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籠の姫  作者: 桃巴


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天の異変

 闇が血を流す。


 天に突如現れた赤い星は、北方三国の神官と巫女に衝撃を与えた。




 天の異変にいち早く気づいたのはネザリアだ。ネザリアの天見神官は、血相を変え国事を司る七神官に伝えに走った。


『生が途切れる』


 ネザリアにおいて、赤き不吉な星はそう予言されている。神官らは、その赤き不吉な星が消えるよう祈りを捧げる。十日ののち、星は消えた……




 ラフトの巫女は、涙した。その赤き星は、血の涙。


『不吉な子が生まれる』


 ラフトにおいて、赤き涙星はそう予言されている。巫女らはその星の元に生まれた赤子を、泣き叫ぶ母から奪っていった。十日のうち、奪われた赤子は十にも及ぶ。




 ヒャドの神官と巫女は、対立した。その赤き勇姿を嬉々する神官と、赤き牙を恐怖する巫女とで。


『双頭の鷲は、力の象徴なり』


 ヒャドにおいて、赤き瞬きは力と犠牲と双の意味を予言されている。


 二つの頭は、力を隣国に広めるであろう。

 二つの頭は、互いに噛み合い国は滅するであろう。


 十日に及ぶ協議の末、ヒャドには双子はいない。よって、赤き瞬きはその時にあらずとの結論を得た。




 これは十九年前の事変である。そう……十九年前から戦の種は育っていたのだ。




 ネザリアでは、赤き不吉な星が消えた後、十日後に王の生が途切れた。そして、新しい王には、十年間子が生まれなかった。生は途切れていた。予言は当たっていたのだ。




 ラフトでは、十の赤子を犠牲に国は平穏を保っていた。いや、水面下で政変のうごめきが加速していた。そして、三年前……不吉な子の誕生から十七年後、王が変わる。権力が赤子を奪ったように、荒れる力が王の座を奪ったのだ。予言は当たっていた。




 ヒャドでは、双頭が何を意味するのか……神官、巫女らは気づいてしまった。双頭の鷲は、双頭の王であるのだと。王の運命の者が二人いるのだということを。一人は血統の長子、もう一人は王の資質を生まれ待つ子。つまり、ザイールとデイルのことである。


 予言は……


 隣国を従える力を双頭は有しなかった。では噛み合ったのか? いや、デイルは下りたのだ。兄に噛みつくことから下りた。しかし、下りたとて、ヒャドは安穏とは成りえない。なぜなら、一つの頭では国を率いることはできないのだから。……王の資質の頭こそ、ヒャドの命を繋ぐものであるのだ。計らずも、予言の通り破滅へと動いていた。

次話更新4/9(日)予定です。

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