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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
91/354

0-91クエストと龍の叫びとか

次の日、リウが目を覚ますと隣で、シルキーとミルキーが両側から、リウに抱きつきながら寝ていた

最近ではシルキーとミルキーも同じ部屋で寝る様になったが、リウの隣で寝ているのは初めてかもしれない

リウは2人の頭を撫でながら起きだす、部屋の中ではメンバーみんな寝ていたが、起こさないようにリウは部屋をでて、庭に座りながらMAPを展開し、森を観察していた

森の奥の赤マーカーは動く事無く存在していた、それ以外の赤マーカーも街の周囲に30つの反応があり、森の中にも4つ・・・、奥の1つは龍か


「森の調査の前に、街の周囲の討伐が先か・・・」


腐敗した山犬や黒熊は、生きていた頃よりも単調な攻撃しかできないという話だった、その為ランクが低くても集団で討ちとる事が可能という話だった

今回はランクCとランクDのパーティーが森の調査へ向かうが、その前に街の周囲を片づけた方がいいのかもしれない・・・

もしくは、『アイギス』だけが街の周囲の連中を倒してから森へ向かえばイイか・・・


そんな事を考えながら、リウは左手に具現化魔法の盾『イージス』を展開していた、『イージス』は最強をイメージした盾であり、邪悪や天災を祓う力があるという盾と具現化した最強の盾

見た目は半透明なクリスタルな盾だけど、今日まで『アイギス』を守ってもらった盾、龍相手でも通用するかはわからないが・・・

今回は『イージス』の邪悪や天災を祓う力で、龍の呪いが祓えればいいんだがなぁ、ノノ達にもリウと同じイメージで『イージス』を教えたし、この力を使うのは最終手段だな

リウは『イージス』を一軒家を包むイメージで展開する、半透明なクリスタルが一軒家を包む光景は、非現実的であり太陽の光があたり神秘的な輝きをしていた



暫くすると、アライズ達が起きだし、調理場の方から美味しそうな匂いがしてくる、ノノ達が朝の修練の為に庭にやってくる、リウの展開した『イージス』を見つめ、自分達も手の中で『イージス』を展開し、リウの展開した『イージス』と見比べていた

そこでリウは『イージス』のイメージをもう一度ノノ達に伝えた


『イージス』とは、飛んでくる矢を防ぎ、大剣の一撃に耐え、鉄槌の衝撃を受け流し、全ての衝撃から守る最強の障壁という名の盾である事を、そして、神話の時代に神でさえ傷をつける事が出来なかった事を、邪悪や天災を祓う力がある事を、それが左手に具現した最強の盾『イージス』である事を・・・


そして、イメージで一軒家を包む事が出来る事を、それを聞き、ノノ達は『イージス』を解除し、想像したイメージを展開する、それは先ほどと違いリウの『イージス』に近いを左手に展開していた・・・

ノノとココとジャンヌ、それに話を聞いていたクラシスとリズも同じように左手に小さくではあるが『イージス』を展開していた


それを見てリウは一軒家を包んでいた『イージス』を解除し


「やっとみんなも『イージス』を完成したね、それが僕が創造した盾だよ」


リウはにこりと微笑みながらノノ達を見つめる

ノノは展開している『イージス』を見ながら


「これがリウの力なの・・・?」


「それは違うよ、創造はしたけど、それはノノの力だよ。『イージス』は最強の盾、みんなを守る盾、ノノがみんなを守りたいと思ったから完成した盾だよ」


リウはそう言いながらノノの頭を撫でていた


「みんなもそれは、みんなが思い創造した力だからね。出来ればみんなを守る最強の盾であってほしい、今日のクエストでも『イージス』は僕らを守ってくれると思うし、さっき言った「邪悪や天災を祓う事」を考えて欲しい、これが『アイギス』の切り札だからね」


ノノ達は展開した『イージス』を見ながら、盾に「邪悪や天災を祓う・・」とイメージを付加していた、暫くすると展開していた『イージス』は一瞬光輝き、元の半透明なクリスタルな盾になっていった・・・


「どうやらイメージの付加が出来たみたいだね、これで最強の盾からもう一段上の盾になったはずだよ、今の感じを忘れないようにしてね」


よし、ノノ達の『イージス』はリウの『イージス』と同様の性能を持つ事が出来た、6人の『イージス』があれば今回のクエストは失敗する事は無いだろう、そして、もしも龍の討伐にクエストが変更になった場合は・・・

その辺の事は考えるのは止そう・・・、そうなった場合は逃げるか命をかけるしかなくなる



その日の朝ご飯はいつも通りの食事で、これからクエストへ向かうとは思えないほどの穏やかな食事だった、食後の紅茶を飲み、リウ達は装備を整え、商業者ギルドへ向かう

家を出る前に、シルキーとミルキーの頭を撫で、2人にリウが使っていた小型杖とリウ達とお揃いのマントを手渡す、2人は嬉しそうにマントを装備し、小型杖を大事そうに抱き、嬉しそうにリウに抱きついてくる、リウはぽんぽんと頭を撫でながら、商業者ギルドへ向かう


「それじゃ、後の事はアライズ達に任せます。何かあれば地下室に隠れて下さい。馬小屋も馬車置き場も頑丈にしたし、大丈夫だと思いますが、無理はしないでダメな時は、5人で逃げる事も考えて下さい」


それを聞いたアライズはにこりと微笑み


「大丈夫です、この一軒家は『アイギス』の拠点である前に、みんなの家ですから、これほど堅甲で頑丈な建物はこの街にはありません、この家が潰された時は街が崩壊した時です・・・。それでも地下室は耐えられるはずです、なので家がつぶれた時は、地下室の扉を開けて下さいね~♪」


アライズはそう言いながら、笑顔でリウ達を見送ってくれた


「任せて、そうならないように僕達が行くんだからさ」


リウ達は手を上げながら商業者ギルドへ向かう

アライズ達はリウ達が見えなくなるまで手を振り、一軒家へ入り、入口の扉に鍵をかけ、外部からの侵入を防ぐ事をし、籠城の構えを取った




リウ達は商業者ギルドへ赴き、ギルドマスターを訪ねにやってきた

ギルドの受付嬢に話をかけ、すぐにギルドマスターに会う事が出来た


「どうも久しぶりです、『アイギス』です。それで話したい事があるという事ですが・・・?」


「あぁ、リウは久しぶりだね、シルキー達は元気かい?出来ればあの2人には街を離れて欲しかったが・・・。今となってはそれは無理な話だね・・・。そう話したい事言うのは、『アイギス』に森の調査をお願いしたい、森の奥にいるという龍の確認と、動く死骸の討伐、それと街の周囲の安全の確保・・・」


「その話は昨日ギルドの職員から聞きましたが、やる事が増えてませんか?」


「今朝がた門番が確認したが、街の周囲に動く死骸が集まってきていて、街からの脱出が不可能と言われてね・・・。対応する冒険者パーティーにもお願いしているが、街の周囲に数にして30弱の死骸がいるみたいなんだ・・・、生前よりも弱体化しているみたいだが、みんな尻込みしていてね困っているんだよ」


「では、1つだけ聞きたいんですがいいですか?」


「なんだい、答えられる事なら答えるけど?」


「では、今回のクエストの最優先は何ですか?街の安全ですか?森の調査ですか?龍の対応ですか?」


「・・・それは本当の事を言うと、龍の対応なんだが、その事は数日前に周囲の街に高ランクの冒険者の派遣を依頼してはいるが、未だに冒険者が来ない状況なんだ・・・。出来れば『腐敗龍』になる前に何らかの対応が出来ればいいんだが・・・」


リウは話を聞き、メンバーを見渡し


「では、『アイギス』としては森の調査と龍の対応をします。街の周囲の事は、他の冒険者にお願いします。龍の対応と言いましたが、倒すのは無理なので確認後帰還します。そして、街を放棄するかを決めて下さい」


「それはいいが、危険すぎる気がするがいいのかい?」


「はい、確認後し逃げるだけなら、うちのメンバーは大丈夫です。それにランクCとDに龍の討伐を期待しないでください。これはあくまで確認作業で、それ以降の事は両ギルドの対応にかかってるんですから・・・」


「わかった、今回のクエスト報酬についてはランクAの冒険者のクエスト報酬と同額か、それ以上の報酬という事にしよう」


「では、今から『アイギス』は街を出て、森へ向かいます。それと街の周囲の死骸の討伐は、街を囲む土壁の上からでも魔法で倒せると思いますよ。それじゃ、調査は4日くらいかかりますので、それまで街の安全はお任せしますね」


リウ達はそう言って商業者ギルドを後にする

リウはギルドを出てから、クラシスとリズに勝手に話を決めた事を誤った


「今回色々決めてごめんな、危ないと思ったら2人はノノ達を連れて街へ戻ってきてね」


「リウ、それはあの状況ならしょうがないよ。それに死骸が怖くて攻撃できないとか・・・冒険者としてはダメな方よ」


「それとリウを置いて逃げる事は無いわ。逃げる時は全員でね」


クラシスとリズの話を聞き、ノノ達は頷き、にこにこしながら


「それにリウは今回の事はそんなに難しくないと考えてるでしょ?」


ノノがリウにそんな事を言ってきた、クラシスとリズは「そうなの?」って顔でリウを見ている


「まぁね、今日の朝にみんなの『イージス』を完成させたのは、龍に『イージス』で龍の呪いを解除するのを考えてたんだよ、そうすれば最悪『腐敗龍』になる事は無いわけだし、今の腐敗し弱っている状態の龍なら倒せないまでも追い返せるんじゃないかと思ってね」


リウのその言葉に、クラシスとリズは少し考え


「それはやってみないとわかんないけど、龍はそんな事で追い返せるとは思えないけど・・・」


「それに龍は存在自体が天災である、このことは世界の常識であり、確信なのよ?」


「そっか、ならその考えを壊しましょ。それでもダメなら逃げればいいじゃん。『アイギス』は最強の盾を持つパーティーなんだよ。倒せないまでも耐える事は可能だしね~」


リウの少し楽天的な考えに、ノノ達はにこにこしながら話を聞き、クラシス達は常識を壊す気で龍に向かうリウの姿がまぶしく見えた

そして、「しょうがないわね」と呟き


「わかったわ、それじゃ、森の奥まで一気に駆けていきましょ」


「街を出て、最短で龍の前に辿り着く、それが今回の『アイギス』のクエストでいいわね」


「うん、それくらいシンプルな作戦の方が僕ららしくていいね」


ノノ達も頷き、門の前で「身体強化」と『速度強化」を唱えていた

そして、門を出て、リウ達は魔力を纏い、全力で森まで駆けていく


目の前の死骸に目もくれず、ただ森の奥を目指し、駆けていた

リウはMAPを展開し、迷うことなく龍を目指し駆けていた

途中で死骸な冒険者を見た気がするが、相手にせず駆けていく

ここから最短距離で2日かかるので、途中に野営をする事になるが

死骸が徘徊する森の中では、前回までの簡易陣地は危険があるので

ダンジョンで作成した感じに、地面から3mの高さに盛り土をし、その上に簡易陣地を作成した、森の木々の上に作成したので、知らない人が見れば、突然森の奥に砦が出来たように見えたかもしれない

そんなことはリウ達は知り得なかったが、次の日にはその砦が消えていたので、錯覚だという噂が流れたほどだった・・・


街を出て2日目の昼頃、リウ達は龍と対面する

それはギルド職員から聞いた内容と同じだったが、腐敗し動けないでいる龍は悲しそうにリウ達を見つめていた

近づけば攻撃され、そのたびに龍は目を閉じ、声にならない叫びを上げていた


そんな龍にリウは近づき話しかける、ノノ達の停止を振り切り、リウは龍に近づいていく

リウは無意識に『イージス』を展開し、龍の攻撃を耐えつつ、話しかける


「なんでそんな泣きそうな声を上げているんだ?君は龍なんだろ?」


その声は、ノノ達には聞こえなかった、龍にのみ聞こえた・・・

龍はリウの声を聞き、自分が叫んでいる事を知る

無意識な事だったが、龍はリウ達にこの場から逃げて欲しかった

この場は龍の意識とはかけ離れた、ある意味地獄のような場なのだから・・・

森へ調査に出かけ、龍との出会い

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