Episode 35 "女神降誕"
(誰だ、こいつ?)
瀬名は視線を真一に送った。
「おい、聞いているのか下郎!ボク、私の目を見ろ愚かものめ!」
真一が視線を感じ瀬名へと視線を向けようとするとステラの両腕により真一はステラの方へと顔を向けさせられた。
(うっ、近い)
真一は顔を逸らす。瀬名が超越した美人ならばステラは瀬名さんの立つ次元の一段階下の階層に存在する位置に立つ事が出来るだろう美しさだ。凡人である真一では直視する事でさえも厳しいだろう。だが、瀬名との邂逅を得て耐性は幾分かついていた真一は頰を赤く染めながらもステラの視線に合わせる。
「すいません、どちら様ですか?」
すると助け舟を出す様に瀬名が口を出した。
「瀬名さん、この人はステ「我が名を知りたいか!ならば教えてやろう!」
瀬名は彼女の発言の仕方からどの様な人物なのかを察しジト目で真一を見るとステラへと視線を戻す。
「いや、そこまで「我が名はステラ・ウィリアム!天下統一をなす為に生まれてきた魔王だ!」
何処の第六天魔王だと瀬名は心の中でツッコミ、鼻を高くしドヤ顔を決めるステラへと優しげな笑みを浮かべる。
(うっ........美しい...............)
ステラは瀬名の笑みを見て真一の背後へと隠れる。
「ボクの物にしたいなぁ」ボソ
(.......は!?ボクは何を!?)
無意識に小さくそう言葉にした自分にステラは疑心を感じ、唐突にその場で叫び出し付き物を落とした表情となるステラ。
「うお、いきなりどうした!?」
真一は驚き身体をビクリとさせる。ステラは真一の背後から顔を出し隣へと立つ。
「ボ、私が間違えであった!何を恐れる必要があるか!このものと巡り合うは宿命、いや運命だったのだ!ならば臆せず、我が物とすれば良い!」
ステラは瀬名の眼前に立ち顔を赤くしながら問い掛ける。
「お前をボクの妻に迎える.....反論は聞かんぞ?」
ステラは瀬名のネクタイを掴むと自分へと引き寄せ口付けをした。
「む!?」
ステラは瀬名の歯をこじ開け舌を絡ませると瀬名の腰を自分へと引き寄せる様に抱き締めた。
「ぷ!」
異様に強い腕力に瀬名は抵抗したが無意味に終わる。そして、ステラは瀬名の唇から口を離す。二人の間には糸が引き口下に付いた唾液をステラは舐め発情した目線で瀬名を見る。
「お、お、お前!いきなり何するんだ!!」
瀬名は怒りの声をあげながら腕で口元を拭う。真一はステラの行動に唖然として立ち尽くしていた。
「だから君がボクの妻になるんだよ。その圧倒的な色香、容姿、声色全てにおいて私を落とす為に生まれて来たのだろう?この女神たるステラ・ウィリアム、ソナタを飽きさせはせぬ。ボクの隣にいるだけでいい.......それだけで全てが上手くいく。そう、絶対に隣にいてくれなくては困る。」
瀬名へと完全に染まりつつある自分にステラは気づかない。
「それに、ソナタのその表情を見るに、我が愛撫も悪くなかろう?」
ステラは瀬名の耳が赤くなっている事に気づき自身も照れながらも瀬名を指摘する。
「なっ」
瀬名は指摘された事に対し恥ずかしさを感じ口元を手で抑える。※瀬名も男なので欲情します。
「おい、ステラ・ウィリアム!瀬名さんにいきなり何しやがる!」
真一はステラを引っぱり瀬名から距離を離すが掴まれた真一の手を叩き怒声を浴びせた。
「女神の柔肌に気安く触るでないわ、無礼者!その汚らわしき行い万死に値するぞ!今、この時よりこの肌に触れて良い男はこの男だけとなった。立場を弁えよ道化風情が。」
真一を押しのけ瀬名の隣へと立ち何もかもを見透かしそうな眼光で瀬名を見つめるステラ。
「やはり君は美しいな。だが......女難の相が感じられる。まぁ仕方の無いことか。我らの様に美に特化した人ならば下級民が神へと縋る様に恋焦がれるのも道理。だが心配はいらない、君への不安はボクが取り除くとも。」
瀬名はまた訳の分からない女に眼を付けられてしまったと思いため息を吐く。と同時にこの女を面白と感じてしまった。
「ステラさん?だっけ......君って、中二病なの?」
微笑を掲げながら瀬名は聞くとステラは首を傾げ中二病とはと疑問を口にした。
(この子、天然でこの性格なのか.........重症ですね。)
少し離れた場所で二人を監察する真一。
(.........瀬名さん、笑ってるよ......こういう顔をする時は大概、この人悪ふざけする癖があるからなぁ。)
例を出すと二人でハーレム崩しの計画を話す為に近場のお洒落なカフェでカップルを見かけると瀬名さんは女性の方へと視線を向け微笑むのだ。それもワザと。※~不屈の英雄へ~Episode2 "プロローグ2"参照。
(あの微笑みを受けた異性がどうなるかなど想像に難しくないだろう?)
ちなみに瀬名さんに何故するのかと聞いた所、
「普通にストレス発散だけど?」
と答えられた。あんたは鬼畜か!この人もこの人で何処か普通の人とはズレている感性を持ってるんだよなぁ。
「さて、君の家にこれから住ませて貰うが構わないな?」
「何を言ってるんだ、おまえは。」
ステラの当然の発言にツッコミを入れる瀬名。
「あぁ、ボクの家の、おほん、私の家の方がいいかい?それならそうと言ってくれ。」
「「そこじゃねーよ!」」
真一も瀬名に釣られ同時にツッコミを入れる。
「我らの妻夫漫才を邪魔をするな、道化め。見て分からぬのか?我らは今、愛を育んでいるのだぞ?」
今の会話に愛に該当する内容は含まれているのでしょうか、と静かに口を滑らす瀬名。
「なに、我らが共に成すことは全て愛へと繋がる。どれ、触ってみろ。私は君と話すだけでこれ程までに鼓動を高鳴らせているぞ?」
「む、胸があ、あたってる!」
ステラは瀬名の手を掴み自身の胸の鼓動を聞かせる。
「だからどうした?我らは妻と夫となる.....何も問題はなかろう?「問題ありありじゃー!!」
周囲の通行達はこの二人の会話、そして容姿に惹かれ立ち止まり傍観していた。その事に気づいた瀬名と真一はステラの手を振りほどき真一へと逃げるぞっと視線で指示する。それを受けとった真一は瀬名が駆け出したと同時にステラを残しその場を去っていった。
「ふ、照れ屋さんめ、中々可愛い男ではないか。だが、逃がさんぞ......君はもう、ボクの物だ。」
ステラは口元を緩ませ瀬名達が走り去っていった方向へと足を進ませるのであった。
秋山「作者さん!200件突破からまだ一週間くらいしか経ってないのに240件ですよ!240件っ!」
セミラミス「......誰だ、お前。」
秋山「貴方の所為で出番が少ないんですから、私の存在が忘れ去られる前にキャラづけですよ!キャラづけっ!ケイトさんもやってますよね?」
セミラミス「.........」




