Episode 36 "相性"
瀬名と言う男は面白い人間が好きだ。
容姿の所為で余り他者との会話が続く事はないがごく稀に面白く自分に靡く奴がいる。
例えばケイトは良い例だろう?彼奴は周りを巻き込みながらも面白い事をする。
さて、今回は如何だろうか?ステラ・ウィリアム。隠そうとしているが彼女はボクっ娘だ。
「おい、何してる。」
瀬名はあの後、ステラを撒き真一とはそのまま解散した。そしてその日は何事もなく終えたのだが次の日、学校へと行く為に家の外へと出たらステラ・ウィリアムがいるのだ。
「おはよう、我が婿よ!良き朝だな!」
ステラ・ウィリアムの腕を見ると寝袋を抱えていた。
「まさかお前、俺の家までつけて来て、その寝袋で寝たとか言うんじゃないだろうな......」
「無論、愛しの旦那を見守るのも将来の妻たる私の責務だろう?」
むふんと鼻を高くしドヤ顔を決めるステラ。瀬名は片目を瞑りステラに対しデコピンをする。
「い、痛い!?何をするのだ!い、いや、もちろん......ぐふふ、嬉しいのだが....は!?ボクは何を口走って!?」
アタフタとするステラの頭に手を置き犬の様にワシャワシャと撫でる瀬名。
「バカ、女の子一人で外にいるな。危ないだろうが。」
「...........」
ステラは顔を赤くし下へと俯く。そして両手を胸下で握り瀬名を上目遣いで見ると小さく頷いた。
「よし、ならもうしないでくれよ!」
(この隙を狙ってエスケープッ!)
瀬名はそう言うとステラへとウィンクをして先に歩き出す。ステラは胸の高鳴りを感じ立ち尽くしそうになるが自我を全力で取り戻し瀬名の後を追えと身体に鞭を入れる。
(呑み込まれるな、ボク........ボクは女神なんだ.....そう、人類を救済し、英雄になる!)
「でも、女神にはつがいとなる勇者が必要だ。そう、これはボクの私自身に課した天啓なんだ。瀬名ジョン、名前は覚えた。あの男は私の隣に勇逸並ぶ事が許される有志だ。」
ステラは瀬名の後を追う様に駆け出す。
「待て、同士よ!」
「ステラ・ウェィリアム........」
(そこいらの凡人なら、さっきの触れ合いで数分は動きを止める筈なのに......)
瀬名はステラの精神性が常人とは異なる事を理解する。異性に対し多少の触れ合いを行えば大概の場合はその異性は嬉しさのあまり動けなくなくる。例を言うと蒼井花との最初の邂逅がそうだ。
(こいつ、量産式じゃあないな。)
瀬名は面白そうに小さく見えない様に笑みを浮かべる。
(彼女の理性がどれほど持つか、.....ふふ、興味が沸いた。)
瀬名は隣に立ち自分へと常に話し続けるステラの唇へと人差し指を置き耳もとで呟く。
「手、繋ぐ?」
「はぅ.....はい//はっ!?違う!....うぅ...良かろう!ぼ、ボクは君の手を繋ごうではないか!」
嬉しそうに恋人繋ぎを自分からするステラ。小さくガッツポーズをするところを少し可愛いと思ってしまった。
(それにしても、昨日、真一は残りの四人は自分が後始末しておくから安心してって言ってたけど.....大丈夫か?てか、ステラのめんどうは見ないのかーい。)
「同士?」
「いや、何でもない。」
瀬名の頭の中ではどのようにしてステラの理性を取り外し、無事に事を終えるかを模索していた。
(早く事を終えなければ......唯でさえ最近では後輩二人の面倒をしなければいけなくなったんだ。演劇にも支障がでる。)
「ねぇ、あれって?」
氷室空が二人が手を繋いでいる所を目撃し一緒に登校をしているツンデレ娘と暴力ぶりっ娘へと指摘する。
「「はああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」」
二人は絶叫し電柱へと身を隠し瀬名達の動向を伺う。
「ふざけんな!私が最初に目をつけたのに何あのガイジNTRしちゃてる訳ぇ?てか、あれ絶対に無理やりでしょ?私の王子様に触れてんじゃあないわよ!もぅ!」
「お前の王子様ではないけどな。それと、蒼井、キャラ崩壊凄くないか?」
「あんたらの前でぶりっ子してお金貰えるんならしてやっても言いわよ。」
「はぁ.....お前と言う奴は。あれ、月子は何処だ?」
一ノ瀬月子の存在がいつの間にか消えている事に気づいた氷室は周りに既にいない事に気づく。そして瀬名達へと視線を戻すと一ノ瀬は瀬名のもう片方の手を握っていたのだ。
「「は?」」
二人は同時に声を上げると素早く瀬名達の元へと駆け出した。
「もぅ、ジョ〜ン!いつも会いにいってる事くらい気づきなさいよねぇ!もぅ!」
「こら、離れぬか!この発情した雌猫が!この者は私のつがいであるぞ!気安く触れるでないわ!」
「あ?」
「ん?」
瀬名を挟みながら火花が散る。すると背中から衝撃を感じ振り返ろうとすると自身の肩部に蒼井の頭が乗っていた。
「ミイツケタァ」
「ヒッ!?」
そして眼を逸らそうと前へと戻すと氷室が自身へと抱きついていたのだ。顔は数センチ近づけば当たる距離にあった。
(おいいいいいいいいい!!!!!真一ぃ!!何が任せろだぁ!このままじゃあ集団レイプされる!)
瀬名は涙目になりつつ自身の身体にひっつく四人を引き剥がそうとするが誰一人として離れようとしない。
「あれ...........みん.....な?」
そうこうしていると一人の男が瀬名達へと近づき話を掛けてきた。
「.....海斗」ボソ
誰かがボそりと口にする。その男の正体を知り瀬名はこの状況から抜け出すための策を思いつく。
セミラミス「......流石に毎日毎日、税の勉強をしていると頭が可笑しくなるんだよ.....トランプの税改正とか.....記事とか、ああああああああああああああああああああああああああああああああ」
瀬名「いや、それ関係なくないか?」
セミラミス「報告書書かなきゃ行けないのにアイデアが浮かぶからこっちを書いちゃったんだよ。期限明日までなのに......」
瀬名「要するに投稿数が多い時はお前が忙しい時なんだね?」
セミラミス「作業から逃げたい時は休憩がてらに書いちゃうよねぇ.......はぁ、はよ日曜日になってくれぇ!」




