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捜索

「あのクソジジイめ!またいなくなりやがって!もう、あんなジジイのお守り役なんざぁ、勘弁して欲しいぜ!ちょっと油断した隙を付いて、すぐに抜け出しやがるんだものなぁ。」

「まあ、そう言うな、ミスターコーナー。あれでも一昔前は、立派な皇帝として善政を成し、今でも多くの帝国国民に、崇拝されているんだ。」

「そうは言うがよう、ミスターヘルプ、退役してからのあのジジイの行動は、目に余るぞ!“イエローゲートの神力”を、下品で卑猥な目的に乱用しやがって。」

「確かにな。イエローゲート一族にのみ伝承される特殊能力、“イエローゲートの神力”を使われちゃ、生身の人間である俺達には、お守りですらも、仕切れるものじゃないからなぁ。」

「全く、なんて家系に生まれちまったんだ、俺たちは。イエローゲート一族に古くから仕え、代々、“王家の守護者”をして来た家系なんてな。この世で最も不憫な家系なのじゃないか?えぇ?ミスターヘルプ。」

「そんなことは無いだろう、ミスターコーナー。確かに、王家の守護、特に、退役皇帝のお守りは厄介な務めだが、それをやる事で、俺たちの家系は皆、昔から相当に裕福な暮らしが出来ているのだからな。」

「・・まあ、そういうこったな。じゃあ、しょうがないから、お勤めを果たすとするか。」

「そうそう、裕福な暮らしをさせてもらっている恩に報いる為に、クソジジイの捜索をしようじゃないか。・・おっ!」

 その時に、ミスターヘルプのポケットにある通信機が鳴った。

「ミスターエイトからだ。ジジイの痕跡を見つけたようだ。トカーネ星団に向かうタキオントンネルのターミナルで。子持ちの女性を覗き見していたらしい。」

「また覗き見かよ、あのエロジジイめ!しかも、トカーネ星団なんかに向かいやがったのか。でかい星団だぜ。あっちのターミナルからあまり移動しない内に抑えねえと、探すのも骨が折れるぜ。急ごうか、ミスターヘルプ。」

 セッソリ星系第1惑星の第6衛星の地下に築かれた、巨大且つ壮麗な王家の宮殿から、ミスターコーナーとミスターヘルプは出発した。レールキャノン方式で、衛星の脱出速度を超えたスピードにまで加速され、射出された彼らのシャトルは、王家所有のビーマから照射されるレーザービームに押されることにより更に加速し、一目散にタキオントンネルのターミナルに向かった。

 人の住める環境では無い、荒涼たる第6衛星の地上には、王家の家紋を頂いた巨大な金属質のキャッスルが幾つもそびえたっており、王家の、そして帝国の威光を誇示している。キャッスルは本来、見張り塔として建造されたものだったのだが、平和なリムラーノ帝国にあっては相当に形骸化し、王家と帝国の威光を示すシンボルというのが、実際上は最大の存在意義となっている。

 第1惑星にある12個の衛星の、全ての地下には、王家の宮殿が築かれており、帝国皇帝は第1衛星に住まっている。退役皇帝である件の老人、アレクセンドロス=イエローゲートは、そのお守り役と共に第6衛星の地下の宮殿に隠居しているのだが、時々脱走・徘徊をして、お守り役たちを悩ませているのだ。

「ほんの数日前に、ようやく連れ戻して来たところだったってのに、また逃げられちまうんだから、やってられねぇよなぁ。」

と、ミスターコーナーは毒づきつつ、ぐんぐんと近寄って来るタキオントンネルのターミナル施設を、シャトルの窓から眺めていた。


「このあたりに、クソジジイの“神力”が残存しているぜ。」

と、ミスターエイトは、ターミナル施設にたどり着いたミスターコーナーとミスターヘルプに報告した。ターミナル施設内を隈なく捜索していたミスターエイトは、ミスターコーナー達の到着に、ジャストタイミングに合わせて、シャトルのドッキングベイへとやって来たのだった。いつもこんな風に、きっかりと時間を守って行動するミスターエイトは、別名「きっかりエイト」とも呼ばれている。

「で、きっかりエイトよ、クソジジイはタキオントンネル船に乗ろうとしている母子を覗き見ていたんだな。」

「ああ、」

ミスターエイトは目を閉じて答えた。「飛び切り美人の母親と、3・4歳の男の子が見えるぜ。」

 王家の血を引いていないにも関わらず、なぜかミスターエイトは少しだけ“イエローゲートの神力”を使えるのだ。王家の血を引いている者のように自在に使いこなす事は出来ないが、王家の者が“神力”を使って覗き見たものを、神力の発動から30時間以内位までならば、見る事が出来る。

「あのエロジジイ、母親の尻ばっかり見ていやがる。前皇帝にこんな破廉恥な事されたんじゃ、帝国の名が廃るぜぇ。」

「とにかく、その母子を追ってタキオントンネル船に乗り込んだ事は確認できたんだな。じゃあ、とっとと追いかけよう。」

と、ミスターコーナーが言うと、3人の“王家の守護者”達は次の便に乗るべく、タキオントンネル船を目指して移動を始めた。例の取っ手に導かれて、数多の旅客が行き交うターミナル施設の中空を飛翔したのだ。

 それは、前皇帝が母子を追って宇宙船に乗った翌日の事だった。彼ら3人が宇宙船に乗り込んだ頃、前皇帝は、トカーネ星団を目指してタキオントンネル内を疾走している宇宙船内で、個室でくつろぐ母子を覗き見して、悶絶している真っ最中だった。そして3人がトカーネ星団にあるタキオントンネルのターミナルも到着したのも、母子や前皇帝から1日遅れた頃だった。

「例の母子もジジイも、下船してすぐにタキオントンネルのターミナルから出ちまった。“神域”はここまでだから、残存する“神力”で追跡出来るのもここまでだな。どのビームセイリング船の停留施設に向かったかは分かるが、そこから先は不明だ。」

 “神域”とは、“神力”を持つものが、様々な能力を発揮できる空間だ。隔壁に遮られた遠くからでも見る事が出来る遠隔視認も、その能力の中の一つだ。神域は太古の文明が造ったもので、彼らの時代には、それを作る技術は無い。彼らにとって“神域”は、作るものでは無く、初めから有るものなのだ。

「ちぇっ、そうか。厄介だが、停留施設に着いたら、手当たり次第に聞き込みをして、そっから先の行方を探るしかねぇなぁ。」

と言うと、シャトルでビームセイリング船の停留施設に着いた後、ミスターヘルプは手近にあった売店の娘に、質問をぶつけに行った。母子は施設の回転軸部分から、一旦外周壁面に移動し、そこで老人に声を掛けたり、食事を採ったりした後、また回転軸部分に戻って来て、ビームセイリング船に乗ったのだが、それを知らない“王家の守護者”達は、外周部には行かずに、軸部分で聞き込みを始めたのだった。

「よう、おネエちゃん。昨日ここを、ヨボヨボでちんちくりんの爺さんが通らなかったかなぁ。」

「え?昨日?あたい昨日は、店番に出てなかったから・・。ちょっと待って、マミー!」

と、あどけなさを残す店番の娘は母親を呼んだらしく、それに応じてやや年配の女性が店の奥から出て来た。無重力空間にある店だから、店内の移動にも例の取っ手が使われる。施設の従業員用の取っ手は、持っている者が自由に行き先をコントロール出来るタイプだ。

 年配の女性は取っ手を操作しながら、ミスターヘルプ達のところまでやって来た。

「いらっしゃい。え?老人?さぁ、気付かなかったわねぇ。」

「そうか、仕方ねぇな。じゃあ他を当たるか。邪魔したな、おネエちゃんにマミー。」

そう言って立ち去りかけたミスターヘルプの脇から、きっかりエイトが“マミー”に話しかけた。

「もう一つ聞かせてくれ。修道女のような格好の、飛び切りの美人の母親と、3・4歳くらいの男の子の組み合わせは、見かけなかったかい?」

 そのミスターエイトの質問に、ピクリと反応した者がいた。売店の商品を物色していたらしい、人相の悪い男が、偶然にミスターエイトの声を聞きつけ、その質問の内容に、過敏に反応したのだ。

 そして、その人相の悪い男の過剰反応に、“王家の守護者”達も感付いた。彼らはただのお守り役では無い。代々王族の警護を生業としてきた家系に生まれ、特殊な修練を積んで来た、凄腕のボディーガードでもある。怪しげな気配への反応は神懸かり的なものがあるのだ。

「ああ、それなら見たよ!」

マミーは大声で行った。「本当に、飛び切り美人のマンマだったんでね、よおっく覚えているよ。その人たちなら・・」

 言いかけたマミーを遮るように、ミスターコーナーが、

「おっとマミー、それはもうちょっと小声で、俺達だけに聞こえるように話してくれるかな。」

「え?ああそうなのかい。いいとも。」

「マミーは地声がでかすぎるんだよ。」

と、幼顔の娘が口を挟む。

 そして耳打ちするように、マミーは三人の“守護者”に、その母子の向かった先を教えた。

 例の人相の悪い男は、何とかマミーの言葉を聞き取ろうと努力したようだが、聞きそびれた。そして彼が握る、例の取っ手に導かれて、そそくさとその場から去って行った

 3人の“守護者”は、マミーから得た情報で、件の母子がどの星系行きのビームセイリング船に向かったのかを知らされていたが、なぜか、それとは別の星系に行くビームセイリング船のもとへとやって来ていた。

「さあ、こいつに乗って、お目当ての美人マンマとその子供を追いかけようか。」

と言って、宇宙船に乗り込んだミスターコーナーとその仲間だったが、彼らが乗り込むのに続いて、例の人相の悪い男を含んだ10人程の集団が、同じ宇宙船に乗り込んで来た。

 と、途端に“守護者”の3人は、宇宙船から飛び出した。人相の悪い男とその仲間は、ぎょっとした様子で、3人に続いて宇宙船を降りる。その挙動から、人相の悪い男が従える集団が、“王家の守護者”達を尾行していた事が露呈されたのだった。

「おう、おう、おう、おっさん達。俺たちに何か用か?」

「ぬぅ,追けていたのに気付いていたか。鋭い奴等だ。ただ者ではないようだが、お前達、何者だ?」

「質問はこっちがしているんだろ?先に答えろよ。なんで俺たちの後を追けていやがる。お前達はどういう素性の者だ」

「答える必要は無ぇなぁ。そっちこそ、こっちの質問に答えないと、どうなっても知らねえぜ。人数を数えてみろ、てめぇらに分がねえって事は、一目瞭然だろ。怪我しねえうちに、こっちの質問に答えやがれ。」

 ミスターコーナーと人相の悪い男とのやり取りに、ミスターヘルプが割って入る。

「分があるのはこっちだなぁ。そして、質問に答えないと怪我をするのは、そっちだ。てめぇらのような雑魚が束になって掛かって来ても、俺たちに勝てる訳はねぇんだからなぁ。」

「何だと、てめぇ、言ってくれたな。おい野郎ども、こいつらたたんじまえ!」

 男達は一斉に、3人の“守護者”達目がけて突進して来た。今までは例の取っ手に導かれての移動だったが、彼らはその取っ手を放り出した上で、無重力空間で、猛スピードで突進するという動きを実現していた。彼らの着ている衣服に、そういった性能があったのだ。取っ手と同じく、施設との電磁的作用で任意の方向に移動できる。

 リーディングスーツと呼ばれるその衣服は、手足の動かし方などがコマンド入力操作となっており、ある一定のポーズやアクションに反応して、施設との電磁的作用によって、着ている者の体を、コマンドで指示された方向に移動させるのだ。手足のどういうポーズやアックションが、どのようなリーディングスーツの動きに対応しているかは、人それぞれだが、人相の悪い男とその仲間達は、それぞれのポーズやアクションを繰り出す事で、ミスターコーナー達に向かって突進するという動きを実現していたのだ。

 リーディングスーツというのは、無重力空間での格闘を実現する為の装備であり、そんなものを着用しているという事自体が、彼らが武闘集団である事を証明していた。

 3人の“守護者”達目がけて突進して行った、10人の武闘集団達の拳や蹴りは、しかし、全て空を切った。ミスターコーナーもスターヘルプもきっかりエイトも、実に見事な身のこなしで、実に素早く、巧みに、武闘集団達の攻撃を躱して見せたのだ。躱しただけでなく、3人の“守護者”達の手刀や回し蹴りが、それぞれ武闘集団の中の1人のみぞおちや頸椎を打ち据え、昏倒に至らしめていた。

 武闘集団たちは、自分達の攻撃が空振りに終わったことに動揺しつつ、一瞬見失った標的を探して上下左右をきょろきょろと見回し、標的の発見と同時に、仲間の内の3人が失神して、虚しく無重力空間を漂流している事実にも気付かされた。

「な・・なんだと、何なんだこいつらは、何者なんだお前たちは・・・?」

「だから、質問しているのはこっちだって言っているだろう。答えないとお前達全員、こうなるんだぜ。」

 そう言ってミスターヘルプは、失神している武闘集団のメンバーを顎で指し示した。

「ぬう、くそうっ!なぜこんな・・、何なんだこいつら。もう一遍、仕掛けてみようか?」

と、武闘集団の1人が言い、

「お、まだ現実が見えねえか?何度でもかかってこい。構わねえぜ。」

と、ミスターコーナーが余裕しゃくしゃくの表情で答えた。

「無駄だ、今の奴らの動き見ただろ。格闘の腕前も、リーディングスーツの性能も、俺達とはケタ違いだ。」

と、武闘集団の別の者が言うと、集団の全員が、悔しさをその顔ににじませながらも、その事実に頷かざるを得ない様子となった。

「ようやく理解したか。だから言っただろう、お前らみたいな雑魚が束になって掛かって来ても、俺達には適わないと。」

「さあ、さっさと白状してもらうぞ、お前たちは何者なのか。俺たちに何の用があるのか?」

「うっ・・・」

 ミスターヘルプの質問への答えに窮した武闘集団の1人に向かって、きっかりエイトが告げた。

「俺達じゃないんだよな。お前達が、用があるのは。昨日ここを通った、飛び切り美人のマンマとその子供だ。違うか?」

「ぬぅっ・・、何故それを?」

「売店で盗み聞きしている事にも気付いていたんだよ。美人の母親と子供という組み合わせの旅客の事を耳にして、ずいぶん興味をそそられていたじゃないか。お前達はその母子を追いかけているんだろ?」

と言うミスターコーナーに続いて、きっかりエイトも言った。

「お前たちのような悪そうなのが、あんな幸せそうな母子を追い掛けているなんてのは、穏やかな話ではなさそうだからな。俺たちは当然、問答無用で、母子の味方だ。何て言ったって、美人だしな、マンマの方は。」

 そのきっかりエイトの発言に、武闘集団の1人は怪訝な顔をする。

「幸せそうとか美人とか、まるで見たような事を言いやがるな。お前達何か繋がりがあるのか?」

「繋がりは無い。見たんだよ。昨日ここを通った母子の様子を、今さっきな。俺たちはその母子に用は無い。ただ、お前らがその母子を追いかけているというのが、気に入らないだけだ。」

 そこへミスターコーナーが、

「質問するなって言ってるのが分かんねぇのか!こっちの質問に答えやがれ!お前らが俺達に用がある訳では無く、その母子に用があるってのは分かったが、お前たちは何者で、なぜその母子を追いかけていやがる。」

「・・・・」

 黙りこくってしまった集団を見て、

「どうあっても言う訳にはいかねえって感じだな。だが、いよいよ怪しい。幸せそうな母子を、悪そうな男達が、人に言えない理由で追いかけてるともなれば、力づくでも追いかけている理由を聞き出さなくてはな。」

と言ってミスターコーナーは、今にも突撃しそうな構えを見せた。

 適わないと悟った男達は、絶望の表情で、それでも質問に答える意思を示す事は無く、

「見ず知らずの母子の為に、そうムキになる事はねぇだろう。多少の謝礼ならやるから、ここは見逃してくれねぇかな?」

と、買収の試みに一縷の望みを託した。

「謝礼だぁ?見くびるんじゃねぇぞ。どんな大金より、幸せな母子の笑顔の方が、俺達にゃぁ貴重なんでな。」

「けっ、綺麗ごとを。恰好付けやがって・・。」

と、捨て台詞を吐くしかなくなった武闘集団達は、買収を諦め、負け戦に備えて身構えた。

「負けると分かってて、それでも言わねえか。いい度胸だ。たっぷりと締め上げてやるぜ。」

 そう言って躍りかかろうとしたミスターコーナーに、きっかりエイトが、

「おいおい、ミスターコーナーよ。今ここで、ボカスカ殴り合ってる時間は無いぞ。ビームセイリング船の出発時間が近づいている。5分前には乗り込んでいるのがマナーだから、もうそろそろ行かないと。」

と言うと、少し残念そうにミスターコーナーは、

「・・へいへい。分かったよ、きっかりエイトさん。」

と言って、懐から銃を取り出した。それを見た武闘集団の男達は、驚愕と焦燥と絶望を混ぜ合わせたような顔で、

「ちょ・・お・・おい・・それは、電撃銃か・・?なんでそんなものを持っている。なんで持ち込めたんだ。そんなもの、施設に入るところで没収されるはずだ。」

と言った。

 タキオントンネルのターミナルにしろ、ビームセイリング船の停留施設にしろ、武器の持ち込みは固く禁じられており、隠して持ち込もうとしても、高性能の検出器で確実に見つけられ、没収されるのだ。武闘集団達は何度も、手段を尽くして持ち込みを試みた経験があるので、その事は骨身にしみて思い知っている。

「武器の持ち込みは、絶対に不可能なはずだ!」

「それが可能なんだな、俺たちに関しては。何を隠そう、俺たちは“王家の守護者”だからな。武器も持ち込めるし、乗船券無しでも宇宙船に乗れる。」

 ミスターヘルプのその発言で、武闘集団達の顔に浮かんでいた驚愕と絶望は、更に倍化した。

「“王家の守護者”・・・だと・・そんな・・。・・なんて奴等に出くわしちまったんだ。そんな恐ろしい奴らに、ケンカを吹っ掛けちまったのか、俺たちは。適わねえはずだ・・。」

「そうそう、絶対に適わないし、逃げる事も不可能だぜ。リーディングスーツの性能が桁違いなんだからな。」

「う・・うう・・う・・」

 狼狽を露わにする集団の者共に、ミスターコーナーは、

「じゃあ、しゃべってもらうまで、電撃の快感を味わって頂こうか。」

と言って、電撃銃の銃口を武闘集団達へと向けた。

「・・まっ・・待ってくれ!分かった!話す。話すから、勘弁してくれ。」

1人がそう言うのへ、

「お、おい、良いのか?しゃべっちまうのか?」

と言う者もあったが、

「仕方が無いだろう!“王家の守護者”なんぞに目をつけられた時点で、もう、諦めるしかない。何もかも、もうおしまいなんだよ!」

 そして“王家の守護者”の3人は、件の母子の秘密と、彼女達を付け狙っている黒幕の存在を知らされたのだった。きっかりエイトの望み通り、5分以上前に乗り込んだビームセイリング船の中で、3人はその事を語り合っていた。

「エロジジイを追いかけようとして、大変なものにぶち当たっちまったな。」

と言うミスターコーナーだが、何やら楽しそうだ。前皇帝のお守りよりも、遥かにやりがいのあるミッションを得たと思っているのだろうか。

「あの美人マンマ、ただ者じゃないとは思っていたが、そんな秘密があったのか。いや、より大きな秘密を抱えているのは、マンマの方じゃなくて、子供の方か。まだ3つになったばかりの幼子が、途方も無い運命を背負ってるんだな。」

 “イエローゲートの神力”で母子を実際に見たきっかりエイトは、感慨深気につぶやいた。

「しかし、どんなに深い闇があろうと、秘密を抱えて居ようと、あの母子には幸せになる権利がある。彼女達が不幸になるなんざ、俺は納得いかねえ。」

と言ったミスターコーナーに、

「ああ、“王家の守護者”は、帝国国民の守護者でもあるんだ。彼女達の幸せを奪おうとする者は、“王家の守護者”の名に懸けて、絶対に許すわけにはいかねえ。」

と、ミスターヘルプも賛同した。

「もう、こうなったら、エロジジイの事は後回しだな。」

「ああ、そうだ。あれは、あんなのは、しばらく放っておいても問題ないだろう。自分の事くらい自分で何とかするだろうさ。エロいが無敵だからな。」

「と言っても、俺達の向かう先に変更は無いぜ。エロジジイは美人マンマの尻を追いかけているんだからな。」

「・・腹立たしい事実を思い出させるんじゃねえよ。まったく・・。」


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