺はサラ姫を追う!」


 青きマントがひるがえる。ただ真っ直ぐに、実直にデイルはサラを追うのだ。




 キールはデイルの背を見送る。デイルはもうヒャドには帰ってこないかもしれない。だが、キールには止められなかった。


「あの姫様は一国に値しますな」


 呟いた。そのキールにシェードが歩み寄る。


「預言の解釈は間違っていたのですよ。青きは奇跡の鳥のサラ姫様でしょう。赤きはサラ姫様への熱情を持ったデイル様ですよ」


 キールはフッと笑ったのだった。

次話更新本日午後予定です。

今週中に完結いたします(金曜日予定)

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