Episode 19 "主人公がサイドの作品に出ると盛り上がるよね"
「ねぇー海斗〜如何したの?元気無いけど、大丈夫?もしかして、また彼奴が海斗の机に花瓶を置いたんじゃ......」
「人として許せないわ!」
「先生に報告をした方が良いよ?」
海斗は眉をピクリとさせハーレムの女達へと言う。
「まだ..............真一が犯人って確定した訳じゃないから報告はしないでくれないか。」
海斗は優しくそう口に出すと三人のハーレムは頰を紅くして俯いた。
「海斗が言うなら、そうする、うん//」
「私もー//」
「海斗くん.....優しい//」
三人の言葉を受け取り胸へと手を当てる。
(何で真一.....あの時泣いてたんだよ......何が本当で嘘なのか.....分かんねぇよ.....)
夕暮れ時の空をカフェの窓から覗く海斗。そしてイジメの真偽が真なのかを苦悩するのであった。
「今日は学校は休み、でも部活動ってのはやってる筈だ。」
土曜日の早朝、真一は家を飛び出し隣校である進学校へと自転車を走らせる。
(待ち伏せしてれば会えるはずだ。)
昨日演劇部を目にしてからか頭の中には瀬名の顔が思い浮かぶ真一。
(何かオレ、ホモ見てぇだなぁ。)
はは、っと苦笑いを浮かべペダルを回す力に更に力を入れる。
「.......まぁとは言え彼奴の経験談を聞ければイジメ対策のヒントが得られる筈だ!」
坂をゼェゼェと漕ぎながら何とか瀬名が在籍するであろう校門前へと辿り着く。
「流石に校内には今日は入れないけど、今日一日、此処はってりゃあ会えるだろ。」
早朝の朝8時から校門前に背を預け待つのだ。顔立ちからも警備員からは在校生だと思われ注意はされなかった。それから暫くするとジャージを着た生徒達が部活をする為に姿を現し始めた。
「すいません、今日って演劇部の活動ってありますか?」
通りすがった生徒達の一人へと声をかける。
「演劇部?そんな部活あったけ?」
「昨日の劇見てねぇーのかよ。てかLIMEで送っただろーが!瀬名があの部活に入ってるって女子の間で拡散されてたぞ。」
「へぇ〜マジか、彼奴、部活やってたんだな。」
と真一を無視して二人で話をし出したのだが後ろに待ちわびたであろう瀬名本人が校門へと目指し歩いていた。
「話、ありがと!」
二人へと礼を言い、瀬名の元へと駆け出す。
「瀬名さーん!!」
その掛け声に複数の女子生徒がムッと顔を真一へと曲げる。だが真一はそんな視線を無視して瀬名の元へと辿り着く。
「............」
瀬名は鋭い眼光で真一を見るが何も話さない。
「...........あ、あの!」
余りの美しさに一瞬、唖然としかけたが直ぐに正気を取り戻し、瀬名へと声をかける。まるで告白をする時の様な緊張感を感じるが自分は決してホモではないと言い聞かせる。
「一つ、質問良いですか?」
おどおどしながらも何とか言葉を出すと、瀬名は静かに頷いてくれた。因みに瀬名の心情は以下の通りだ。
(何だ、こいつ........いきなり話しかけられたと思ったら頰染めて気持ち悪りぃーな。とっとと切り上げて演劇に努まねば。先輩達よりも先に行かないと示しがつかなからな。)
である。心底、性根が腐ってはいるが逆を返せば真面目なだけなのだ。
「オレの友達がアンタ程ではないにしろ、モテる奴がいるんだ。」
瀬名は眉間に皺をよせその場を立ち去ろうとする。
「唯の世間話がしたいのなら他を「待ってくれ、分かった!簡潔に言う!」
瀬名は肩を掴まれ動きを止めた。そして、すかさず肩に掛かる手を払い除け真一へと向き直る。それを確認した真一は即座に説明を開始した。
「友達にいじめを受けている奴がいる。」
「いじめ.....ね。」
どうやら瀬名の興味に乗る話の用だ。真一は続けて話しを始めた。
「そいつはさっきも言ったとおり、モテる奴でな、欲に言うラノベ型ハーレムを学園で繰り広げているんだ。そんで、言いたくわないがオレはアイツの親友ポジにいる。」
ア二メやラノベを愛するバカ野郎共には理解出来る通り、親友と言うポジションと言うのは大まかに言うとかませでありホモでもあり、作中一番の脇役と言ってもいい役柄だ。主人公の幸福を一番傍から見ないと行けない苦痛を伴う。
「ちなみに一番美味しいタイプの親友ポジは黒幕タイプだとオレは思う。」
瀬名はどうやらア二メなどの娯楽の知識に精通しているようだ。
「今日は瀬名さんにアドバイスを貰いに来た。モテる人ってのはどうやら妬みの種になりやすいらしい。」
瀬名は苦笑いを浮かべため息を吐いた。
「それで、オレってわけか.....一ついいか?」
「あぁ、もちろん。」
「お前はイジメを止めたいのか?......それともハーレムを止めたいのか聞かせてくれ。」
二人は校舎裏のフェンスを背に話しを続ける。
「イジメを止められればそれでいい。ハーレムを築いているとは言え一人一人の女の子がアイツに真剣なんだ。それを壊すことなんか出来ない。それに俺なんかがどう足掻こうがあいつらの縁は切れんだろうよ。」
瀬名はその台詞を聞き鼻で嗤う。
「ふ、ラノベはラノベでも.....欝な展開は付き物だ。餌をちょっと与えればその関係はすぐに崩れる。クラスにいるチャラい奴を一人混ざらせればノクターン工房一直接のエロラノベへと発展するぞ。もっともその場合のタイトルは“ハーレム主人公だったんだけど親友に裏切られてNTRされた件について゛だろうけどな。」
瀬名はそう口にするとくくっと笑顔を見せた。その笑みは人々を魅了すると言う観点に置いて頂点んを取れるのではないかと錯覚するほどに美しい物だった。
「まぁ、と言っても親友の位置に存在するお前からしたら友のそんな姿は見たくないだろう。だが断言する。ハーレムを止めない限りイジメは学園生活が終わるまで続くぞ。」
その発言の凄みに後ずさる真一。
「じゃぁ、どうすれば.........オレに彼女達を魅了するだけの魅力はない........他に方法は...」
真一はシュンと顔を下に向けると瀬名は真一の両頬を叩き宣言する。
「目の前にいるだろ?」
瀬名にとってイジメと言う物は心底、憎悪する物だ。イジメをしている奴がいるのならそいつをイジメてしまおうと周りを動かすだろう。部活以外の人との関わりは極力避けているがイジメなどの問題に直面しら場合は自身から関わりに行くだろう。
「それで、お前のクラスは何組だ?」
瀬名は真一に問うが真一は頭を下げ隣校の生徒だと告げた。
「わざわざ、オレに会いに此処まで来たと。まぁ、いい。月曜日、放課後に其方の学校に向かう。立ち入りの許可を貰って置いてくれ。.....そうだな、転入希望生とでも言っておけば通るんじゃぁないか?」
そう早口で言うと手を振りそのまま校舎へと入っていった。取り残された真一は特にやることもなかったのでその日はそのまま帰宅をする。
(瀬名さん、おおざっば過ぎるよぉ。計画もクソもないしオレはどうすれば.....)
べッドへと横になりながら考える真一は身体を横に向け時計を見る。
「取り敢えず、瀬名さんに言われた通り許可を貰って放課後に待つしかない。」
真一は知る余地もなかった。月曜日である明後日に大きな波乱が起きる事を。
百を越えたかぁー(棒)
自分の押してるメインの四倍のブクマ数......(いい加減、74人は~不屈の英雄~の方にもブクマしてくれませんかねぇ(哀




