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冬美雪の劣情 EP12

「おい、奏!ジュースかって来いよ!」


「私のも!」


「オレのも頼むわ!」


私は芋女に対しパシリ同然の扱いをさせる。クラスメイトの一部も同様に、だ。


「...はぃ」


芋女が私の前に来るが舐めているのか?


「ん?早く買ってこいよ!」


その面を近づけて欲しくない。虫酸が走る。


「あの...お金は...」


私は立ち上がり芋女の腹に拳を打ち付ける。


「あ?」ドス


「うぐっ...ごめん..なさい」


胃液が口から出そうになるがそれを抑え小さく謝る春風。


「ふん」


鼻を鳴らし自分の席へ戻り友人達と話しを再会する。春風はお腹を抑えながら廊下へ出て購買へと向かって行った。実に心地の良い気分だ。


「ちょっと雪〜あれは酷いんじゃな〜い?」


取り巻きの一人がヘラヘラしながら私へと尋ねる。


「大丈夫だって〜あれくらいじゃあ死なないんだから。」


うっかり殺して仕舞わないように早く不登校になって欲しい。


「それに腹パン入れた時の顔見た〜?マジ受けるっしょ!」


「確かに!」


アハハハハと醜い顔で笑い合う集団(私達)を尻目に一部のクラスメイトが何とも言えぬ顔を見せるが関係あるものか。これも全て瀬名先輩、うんうん、瀬名くんへと近づく為の道なんだ。やめられるものか。



ピッ ゴドン


「これで最後っと、」


大量のジュースを買いそれを腕に乗せて教室へと向かう春風。


(なんで、こんな事になっちゃんだろう)


「はは」


乾いた笑いが出る。一年の教室は二階にあるので階段を使わなければならない。そして階段を登ろうとした刹那ドンっと人とぶつかるのを感じた。


「いたた、ごめんなさい。」


(本当に、ウチってついてないなぁ、)


「ああ、オレは大丈夫だ。」


久しぶりに聞く声。恋い焦がれ追いかけてきた先輩の声。


「瀬名...先輩?」


瞳から涙が溢れる。


(ああ、本当に先輩はかっこいい人だなぁ)


ずっと見つめ続けていたい。出来ることならば時間を止めてしまいたい。


「.....大丈夫か?」


ジュースの大半を拾い上げる瀬名先輩をただ目で追いかけてしまう。余りに美しくその身に私の全てを今すぐにでも預けてしまいたい。


「どこまで運べばいい?」


(でも私にはそんな資格は......ない)


今の状況を先輩にお見せすることは出来ない、手伝いを断ろう。


「いえ、結構......です、先輩」


瞳からは涙がポロポロと流れる。


「黙れ」


「え?」


「もう何も言わなくていい。」


瀬名先輩は自分の持つジュース缶を全て奪い取り、自分の教室まで何も話す事もなく運んでくれた。


ガララララッ


教室の扉を開いた先輩は女子からの黄色い声援が上がった。だけど先輩はその声を無視し冬美雪の元へと向かって行く。



「春風の奴遅ぇーな。喉マジで乾いたんだけど。」


「なぁ、彼奴の椅子にさぁ、画鋲入れてみねぇ?」


「面白そうだな、それ!」


「マジウケるでしょーそれー」


本当にいじめる奴らは頭が可笑しい人ばかりだ。ちょっとした事で人の嫌がることを率先してやろうとする。だけど春風奏にとっては良い薬になる。


(もっとやってしまえ、そうすれば私が先輩を独占できる!)


そんなやり取りをしていると教室の扉が開いた。恐らくだが、芋女だろう。


キャーーー瀬名先輩よ!!


(瀬名先輩?......何で私の教室に、もしかして春風が部活を辞めたことを?いや、その事を聞きにきたのなら都合がいい。今は彼奴がいない。なら、適当に悪い噂を瀬名先輩に言いつけて、芋女が絶対に戻らないと言う事を伝えよう。)


「あ〜瀬名先輩!私に会いに来てくれたんですかぁー♡」


なるべく媚びた声を出しながら先輩へと話しかける。


「........」


すると鋭い視線が私へと向く。先輩は机にジュースを置き私へと近づいた。


「もう先輩どうしんですかぁ濡れちゃいますよぉそんなに見られたら(/ω\)イヤン」


だが先輩は何も言わず私のネクタイを掴み上げた。


「きゃ!?」


周りは瀬名の行動に驚き静寂に包まれる。


「冬美.................オレの視界に二度と入るな。」


余りにも冷たい言葉が私の胸を穿つ。


「あっ、え?」


そう言うと先輩はネクタイを離し廊下へと出て行った。


(何......で?私は)


瀬名先輩に嫌われた?何で?何で?何で?何で!!!!!!!!


(あと少しで先輩は私の先輩になるはずだった、はず)


「嘘、でしょ」


私はその場に崩れ膝をつく。先程まで楽しく笑っていたクズどもは私から距離を取り始めた。それもそうか。瀬名先輩に嫌われたやつなど、誰が好き好んで付き合い続ける?


(全てが終わった.......)


学園生活も瀬名先輩も何もかもがあと一歩のところで。涙が止まらない。止められない。


「...............雪」


春風が教室へと入り目にしたものは机へと顔を伏せグスグスと泣く冬美の姿だった。

ブクマがやっと430件を超えたんだが!長かった.....420台を彷徨い続けて数ヶ月、やっと超えたんやな。


"ANIMEの世界からようこそ!"38話まで伸びたで!是非とも読んでくれ!そしてブクマしてくれ!ユニークユーザーは沢山いるのにブクマだけは何故かされないや!

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