0-93新しい街は城跡とか
商業者ギルドのギルドマスターはリウの森での調査と龍の対応について話を聞いていた、それは予想以上の報告ですぐには信じられず、ギルド職員を現場に派遣した
森の奥でギルド職員が目撃したのは、龍のいたと思われる場所が今は一面の花畑になっているという事だった、季節に関係なく咲く花に一瞬夢で見ている感覚にとらわれていた
それはギルド職員の予想外の事だった、腐敗の呪いを受けた龍がいたのなら、その周辺は腐敗の呪いの影響で土も朽ちているはずなのだ
そして、龍の姿はいなくなっていた、龍の死骸も残骸も、そして、いたという証拠さえきれいさっぱり消えていた
しかし、1つだけわかった事があった、龍の脅威が消えた事だけは理解できた
これにより両ギルドは、龍による天災が無くなった事を・・・
街の住民たちは、今回の動く死骸騒動は終焉を迎える事になる
住民たちにも冒険者にも、龍の事は秘密裏にされた
知っていたのは一部のギルド職員と冒険者に限られた・・・
リウ達は商業者ギルドの報告の後に、メンバー全員で露店を回ったり、久しぶりにゆっくりした時間を過ごした
街の中もこの間までの緊張した感じではなく、少しだけ出歩く人が減った気がしたが、いつもの日常に戻った気がした
リウ達と一緒に森から同行してきた『白銀龍』は人目に着くのは危険という事で、一軒家で留守番をしていた
姿を小型犬サイズにし、今は庭先の木陰で昼寝を満喫していた
森の異変終局から7日後、商業者ギルドから今回の報酬を受け取る事になった、報酬額はランクAのクエスト報酬を両ギルドから受け取った、それは11人で2~3年は仕事をしないで暮らせるほどの報酬額だった
これから長距離の旅をするうえでは貴重な報酬だった
リウは報酬の一部を使って、馬車に追加で保存食を保管する荷台を作る事になる
『アイギス』の馬車は、見た目が木箱を3つ連結した感じになったが、見た目以上に内部は広く、最後部の木箱は倉庫としての機能重視で、一軒家の保存食の殆どを保管可能だった
『アイギス』は着々と旅の準備を進めていた
また、アライズ・アリサ・アンナ・シルキー・ミルキーの魔法の修練により、アライズ・アリサ・アンナは無属性魔法の『ボルト』を修得し、初級無属性魔法をすべて扱える事になった
シルキーとミルキーは「身体強化」と「速度強化」、魔法障壁を修得した
それとポーション作成を連日のように行っていたので、スキル調合Lv1になっていた
12才と10才の見習い冒険者としては、信じられないほど優秀だったが、その事を知っているのはクラシスとリズだけだった、リウとノノとココとジャンヌはシルキーとミルキーの成長を喜び、そろそろ見習い冒険者から初心者冒険者に格上げしてもいいかと思っていた
リウとノノとココとジャンヌは、龍の騒動の後から魔力が大幅に上昇し、MPも数倍になっていた、魔法の使用回数が増えたが、新たに魔法を覚えずに、魔力操作を重点的に修練していた
魔法の精度と発動の短縮と威力の向上など、魔法を使うものとしては地味な成長だが、リウ達はそれでいいと思い、日々の修練をこなしていた
クラシスとリズは、冒険者ギルドの資料室で、調べ物をしていた
周辺の街の事、周辺の生き物や薬草類など、また、冒険者の資料などを調べていた
大陸の旅行記や日記、そういう僅かな資料を調べ、旅で必要な知識を集めていた
そこでわかった事は、街道を進めば今いる大陸を一周するという事と、大陸を渡るには大型の船を使うという事、それ以外に大陸間の移動に魔法による移動方法があるというものだった
約1ヵ月間ギルドの資料室で調べて物をしていたので、クラシスとリズはノート2冊分の資料をまとめる事が出来た
この資料は、旅では貴重な資料となる事になる
3連荷馬車の完成とともに、馬2頭の食事に薬草を混ぜ、馬のドーピングをした
その影響か馬の体躯が1.5倍になり、明らかに筋力の向上と疲れにくい身体を手に入れた
最近では『白銀龍』との会話を楽しむようになり、知力も上がってきているのかもしれない
龍と馬という事で、最初こそ『白銀龍』に怯えていたが、最近ではリウ達と同じく『白銀龍』に甘えるしぐさを見せていた
『白銀龍』はリウとしか会話が出来なかったが、ノノ達は気にせずに『白銀龍』に話しかけていた
森の異変終局から2ヶ月後、リウ達は一軒家を離れ、旅へ出る事になる
一軒家は借りる前の状態へ戻し、地下室も土壁も元に戻した
リウはシルキーとミルキーを連れ、旅に出る前に商業者ギルドのギルドマスターに旅に出る事を告げ、街を離れる事になる
「さて、今日街を離れるけど、次の目的地は・・・まぁ、いいや。街道を進めば大陸を一周するのは教えてもらったし、食料は1年分あるし、今回の騒動が無ければ2年くらいで大陸の端まで行けるでしょ」
リウの予定がある様な無い様な話を聞き、ノノは
「それでどこへ向かうの?」
「そうさなぁ~、海かな?」
「海?」
「そっか、ここは大陸の中央部だから海は知らないか・・・。でっかい水たまりだよ、塩味のね♪」
「へ~」
「海まで一直線か~」
ノノ達は海を知らないみたいだった、クラシスとリズは海の存在を知ってはいたが見た事が無いみたいだな。アライズ達も興味津々みたいだ、シルキーとミルキーは話を聞きながら『白銀龍』を撫でていた
「まぁ、いつも通り荷馬車で前へ進めば、そのうち見られるから、今は周囲を警戒しながら、ゆっくりと進みましょ」
リウは御者の席で荷馬車を操縦しながら、後ろに座っている
リウの隣にはノノとココが座っていた、荷馬車ではクラシスとリズが書き記した、「旅資料」をアライズ達が見ていた、それを見ながら食べれそうな生き物などを調べ、調理方法を考えていた
クラシスとリズとジャンヌは、魔法の修練を荷馬車の屋根で行っていた
日差し避けの屋根を展開し、走行に支障が無いようにした
3人は具現化魔法の盾を修得したとして、次に具現化魔法の紐の修練をしていた
龍の騒動で、具現化魔法の重要性を考え、属性魔法よりも具現化魔法を覚えた方が有効として、クラシスとリズを中心にして修練する事になった
紐は縛ることを前提に、追加での付加は後々考える事にした
クラシスとリズは紐の具現化は成功していたが、耐久的には未完成だったので、日々修練をしていた、この具現化魔法の紐の修練は、ノノ・ココ・ジャンヌ・クラシス・リズが交代で修練していた
アライズ・アリサ・アンナ・シルキー・ミルキーは具現化魔法の盾『イージス』の修練をしていた、クラシスとリズが交代で教師役をし、こちらも日々修練をし、もしもの時に備えていた
『白銀龍』はノノ達の修練を見てはリウの何をしてるのかを聞き、『白銀龍』も一緒になって魔法の修練をしていた、龍が具現化魔法を修得できるかは・・・誰も知らなかった
リウは御者の席で毎日で毎日操縦していた、最近では1人で操縦する事を許可してもらい、助手を2人サポート役として座っていた
助手も日々交代で行っており、メンバーが交代で座っていた
リウはMAPを展開し、街道を進めていたが、街道沿いには赤マーカーの反応は無く、スムーズに荷馬車を進めていた
荷馬車の中で魔法の修練をしていたので、荷馬車が揺れないように慎重に走らせていた
食事のたびに荷馬車を街道側に停車し、休憩を取りながら次の街を目指していた
馬車の速度が遅いのか、街道を走っていると追い越される事が多々あったが、リウは気にせず馬車を走らせていた
見た目人が乗っている風には見えないので、特殊な大型荷台が走っているように見えていたはずだった、外からは馬車の中のノノ達は見えないので、御者と助手の3人で荷馬車を動かしているように見えているはずだ
食事のたびに土壁で荷馬車を囲んでいたので、他の馬車の御者からは未確認の荷馬車に見えていたのかもしれない
「この辺は山犬や野犬とかはいないのかな?」
「周囲に反応は無いね~」
「街道の傍だからいないのかな?」
「まぁ、安全ならいいじゃん~」
リウは安全なら多少の事は気にしないでいたが、ノノとココは周囲に何も反応が無い事を不審に思い、少しだけ不安になっているみたいだった
リウは周囲に生物の反応が無い事に少しだけ理由を知っていた、それは『白銀龍』がこの荷馬車にいる為ではないかと思っていた
生物の頂点に立つ龍が、この荷馬車にいるのが原因だと思った
「多分だけど、『白銀龍』がこの荷馬車に乗ってるからじゃないかな?」
リウはそういうと荷馬車にいる『白銀龍』を呼び、リウの膝の上に座らせる
『白銀龍』は黙ってリウの膝の上で昼寝を始めた、ノノとココは寝ている『白銀龍』を撫でて
「そっか、荷馬車の安全はこの子のおかげなのか~」
「すごいんだね~」
眠っている『白銀龍』は嬉しそうに身体を動かしている
確かにこの荷馬車の『アイギス』の安全は『白銀龍』のおかげかもな
街を出て、一度も襲撃を受けてないし、ある意味最強の存在がいる荷馬車を襲うモノは皆無だろう・・・
ちなみに『白銀龍』は小型犬サイズになってから、食事はリウ達と同じものを食べていた、同じものを食べ、一緒にお風呂に入り、一緒に寝る
そういう生活をしていた、『白銀龍』は全ては初めての事で、全てが感動の毎日だった
次の街まであと2日という所で、リウ達は荷馬車を停め、晩ご飯の準備をしていた、次の街は今までの街と違い、街を囲む壁は城壁という感じの壁が街の周囲を囲んでいた、城壁は昔の城跡の城壁を修理し、現在まで使用しているとも事だった
城跡には街の庁舎が建ち、街の運営を担っていた
この街は、庁舎の代表と冒険者ギルドと商業者ギルドの3つの組織で成り立っていた、その為に街への侵入も門でのギルドカードの提示や、犯罪歴の有無など厳重な検問があった
それから2日後の朝、『アイギス』の荷馬車も門で並んでいる列に並び、街への進入の準備待ちをしていた、御者の席にリウが助手の席にクラシスとリズが座り、『白銀龍』は荷馬車の隅で動かないように待機してもらい見つからないようにした、見つかっても大丈夫だと思うが、正体を知られると面倒そうなので、隠れてもらった
『アイギス』の荷馬車は、昼過ぎに街へ入る事が出来たが、街の中は人が大勢いて、人酔いしそうな感じがした、リウ達は荷馬車も泊めれる宿屋を探し、街の中を荷馬車を走らせていた
さて、この街の露店はどんな感じなんだろう・・・
リウは新しい街の露店の料理を楽しみにしていた
それは荷馬車に乗っているメンバーも同じことを考えていた
荷馬車の改良と馬のドーピング
新しい街への到着




