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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
92/354

0-92龍のこれからとか

「君は龍なんだろ?」


リウのその言葉は、腐敗し動けない龍の心を動かした

自分は龍である事、何故こんな腐敗ごときに負けているのかという事

その時、腐敗という呪いを、確かに龍は乗り越えていた

腐敗し蟲に侵された身体を動かし、朽ちた足で大地に悠然と佇む

龍は目を開け、自身の名をリウに告げる


「我は『白銀龍』神龍の連なる龍なり」


ノノ達は動けないはずの龍が、立ち上がりリウの目の前で立ち上がったのを見ていた、その時ノノ達は自身に『イージス』を展開し、リウの周りにも障壁を展開する

それはノノ・ココ・ジャンヌ・クラシス・リズの5人が一斉に合図も無しに展開していた

ノノ達には、『白銀龍』の叫びは聞こえてはいなかった

ノノ達には、『白銀龍』の声は『グルルルォォォ!!』として聞こえていた

『白銀龍』の声は、なぜかリウにしか理解されておらず、リウは『白銀龍』の声を聞き、後ろのノノ達に声をかける


「みんなで龍を囲んで『イージス』を展開してもらえるかな?これから龍の腐敗の呪いに抗ってみるからさ・・・。僕と龍にみんなの『イージス』を集めて欲しいんだ、それと危ないから「身体強化」と「速度強化」も忘れないでね、それじゃ、みんな位置について、合図で『イージス』をお願いね・・・。それじゃ、5・4・3・2・1・0『イージス』展開!!」


ノノ達はリウと龍を囲むよう位置に待機し、合図で『イージス』を展開する、自身に「身体強化」と「速度強化」をし、少しでもリウを助ける為に、リウの力になる為に、ノノ達は『イージス』に邪悪と天才を祓うように、そして、腐敗の呪いを祓うように、『イージス』に祈りを込めて展開していた


リウは龍を中心に展開した『イージス』の輝きを感じ、リウも『イージス』を展開する、それはいつもの『イージス』では無かった、左右の手に・・・両手に『イージス』を展開している、リウは腐敗した龍の身体に両手をかざし、祈る様に龍の身体を触っていた


龍は人間の発している光の輝きに目を奪われ、そして、目の前の人間の作りだした眩い光を感じていて、気がつくと人間の触っている部分から腐敗の呪いが消えていくのを感じ、龍は人間の奇跡の光を見つめるのだった


ノノ達も『イージス』の光を浴びて、龍に変化があるのを見ていた、腐敗した個所が綺麗に消え去り、自己際していく姿を、ノノ達は光の先でそんな信じられない姿を見てとれた

残り少ないMPを駆使しながら、目の前の奇跡のような光を消さないように、意識を向けていた

それは自身の限界を超えた行為であったが、誰ひとり諦めることなく『イージス』を展開していた


龍は自分の体から腐敗の呪いが少しずつ消えていくのを感じていた、それは人間の祈りなのか奇跡なのかはわからなかった、ただ、わかった事はこの光に不快な感じはしなかった事、そして、目の前の人間は信用に値するという事

龍は少しずつ、自分の身体を動かせるようになっていた、腐敗した身体が自己再生し、朽ちたはずの足が再生し自分の足でしっかり立っていた事を、腐敗し蟲に侵された腕は奇跡の光を浴び蟲を消し去っていた、腐敗し崩れた身体も呪いが消え去り、呪いを受ける前の『白銀龍』の身体に戻っていた


リウは目の前の龍が、腐敗の呪いを討ち破り、綺麗な白銀な龍の姿に変わっていた、さっき名乗りを上げた『白銀龍』の姿になっていた

リウは綺麗になった『白銀龍』ににこりと微笑み、龍から手を離した


「それが本当の君の姿なんだね、『白銀龍』どうやら腐敗の呪いに抗えたようだね、よかった・・・なんとか腐敗龍になる前で・・・」


リウはそういうと疲れたようにその場に座り込む

それを見て、他のメンバーもリウの周りに集まってきた


「みんなもお疲れ様、なんとか『白銀龍』も元の姿に戻ったみたいだ・・・」


『白銀龍』は目の前の人間を見ていた、どういうわけかその中の1人の人間は龍の言葉を理解していた、また、『白銀龍』も目の前の人間の言葉を理解していた

どういうやって腐敗の呪いを祓ったのか龍は理解していなかった、ただこの奇跡のような事は、龍は聞いた事も体験した事も無かった・・・

その事を龍は聞きたかったが、目の前の人間は疲弊し、MP枯渇で意識がもうろうとしていた


「人間よ、疲れたなら今しばらく休みが良い・・・」


龍の突然の申し出に、リウは正直眠くてダメな状態だったのでノノ達に


「ごめん、みんな、少し休もう。今は『白銀龍』が側にいるから、ここは安全だよ、少しだけ寝てMP回復させよう・・・」


リウは疲れて後ろに倒れながら寝てしまった、ノノ達もそれを見て崩れる様に、リウに覆いかぶる様に寝てしまった


龍はこの人間が自分の事を信用している事を嬉しく思い、また、他の人間も龍を信じている事を知り、起きるまでこの人間の傍を離れないように守ってやろうと思った・・・


龍はさっきの光の事を考えていた、魔法にしては異質な性能でありながら、腐敗の呪いを祓う魔法、人間の扱う限度を超えた魔法を龍は知らなかった

そして、奇跡の様は魔法を使う人間に龍は興味を持ち、疲れて眠っている人間を観察していた

『白銀龍』は生まれて数千年、過去に人間にあった事はあったが、ここまで予想外な人間には合う事も、聞いた事も無かったからだ


リウ達は、疲れて果て、2日ほど起きる事は無かった・・・

MP枯渇と龍との対峙により、体力以上に精神力が消耗していた為だった


リウが最初に起き、みんなが起きる前に『白銀龍』といろいろな話をしていた

何でこの場所で倒れていたのか、なぜ腐敗の呪いを身体に受けていたのか、何より龍を初めて見たのでリウは『白銀龍』を触りまくっていた

リウは剣と魔法の世界で、まさか龍までいる世界という事で、1人だけテンションをあげていた

それは目を覚ましたノノ達が驚くほどの事だった、まさかリウが龍を撫でまわしていたとは思いもよらなかった・・・


「あのリウは何してるの?」


状況についていけず、ノノは素朴な意見を聞いてみた

リウは「?」という風にノノを見ていたが


「えーと、『白銀龍』を愛でている?」


「いあ、そうじゃなくてね・・・。リウはなんでそんなに龍に触れるの?」


「えーと、触っちゃダメなの?」


リウは『白銀龍』とノノを交互に見ながら、そんな事を聞いてきた

ココとジャンヌもノノと同じ意見だったで、ハラハラしながらリウを見ていた

クラシスとリズだけは、今までのリウの動向を知っていたので、あまり気にしてはいなかった、むしろこれからどうするかを2人は考えていた、今の状況は森の調査と龍の対応というクエストは完了している・・はず?



「それでリウ、さっきから『白銀龍』って呼んでるけど?」


クラシスのリウが呼んでいる『白銀龍』について聞いてきた

それは龍の名前を知っているという事、もしくは、龍の言葉を理解している事、それはギルドでも聞いた事のない話だった・・・


「最初に名乗ってたじゃない?「我は『白銀龍』神龍の連なる龍なり」ってさ」


そういうと龍は頷くような動作をし、リウ達の話を聞いていた

しかし、それはリウには聞こえたが他のメンバーには、龍が吠えた様にしか聞こえなかった


「リウ最初に言っておくわ、それは聞いたけど、リウ以外は龍が吠えた様にしか聞こえなかったわ、だから私達はとっさに『イージス』を展開し、リウを守ろうとしたのよ」


「そうだったんだ・・・、けど、みんなの協力で『白銀龍』が元に戻ったんだし、結果オーライということで~♪」


「それと今回のクエスト内容を覚えてる?森の調査と龍の対応・・・。龍については腐敗龍にならなかった事をギルドに知らせるにして、これから龍はどうするんだ?」


クラシスの質問にリウは直接『白銀龍』に聞いてみた


「『白銀龍』君はこれからどうする?この森で暮らすのか?故郷へ帰るのか?」


リウの質問に少しだけ考えてから答え始める


「この森は人間の街が近すぎて安心して暮らすのは無理だろう・・・。故郷へ帰るにしても、故郷がどこかわからない・・・」


『白銀龍』は悲しそうにそう呟く、リウは項垂れてしまった『白銀龍』を撫で励ましながら、1つ聞いてみた


「それじゃ、前はどんな所に住んでいたの?」


「多分、この大陸じゃないと思う。この辺の森の木々は見た事無いし、人間もこんなに多くなかった・・・」


「他の大陸・・・、ひょっとして未開の地か?」


クラシスとリズは、龍の叫びとリウの独り言を聞きながら、話している内容を分析し、帰る場所が無い事を知る


「ひょっとして龍は帰る事が出来ないでいる・・・?」


「うん、この辺では知らないそうだよ、もしかしたら、この大陸以外から来たかもっていってる」


別の大陸・・・、それはギルド職員でもあったクラシスとリズは、存在は知っていたが実際に他の大陸へ行った冒険者は知らず、渡ったとしても帰ってこれた冒険者はいないという事だった


「別の大陸か・・・噂程度しか知らないけど、そこから来たのか・・・。それじゃ、最後に1つ龍は魔力操作で大きさを変えれるって聞いたことあるけど、それは本当なの?」


「そうなの?ちょっとまって『白銀龍』は身体の大きさを変化させれる?」


リウは『白銀龍』が大きくなったり、小さくなったりするという事を知り、テンションがまた上がってしまった


「それは可能だが・・・、どうしてだ?」


「少しだけ小さくなれる?」


そういうと『白銀龍』は魔力操作をし、光り輝きながら身体を小さくしていく

それは大型バスの大きさから、小型バスの大きさになり、最後は小型犬の大きさまでになってしまった


「この大きさが限界だぞ」


それを見たリウはさっき以上に『白銀龍』を撫でまわしていた

後ろで見ていたノノとココとジャンヌも『白銀龍』を撫でたくてそわそわしていた、リウは手招きしてノノ達にも『白銀龍』を触らせ撫でる様に促してみた

そんなリウの行動に『白銀龍』は敏感に察して、ノノ達が撫でるのを黙っていた、それはノノ達の緊張と自分に興味を持ってくれた嬉しい感情で、『白銀龍』は耐えていたのかもしれない


「よい、その大きさなら龍を街に連れて行っても大丈夫でしょ。こんな事を言うのも変だけど、龍がこの場にいるのは問題なのよ。それにリウの傍にいれば今回の呪いを受けても祓う事が可能だし、なにより龍の故郷にも興味があるしね」


「これで龍の対応はクリアね~」


クラシスとリズは両ギルドからのクエストの完遂を喜んでいた

その事を知らない『白銀龍』は2人がなんでそんなに喜んでいるのかをリウに聞いていた


「それはね、『白銀龍』と一緒に森を出て、一緒に故郷へ行かないかっていってるの。まずは街へ戻って、今回の調査の報告が先だけどね・・・。『白銀龍』はどうする?僕らと一緒に森を出るかい?」


『白銀龍』は目の前のリウという人間に興味を持っていた、また、リウと同じ魔法を使う他の人間にも、後は故郷に一緒に向かってくれると聞いた時は素直に嬉しかった、1人で帰る事は不可能だし、この人間達となら帰れる気がしたから、『白銀龍』はリウに一緒にいたい事を告げた、リウは嬉しそうに『白銀龍』を抱きしめ


「一緒に行ってもいいってさ、一緒に『白銀龍』の故郷へ行こう」


リウのその一言で『アイギス』の世界を回る旅が一気に加速する

龍を連れての旅というのは、未だかつて体験した事のない事だが・・・

ノノ達は小型犬サイズになった、龍を撫でて和み

クラシス達はクエストの完了に喜び、旅の始まりを感じはしたが、まずは報告が先だなと、現実逃避をしていた


気がつけば街を出て4日目になるのだが、帰る日時が迫っている事を誰も気づかづにいた


街ではアライズ達がリウ達の帰りを不安そうに待っていたのだが、リウ達は『白銀龍』を順番に抱き締め、撫でる事で2~3日のハードな行動を忘れようとしていた、この後、「身体強化」と「速度強化」を駆使し、魔力を纏いながら徹夜で森を抜け、朝方街へ到着するのだが、それは今回のクエストの中では些細なことであった、街へ着きギルドの報告をすることなく、2日間寝込むのだが・・・それはまた別の話であった


一軒家に戻ったリウ達は、アライズ達に今回のクエストの事を簡単に話し、小型犬サイズになっている『白銀龍』を紹介し、そのまま寝落ちする事になった

『白銀龍』は眠り続けるリウの傍を離れず、ずっとそばに座っていた


アライズ達も戻ってきたリウ達の傍で、みんな無傷で戻ってきた事を喜び、そして、新しく『白銀龍』が仲間になった事を素直に喜んでいた

シルキーとミルキーは『白銀龍』を抱きしめながら、リウ達が目覚めるを待っていた、今は疲れて寝ているだけなので、無理に起こそうとはせず、起きたら一番に今回のクエストの事、『白銀龍』の事を聞こうとしていた

シルキーとミルキーは龍という存在の大きさを知らないので、普通の小型犬の様に接していたが、アライズ達は敬うように接していた


一軒家へ戻ってきて3日目の昼頃、リウ達は目覚め、ギルドへ報告へ向かうのだが、報告内容が予想以上の無いようなのでギルド職員は首を傾げる事になるが、それはリウには関係のない話だった

『白銀龍』クエスト完遂です

あいかわらず、寝込みまくりの『アイギス』です

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