瀬名ジョンの憧憬 EP22
レンタル彼女が何なのかを知らない皆様の為に少々説明しよう。
女の子と素敵な想い出をつくりたい、年齢の差を気にせずに接してほしい、歳が離れてても同じ感覚で遊びたい、学生の頃に戻った気分で過ごしたい、女性との会話やデートを練習したい、女性が苦手・人見知りを改善したいと言った事を体験できるサービスなのである。
言い方は悪くなるが、モテない男達へと夢を与えてくれるサービスなのだ。
時間が来れば、その子へとお金を払いお別れをしなければならない。
決して惚れてはいけないぞ、全国の童貞諸君!虚しくなるだけだ。
★
「それで駅前に来たものの、そのレンタル彼女ってのは何処にいるんだ?」
現在オタクさんから指示を受け待ち合わせ場所へと来ている。だが、何故だかは分からないがオタクさんはその後、帰ってしまった。
(意味分かんねぇよ、あの人。責任とるって言った側から監視も同行もせず帰りやがった。)
ちなみにその頃オタクはかなり離れた場所から瀬名を監視していた。
「デュフww瀬名氏ww出禁になった拙者の復讐の為wwwまゆたそを堕とすで御座るww」
本音が漏れるオタク。
(拙者がまゆたそとラブラブ出来ないあのお店は潰れるべきお)
またしても私欲で瀬名の容姿を利用しようとするオタクであった。
★
(遅いな、待ち合わせ時間から30分も経ってるぞ。)
すると遠目から自分を見ている女性がいた。もちろん女性の通行人達からもかなりの視線を受けているが30分程前からその視線を彼女から受け続けている。
(もしかして、彼奴か?)
確証は持てないが、彼女の元へと足を伸ばした。
「すいません、レンタル彼女の方ですか?」
女性は瀬名の顔を蕩けた表情で見る。そして自分が話を掛けられた事に目を大きくし両手で顔を覆った。
「わ、私!?」
「えっと、レンタルの彼女さん、ですか?」
★
遡る事、数時間前。
「まゆちゃん、今日も気おつけて。もし何かあったら直ぐにお店に連絡を入れなさい。」
「はい!」
お店から電話を受け、現場へと向かう私ことまゆ。冴えない男の相手をするのは楽だ。
(今日はどんな人なんだろ?まぁ何でもいっか。)
気にしても無駄だ。このサービスを受ける人でイケメンを一人も見たことがないし。
(お弁当は適当にコンビニのおかずを詰めたし、適当に話してれば終わるでしょ。其れに帰ったら課題もしなきゃいけないなぁ。あーめんどくさ〜い。)
大学とこのバイトを兼業する私は大変だ。一応彼氏はいるがお店には言っていない。
「〇〇駅〜〇〇駅〜」
どうやら約束の地へとついた様だ。私は電車を降り駅前へと向かう。
「ねぇねぇやばくない」
「ちょーヤバイ」
物凄い数の女性が駅前へとたむろしていた。一体何事かと彼女達が見る方へと視線を向けると、超絶美少年、もとい美青年が立っていた。
(す、凄い....テレビで見るアイドルなんか目じゃない....)
アレは美しすぎる。あの人を見ていると胸が高鳴るのを感じる。何というか、子宮が疼く。此れは決して邪な気持ちから来ているものではない、自然と身体がそう反応してしまうのだ。
「目が.....離せない」
ずっと彼の姿を見ていたかった。だが、私はレンタル彼女である以上お客様を探さなければいけない。
「なっ!?」
すると彼は髪をかきあげ、ファサっと靡かせた。何という色気、何という美!何人かの女性はその行動を見てその場へと膝をつく。
「うぅ、かっこいい」
私も思わず壁へと背を付け、パンツの違和感を感じ取る。
「どうしよう.....濡らしちゃった」
まるで発情期の猿の様な気持ちだった。私は気を落ち着かせるために目を閉じると誰からか話を掛けられた。
「すいません、レンタル彼女の方ですか?」
今日の仕事相手が来た様だ。目をゆっくりと開け上を見上げると、
「え、..........え、私?」
あの人だった。私は驚きの余り彼の顔を見つめてしまう。
「えっと、レンタルの彼女さん、ですよね?」
.........................レンタルなんかじゃ嫌だな、彼女を求めてるならなってあげるのに。
「は........はい!私が貴方の彼女です!」
弁当を作ってこればよかった。手抜きをした自分を心底恨む。私は背後にあるゴミ箱へと彼に見えないように持って来た弁当箱を器用に投げ捨てるのであった。
シャドウバースやってる奴らよ!マスター帯で"アミュレット大好き"とかほざいてるビショップがいたら俺や!




