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Episode7 "独占欲”

廊下を走りながら自分は考えていた。


_これから自分はどうなるのか、と。


もっとも素顔が露見した以上噂が広まるのは必然だろう。平和な日常を制限をつけながらも細々と送ってきた努力は泡に消えた。


従姉妹の事はあまり記憶にないし彼女の所為でこうなったのは仕方がないと思っている。いずれはバレル事だとは思ってはいた。


(......だけど、早すぎる。)


一週間足らずで素顔はクラスメイトに暴露され平和な日常生活が崩れた。


「.......待て、」


瀬名は足を止め動きを止めた。


(このまま家に帰るとまずくないか?.....監禁するって言ってたし.....いや、まだ大丈夫。そう、まだ大丈夫だ。)


瀬名はある方法を思いつき自分の教室へと早歩きで戻って行く。


(そうだ、女子共は独占欲が強い、そこを突けば!)


瀬名はまだ希望が残っていると瞳の光を戻し教室へと駆け出す。そして教室の前へと辿り着きドアを勢いよく開けた。


「せ、瀬名くん!」


秋山が声を上げ近くへと寄ろうとするがケイトが押し退け瀬名へと再びハグした。


「は、離せ!ケイト!」


正直な話、ケイトはかなり美人な類の人間で瀬名は照れで後ずさるが抱き締める力がそれを上回り瀬名を引き寄せる。


「ハサウェイさん.......離れて下さい。」


ケイトの肩に手を置き睨みつける秋山にケイトは鼻で笑い告げる。


「Oh〜ジャパニーズヤンキーデスカァ?ぷっ、怖いデスネー。」


嗤いながら肩に置かれる手を払い瀬名の横へと移り腕を絡めるが瀬名はそれを振りほどき教壇に立つ。


秋山とケイト以外の生徒、教師はまだ惚けている様で虚ろな目をしていた。だが瀬名はその場に今一度、仮面と伊達メガネを外すと一同生徒含める教師は正気を取り戻し瀬名へと視線を素早く移す。


「や、ヤバいでしょ、瀬名くん.....」


「この学校で一番かっこいいって思ってた佐藤君がスッポンに見えるもん......」


「ティ、ティッシュ貰えるかな....鼻血がとま、止まらない.......」


気絶をする子も何人かいる様だが瀬名はそれを無視し告げた。


「俺の事を他のクラス、家族、他校の奴に言わないで欲しい。」


みんなは困った顔をしたが次の宣言で一同は意志を180度変えた。


「共有する事は確かに良い事だけど.....本当に良いのかな?」


瀬名は優しく笑うとクラスメート全員は顔を伏せ赤面する。余りの美しさに自分がファンタジー世界にいるのではないのかと個々に錯覚をしていた。だが瀬名の言葉を思い出し直ぐに現実へと戻り本意に気づく。


(私達が誰かに言うと言う事は.......倍率が上がる!)


(ぽっと出の奴になんかに瀬名君を汚して欲しくない!)


(瀬名とHしてぇ.....手も繋ぎてぇ......でも、人に伝えれば確率が馬鹿みてぇに下がる。)


(瀬名君が人気になれば成る程私達が話す時間が減る!)


(ダメダメ、タダでさえ男子達は話を掛けても無視をする人が多いのに貴重な返事を返してくれる、それも神話級のイケメンを他人に譲る事は......)


「「「「「それは出来ない!!」」」」」


クラスメートのハモリと勢いに瀬名は黒板へと背をつける。


(良し、良い出来だ!これで最小限に抑える事が出来る!)


だがまたしてもケイトが余計なKY発言をした事で瀬名は表情を暗くする。


「ジョンはケイトのLoverデスし、広めて貰って構いマセンヨー!」


ぴょこぴょこと此方へと近寄りニッコリと笑顔を向ける。瀬名は苛つきを感じ睨みつけると赤面し抱きついて来た。


「ちょっと!ハサウェイさん!!」


「瀬名君とは一体どう言う関係なの!」


「ハサウェイさん、事と場合によっちゃあ警察を呼んでも良いんですよ!」


「ざけんじゃねぇーぞ!瀬名が汚れるだろうが白人野郎が!!」


秋山に続きクラスメート全員は抗議の声を上げケイトを瀬名から引き剥がす。だがケイトはそれに更に油を投下するのだった。


「Oh〜お猿さん達がピーピーうるさいデースね?此処はZooですか?センセー早くケージに入れてあげて下さーい!」


堪忍袋の尾が切れたのか喧嘩をする為にクラスメート一同は席を立ち上がる。


「もう許せねぇ!」


「言わせておけば!!」


「可愛いからって!!」


「羨ましいんだよぉ!!!」


襲いかかろうとケイトの元へと駆け出すが瀬名はケイトの前へと立ち、止める。


(........おい、教師のお前も何混ざってんだよ。)


女子一同に紛れ担当の女教師は止める事をせず混じっていた事に内心溜息を吐きつつ皆んなへと告げた。


「ケイトは、僕の従姉妹だよ。ケイトも伊都さんの娘でしょ?」


「ハイデース!そしてケイトはジョンとのフィアンセでもありまーすよ?」


背後からまたしても抱きつくケイト。秋山はキイイイィと恨めしそうにケイトを眺める。


「従姉妹.....だと.....」


「だから瀬名君はあんなにセクハラされてるのに文句を言わないのか.....」


「ねぇ瀬名君.....私も従姉妹になって「なりません。」いけずぅ!」


「そんなんチーターや!」


瀬名は一先ず場が収まった事に息を吐くがまたしてもケイトがアホな事を言い出した。


「皆さん、独占欲が強いんデスねぇー?でも黙ってたらまたマスクとグラセスをジョンはしまーすよ?ならクラスルームの中だけは取る事を条件にすればイーブンデスーヨー!」


みんなはそれだ!と息を揃えてケイトと握手をした。


(このクソ(あま)、良い加減にしろよ!!)


その後一限目の鐘が鳴り瀬名は再びマスクとサングラスを嵌めようとするが没収された。各科目担当の教師にも女子生徒が説明をすると教師陣も独占欲が優先し外部へとは漏れる事はなかった。


「瀬名君一緒にご飯食べよー!」


「あ?瀬名は俺と食うんだよ。」


「不良は退いてろ、私が瀬名と食う。」


「瀬名君、私お弁当作って来たんだけど、食べる?」


「はいはーい皆さんー退いてクダサーイ!」


ケイトはズシリと自分の膝の上に座って来た。


「おい、ケイト!痴漢だぞ!」


「ハサウェイさん!学校なんですからやめて下さい!」


「う、羨ましいんだが。」


「ねぇ、わ、私もシていい?」


瀬名は口を開こうとするが周りに集まるこのクラスの全女子生徒の所為で話せずにいた。痺れをきたしケイトの手を握り屋上へと逃げるように走る。もちろん、全員が後を追って来ようとしたが影に隠れ何とか撒くことが出来、無事屋上へとたどり着くと秋山が待ち伏せていた。


「瀬名君なら、此処に来ると思いましたよ。 」


にっこりと笑顔を向けて来るが何処か怖かった。


「あと、いつまでケイトちゃんとお手てを握っているんですか、瀬名君。」


言われて気づき手を離す。だがケイトが先程から何も話していない事に気づき顔を向けると顔を林檎の様に紅く染め口元が緩んでいた。


(こう言うところは可愛いのに.......)


秋山はムスっとした顔で自分へと近づいて来る。


「ケイトちゃんばっかりズルくはありませんか?」


眼力が凄く怖く感じつい頷いてしまった瀬名。その反応に満足したのか秋山は自分の手を握って来た。


「こ、これがせ、瀬名君の、お、男の子の手///あ、あ、暖かいです!」


「痴漢ですよ秋山さん。」


「へ?え?そんなのズルいです!」


従姉妹とクラスメートの距離感は大概違うだろうと考える瀬名だが秋山は涙目で自分を見て来たので瀬名は以前した様に秋山のオデコへとデコピンをした。


「泣くなって、女の子だろ?」


笑顔でそう言うと嬉しそうにオデコを撫り一緒に笑う。だがそんな二人に嫉妬したのか正気を取り戻したケイトはまたしても爆弾を投下した。


「ふーん!ケイトは今夜もっとジョンとすごい事をするから良いんだもーん!」


頰を膨らますケイトが可愛く見え頰を突くとぷすぅと空気が抜け間抜けな顔をしたので声を出して笑ったらケイトが自分へと抱きつき笑顔を向けて来た。


「ジョン、面白いデスかぁ?ふふーん!ケイトの勝ちデース!」


ドヤ顔を決め秋山をゴミを払う様に手でシッシッとするケイト。秋山は怒った顔でケイトを自分から引き剥がすと取っ組み合いなった。止めに入ろうとするがタイミングよく鐘が鳴ったので屋上を先に後にした。二人は遅刻し先生からお叱りを受けたのは言うまでも無いだろう。


ブクマがとうとうメイン超えちゃたよ........

お前らフザケンナよ!メインは↓なの!

Chaos:Demerit 〜不屈の英雄へ~をブクマしてくれぇ!!(懇願)

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