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視線

退役皇帝徘徊録 -謎の子連れ美女の、光と闇-


その部屋には、甘い香りの陽光が満ちていた。熱いと思わせるほどでもない熱量で、眩しいと感じさせる事も無い光量で、穏やかに、たおやかに、室内を隈なく照射している。

 その温かな陽光から生成された女がひとり、アンティークな趣のあるウッドチェアーの上に、忽然と姿を現して来た。そんな馬鹿な。光から女が作られたりするものか。その女性は、最前からそこにいたのだ。だが、確かにそう感じた。光より生まれて来たと。そう感じさせるほどに、彼女は自然に、その陽光の満ちる部屋の景観に溶け込んでいたのだ。

 カップを持ち上げ、紅茶を啜るその所作は、陽光の揺らめきと一体となって、この宇宙を程良く加温している。

そんな風に思える。

ぼんやり見つめる限りは。

 しかし、その横顔を、じっと目を凝らして見つめていると、そこには、底知れぬ暗闇が存在している事に気付かされる。目に映るのは明るい光だけなのに、そう感じさせるのは、彼女が、すさまじい引力で見る者を魅惑するからだろうか。温かな光で誘き寄せた魂を、底なしの暗闇で捕縛し、引きずり込んで行くのであろうか。そんな風にも思える。

 その彼女が、伏せられていた視線を上げた時、とどめのごとく電流が解き放たれ、彼女を見るものは、彼女の僕となる事を余儀なくされるであろう。だが、幸か不幸か、その部屋には、ひとりを除いて誰もいなかったので、電流に撃たれ僕となる者も無かったから、彼女が顔を上げた時も、世界は穏やかなままだった。

「坊や、ラウロ坊や、そろそろ行きますよ。」

 ゆったりとした動作で立ち上がりながら、女性は呼びかけた。子がいたのだ。部屋にひとりいたのは、彼女の子だった。子は、テケテケテケと、広くも無い室内を駆け回っていた。この子には、男の子ではあったが、女性の持つ光も闇も、何らの効果も及ぼさないようだ。女性と顔を向け合っても、その視線に射抜かれても、何も感じる様子は無く、平然と室内を、テケテケと駆け回り続けていた。まだ、ろくに、真っすぐに走れもしないくせに。

「坊や、お願い、マンマの手を握って。もう行かなければ。」

 しようがないなぁ、といった顔つきで、子は精いっぱい伸ばした手で、母の手を掴んだ。

 母である女性は、立ち姿もしなやかで、はかなげで、官能的であった。頭に着けたショールと、ゆったりとした袖口の、細身で淡い色のワンピースは修道女を思わせる。

手をつないだ母子は、陽光が織りなすカーテンの隙間を縫うように、ゆっくりと歩いて行く。静かな光景だ。その意味深な魅力を放つ女性に、誰かが虜にされるという事件は生じず、母子が立ち去った後には、平和な空間が残された。その室内に限っては。

だがその時、その部屋の外の、ターミナル施設の別の一角から、彼女の姿を視界に捕え、彼女の魅力に心を捕らわれ、虜にされた者がいたのだった。何枚もの、金属性の分厚い隔壁に遮られていてなお、その者は何故か、彼女の姿を見る事が出来た。恐るべき、とてつもない能力と言って良いが、その能力のおかげで、その者は、彼女の虜にさせられてしまったのだ。

そのターミナル施設は、虚数の質量を持つ素粒子-タキオンを照射し、光速を超えた移動を可能たらしめるタキオントンネルを発生せしめる一方で、そのタキオントンネル内を駆け抜けて、何百光年という遥か彼方へと人々を運ぶ宇宙船を、停留させるという機能も担っていた。

母子がいたのは、ターミナル施設内の待合室だった。巨大な円筒形のターミナル施設の外周部にあり、宇宙に浮かぶその建造物自体の回転運動によって生じる遠心力を疑似重力とする事で、地に足をつけて、船の出発の時を待つ事が出来たのだ。

待合室に差し込んでいた陽光は、恒星セッソリの放つ光で、その恒星を中心に据えているセッソリ星系は、リムラーノ帝国の首都であった。回転軸の片方の端から入った陽光は、施設内の鏡で反射させられ、施設内の各部屋に届けられている。

母子は、帝国首都セッソリ星系から、タキオントンネルを使った超光速の宇宙船で、いずこへかと旅立とうとしていたのだ。11個の星団を有するリムラーノ帝国の、5個の星団が、タキオントンネルで結ばれていた。残りの星団とは、スペースコームジャンプで行き来できる。スペースコームは宇宙に細長く伸びる筋状の空間の歪みで、その中ではワープによって、20光年位までの距離ならば一足飛びに移動できる。銀河系にはスペースコームが数千本もある。天然の産物であるスペースコームで繋がっている星団の間は、スペースコームジャンプで簡単に往来できるが、そうでない星団とは、人の創造物であるタキオントンネルを使っての移動となる。

帝国領の6つの星団を直鎖上に連結しているスペースコームの中ほどに、サルゲーネ星団があり、セッソリ星系はそこに属する。星団とは星系が集まったもので、星系は、恒星や惑星等が共通の重心の周りをまわっているものの事だ。サルゲーネ星団はスペースコームとタキオントンネルで、リムラーノ帝国の全ての星団と直結されているので、帝国の首都を置くのにふさわしい星団だった。

待合室を出た母子はエレベーターに乗り、ターミナルの回転軸に向かって移動して行く。遠心力による疑似重力に逆らう方向への移動だから、母子には上昇と感じられている。そして上昇するにつれて、遠心力は弱くなって行くので、母子はその体が軽くなって行くのを感じた。子は、それがことのほか面白いらしく、きゃっきゃと言ってはしゃいでいる。

エレベーターが停まると、ほぼ無重力の状態で、エレベーターの運動の惰性を温存する母子の体は、軸方向へ放り投げられるような格好となり、ターミナル施設の中空を飛翔した。そんな彼女達の目の前には、取っ手のような物が幾つも浮かんでいた。

何かの取っ手というのではなく、取っ手だけが浮かんでいる状態なのだ。母はそれらの一つを握った。片手で握るのがちょうど良いような、太さと大きさの取っ手なのだった。

その取っ手は、施設との間に生じている電磁的作用で任意の方向に誘導され、それを握る母も、母と手を繋いでいる子も、その方向へと移動出来る事になった。母は懐に、宇宙船の乗船チケットを持っており、取っ手はチケットと電気信号を交換し、彼女達を送り届けるべき場所を認識し、母子を運搬するのだ。母子だけでは無く、ターミナルの中空には多くの人々が様々な方向へ飛翔しており、皆、各自の乗船チケットに登録された宇宙船の区画に向かって、取っ手によって導かれて行っているのだ。

取っ手は、宇宙船の中にまで母子を運び込んでくれたので、母子は宇宙船の中の、彼女達に充てがわれた部屋に、苦も無くたどり着くことが出来た。

その部屋は、プライベートな空間だった。3×5メートル程の、広くも無い部屋だが、防音性の隔壁に囲まれた個室だ。他人の視線から逃れ、親子水入らずで過ごせる時間が約束されたはずだった。女性はそれを確信し、安心し、油断し切っていた。だが、全ての者の視線から逃れたわけでは無かった。

彼女を見ている目があった。ターミナル施設の待合室から、彼女を見続けている目だ。その目の持ち主は、母子から十数メートルもの距離と、何枚もの金属製の隔壁に隔てられていたにもかかわらず、母子を視界に捕え続けていたのだ。

彼も母子と同様に、ターミナルのエレベーターを使って軸の方に“上昇”して、取っ手に導かれて宇宙船に乗り込んだのだが、終始その母子とは、十数メートル以上の距離と、数枚もの隔壁に隔てられ続けていたのだ。それなのに彼は、その間もずっと、そして、母子が個室に入り込んだ後も、彼女達を見る事が出来ているのだ。不気味な能力だ。

宇宙船がターミナルを出航すると、船自体の加速運動が母子に、適度な疑似重力をもたらした。素粒子タキオンは慣性にも影響を与え得るので、宇宙船の加速度と船内に掛かる疑似重力のバランスも人為的に調整され、母子を含めた乗船者には、快適に過ごせる強さの疑似重力が提供されている。光速の数百倍というスピードに、十数日間で達しようとする宇宙船の加速度が、人を含めた船内の物体にモロにかかれば、全てはぺしゃんこに潰れてしまうだろう。

しかし、疑似重力の方向は人為的には調整出来ず、宇宙船の加速方向が“上”になるので、宇宙船にブレーキをかけて目的地で止める為には、途中で上下を入れ替える必要が生じる。加速時と減速時では、上下が反転するという事だ。船内は旅の中間地点で一旦無重力になり、そこで全ての客室はくるりと回転し、そこまでは進行方向が“上”になっているのだが、そこからは進行方向は“下”になるだろう。

「坊や、お着替えをしましょうね。」

「ラウロ坊や、おやつを食べるなら手を拭きましょうね。」

「坊や、寝るのならベッドにお上がり。床で寝るのではありませんよ。」

 船旅の間中、女性は、まめまめしく子の世話をしていた。その姿はまさに、母のそれだ。だがその所作には、世の男が見れば、戦慄を覚えずにはおれぬほどの妖艶な魅力があった。底深い母性に裏打ちされた愛情に満ちた色香が、その一挙手一投足から迸っていた。そしてそれは、訓練によって体得された、計算されたものだった。見る者を、特に男心を魅惑する事を命題とした、幼年からの訓練の積み重ねによって磨き上げられたものであった。男の心を引き付けるための身のこなしを、少女のころより叩き込まれ、骨に髄に染みこむほどに、完璧に身に付けているのだ。

 我が子と二人きりの空間で、誰の視線も感じていない状況でも、彼女は無意識に、そのような振る舞いが出来るのだ。そしてそのような訓練を受けて来ている女には、闇の存在があるに決まっていた。きれいな花には棘があると言うが、妖艶な女には闇があるのだ。陽光のごとき温かな色香で男を引き付け、闇へと誘う女。今、一人の母として、我が子の世話を焼くその女性には、そんな裏の顔が秘められているのだ。

 彼女を見つめ続ける”視線の主”は、そんな裏の顔には気付いてはいないようだが、その不気味な能力を持つが故に、彼女の虜になり果て、彼女の放つ色香から、片時も視線を外せなくなってしまっていたのだ。十数メートルの彼方から、何枚もの隔壁の向こうから、その者は、じーっと彼女を凝視し続け、彼女の色香に、悶絶しているのだった。

 宇宙船はタキオントンネルの中を、光速の呪縛から解放されたレーザービームに押されて、光の数百倍にも達する速度で駆け抜け、数十日で百光年以上の輸送を成し遂げた。通常の空間では光の速度を超えられないレーザービームも、タキオントンネルの中では光速を超え、それに押される宇宙船も、超光速の旅を可能とする。

 中間地点までは、出発地点にあるターミナルからのビームに押されて加速し、中間地点からは当着地点にあるターミナルからのビームに押されて減速し、母子の乗った宇宙船は、目的地で静止した。

数十日に渡る船旅の大半は、強制睡眠装置内で寝て過ごしたとはいえ、その旅の間、知らずに視線を浴び続けていた女性は、しかし何も気付かぬままに、子の手を引いて下船した。下船時はまた、例の取っ手に捕まって移動し、施設の端にドッキングしているシャトルまで運ばれて来た。

シャトルに乗って、タキオントンネルのターミナル施設から、ビームセイリング船の停留施設にたどり着き、母子は、施設のエレベーターで外周方向に移動した。タキオントンネル内を走る宇宙船もビームに押されて航行しているので、ビームセイリング船ではあるのだが、この時代では一般的に、ビームセイリング船と言えば、通常空間でビームに押され、光速以下のスピードで航行する宇宙船の事を言った。どちらも同じくビームの圧力をセイル()に受けて宇宙を行く船であり、タキオントンネル内を超光速で走るか、通常空間を光速以下で走るかだけが、両者の違いだ。

 タキオントンネルのターミナル施設も、ビームセイリング船の停留施設も共に、直径数十㎞という巨大な、金属性の円筒形をした宇宙に浮かぶ建造物で、回転による遠心力で、その外周部に疑似重力を生じさせている。施設の出入りには、回転の中心軸部分の両端が使用される。外周部分は高速で回転している訳だから、出入りは難しいのだ。出入りは軸部分の方が容易なのだ。片方の端からはタキオントンネル航法やビームセイリング航法の宇宙船が、もう一方の端からは近距離移動用のシャトルが出入りする。

 この宙域には、タキオントンネルのターミナル施設が4機と、ビームセイリング船の停留施設が6機浮かんでおり、シャトルはその間を行き来している。タキオントンネルのターミナル施設は、星団の間を繋ぐものと、今、母子のいるトカーネ星団の内部の交通に供されるものがある。最大距離が百光年近くに及ぶ巨大なトカーネ星団においては、星団内部の移動にもタキオントンネルが必要だった。

 母子は、シャトルに乗ってビームセイリング船の停留施設の軸の片端から入り、いずれビームセイリング船に乗ってもう一方の端から出航して行くのだが、出航を待つ間は、疑似重力のある施設の外周部分で過ごそうと、エレベーターに乗ったのだ。軸から外周への移動だが、母子には降下と感じられている。

 外周部に着いた母子は、旅客達でごった返している施設の通路を、楽し気に歩いた。時折子が母の手にぶら下がり、振り子のように前方に飛び出す、といった遊びに興じたり、母の手を振りほどいた子が、テケテケと前方に駆けて行き、ポテンと転んで泣き声を轟かせたり、騒々しいながらも幸せに溢れた母子の姿があった。その時、例の視線は・・。

 “視線の主”は、女性を見失っていた。もうその者は、彼女を見る事が出来なくなっていた。何枚もの隔壁をものともせずに、彼女を見つめ続けるという能力は、母子がタキオントンネルのターミナル施設を出た瞬間に、使えなくなってしまったようだ。そして“視線の主”は、泣き出さんばかりに周章狼狽の表情を露わにして、母子が乗ったシャトルの次の便に乗り込み、ビームセイリング船の停留施設にやって来た。次のビームセイリング船の出航までに、まだまだ時間がある事を電光掲示板で確認した“視線の主”は、母子が外周部に居るはずと当りをつけて、エレベーターに駆けこんだのだった。

 そして外周部の通路を歩いて、歩いて、歩いて、ようやくに、お目当ての母子を人並みの中に見つけ出した。

 停留施設の外周部は、宿場町といった趣きを醸し出していた。宿泊施設や飲食店や土産物屋、そのほか旅に必要と思しき雑貨や薬や情報紙を商う店が、いくつも、いくつも、軒を連ね、賑わいを見せている。客の興味を引き付けようとした、色とりどりの外壁や看板や、無数の売り子たちの掛け声や、オープンなカフェなどから漂うスパイシーだったり甘かったりの香、そういったもの共が旅情を掻き立てる華やかな街並みを演出していた。

 ここトカーネ星団の様々な場所へ向けて、ビームセイリング船やタキオントンネル船を送り出している、このトカーネセントラルと呼ばれる宙域には、逆に言えば、トカーネ星団のあちらこちらから、様々な食材や物産が集まって来ており、ここで楽しむ事が出来る料理や娯楽やファッションは、多種多様で選り取り見取りなのだ。

母子は、沢山ある飲食店を次々に物色し、今日のランチに想いを巡らせている。そんな母子を、“視線の主”が見つけたのだが、今度は肉眼による直視だ。例の不気味な能力は、もう使えないのだ。

 キッ、と、女はその“視線の主”を睨み返した。あまりに鋭い反応だった。特殊な能力を使った、離れた場所からの視線にはさすがに気付かなかった女だが、通常の視覚能力による視線には、即座に反応できたのだ。振り返る際の身体のキレもすさまじく、彼女がただ者では無い事がうかがえる。幼年からの訓練の積み重ねに裏打ちされた反応だ。彼女に睨み返されようとしている者も、例の特殊能力からも分かる通り、当然ただ者では無い。

 ただ者ではない女が、ただ者では無い“視線の主”を鋭い眼光で睨み付けた。そして女がそこに見出したのは、ヨボヨボの老人だった。

背格好は、小柄で痩せ細っていて、ちんちくりんという言葉がぴったりだ。顔は髭もじゃで、糸のように細い目で、目じりはシワシワだ。クタクタとかボロボロとかいう言葉でしか形容出来ない姿をした、みすぼらしい老人だった。

 怪しげな気配を感じて、とっさに鋭く振り返った女だったが、こんな老人に危険性など感じられるはずも無く、一瞬にその表情を緩め、警戒を解いてしまった。例の特殊能力の存在を知れば、そんなわけにもいかなかっただろうが、老人の外見からその能力を推測するのは不可能だ。

「ご老人、どうなされました?わたくしをじっと見ていらしたようですが?」

と言った女の表情は、温かい、包容力のある笑顔だ。

「・・ひょ、ほほ・・、いや、なに、綺麗なおなごだと思って、見惚れていただけですわい。」

「まぁ、愉快なご老人ですこと。うふふ・・」

 会話はそれで終わった。女は踵を返し、子と共に宿場町の見聞と飲食店の物色を再開した。依然として、背中に視線を感じてはいたが、それが老人のものだと分かった今となっては、気にもならなかった。

「ラウロ坊、ここの生パスタは美味しそうではありませんか?今日のランチはパスタにしましょうか。」

 そう話しかける女を見つめ続ける老人が、ため息交じりにつぶやいた。

「おおお・・、何と美しい尻じゃ。」

 この老人、本当にただの助平心だけで、百光年以上を旅して来たようだ。何枚もの壁を超えて物を見る事が出来るというその特殊能力に関しては、ただ者では無い老人というところなのだが、その行動の動機や目的という点で見ると、ただの助平な老人なのだった。一言で表現すれば、エロジジイだ。

 しかし、ただのエロジジイが、たった一人で、幾つもの輸送機関を乗り継いで、女性の追跡を成し遂げられるものだろうか?乗船券は持っているのか?女性を見つけてから入手したのか?それは不可能だ。乗船券なしに乗船出来たのか?なぜ?乗船券の無いものは、例の取っ手が誘導してくれないはずだ。特別な“立場”の人間を除いて。特別な“立場”?・・そう、老人は、特別な“立場”の人間だった。

 だが、コツコツと杖を突きながら歩く、そのおぼつかない足取りから、彼が特別な“立場”の人間であることを想像する者は一人も無く、老人は、旅客にも、いくつもある店の売り子達にも、誰にも関心を持たれる事も無く、女の尻を追いかけ続けた。


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