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器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
90/354

0-90森の異変の正体とか

森の奥に佇むものはモノは自身の身体を見ながら嘆いていた

本来の白銀の身体は、所々腐敗し、自分の意志では動かせない

自身の考えとは別に、身体が言う事が聞かない状態であった

その佇むモノは、この世界では『白銀龍』と言われる存在だった

それが今や白銀と言われた身体は、腐敗が進み、肉は爛れ、蟲に浸食されつつあった

何故こんな事になったのか『白銀龍』は知ることは出来なかった・・・

このままでは『腐敗龍』に落ちてしまう、その前になんとかして他の龍に殺してもらう必要があったからだ


『白銀龍』の周りには、山犬・黒熊・キラーハントの死骸が、散らばっていた

『白銀龍』が倒したのではなく、身体が近づく生きモノを殺してしまった後だった

ただ、殺しただけ、食料にするだけでなく、動くものに攻撃をした・・・その結果だった

森の調査に向かった冒険者の亡きがらも、その死骸の中にあったが、それを確認する事は『白銀龍』には不可能だった

それほど『白銀龍』は動けず、自身の周囲を確かめる事は無理であった


暫くすると、死骸の山犬が動き出し街へ向かって歩き出した・・・

砕けた足を引きずるように、山犬の目が赤く光っていた

次に黒熊が・・・、キラーハントが・・・、最後に死んだはずの冒険者が街へ向かい、這うように臓物を撒き散らしながら、赤い眼光で街へ近づきあった・・・


森での異常を街の住民が知るのは、森へ調査の調査が終わった3日後の夕刻時、街道を走る冒険者の馬車の御者が、腐敗した山犬に襲われたと、門番に告げた事により、冒険者ギルド・商用者ギルド・街の住民に知れ渡る・・・


ギルドの職員は緊急会議を開き、上位ランクの冒険者に森への討伐依頼を発行したが、その時に街にランクA・Bの冒険者は街を離れ避難した後だった

その後の対応は、街の門を閉じ、籠城をするというものだった


この時『アイギス』のメンバーは一軒家で普段通りの生活を送っていた

前の街の様に緊急警報が鳴る事も無かったので、森の異変と街の異変を知るのは、次の日に商業者ギルドの使いの職員が来るまで知ることは無かった・・・


ただ、リウはMAPを見ながら、森の奥の赤マーカーの周囲に、突然現れた赤マーカー34つの反応には気がついていたが、反応の正体までは知る事が出来なかった




次の日は、リウ達はいつも通り朝の修練をし、一軒家で通常の生活をしていた

一軒家が街の外れにあるという事で、避難する住民やそれに対応するギルド職員、冒険者などがいる事知らなかった

それは一軒家の1Fの壁を石材で補強した事により、防音性が良すぎる為に、街の変化に気がつきにくかった


その変化を知ったのは、午前中に庭で魔法の修練をしていた時だった

突然、一軒家の扉を「ドンドン」と叩く音で、来客が来た事を知り、その時初めて森の異変と街の異変を知る事になる


一軒家に訪れたギルド職員は、『アイギス』に森の調査を依頼してきた

それは街に滞在している全冒険者パーティーに依頼しているという事だった

上位ランクには森の調査を、下級ランクには街の防衛を、『アイギス』はランクCが2人いる事で森への調査をお願いされた

たた、ランクFとGがいる為にアライズ・アリサ・アンナ・シルキー・ミルキーの5人は一軒家での留守番のお願いした

『アイギス』の拠点と帰る場所を守ってもらう事で5人には納得してもらった


「森の調査はわかりましたが、この街の上位ランクの冒険者はどうしたんですか?一度は森へ行ったんですか・・・?」


リウの当然と言える質問にギルド職員は


「依頼しましたが、森へ向かったと思われた冒険者は依頼を破棄し、街を離れたという情報が入ってます、冒険者の拠点は荷物や食料などが無くなっており、拠点を捨てどこへ行ったのやら・・・」


「まさか上位ランクの冒険者に依頼しないのは、全員逃げたんですか?」


クラシスはランクCに依頼が来た事を不審に思い、もしやと思って聞いてみたら・・・どうやら逃げたみたいだな

ギルド職員は困ったように項垂れて


「そうです、森の調査結果を聞き、夜のうちに街を離れた冒険者もいます、依頼を受け森へ向かうふりをして、街を離れた冒険者もいます」


リウ達は上位ランクが逃げるという調査報告を聞いてみた


「それで森で何があったんですか?上位ランクが逃げ出す事態ってどういうことなんです?」


ギルド職員は言いずらそうに話し始めた、森での調査隊の報告では、森の奥に龍がいた事、その龍は腐敗していた事、龍の周りには山犬や黒熊やキラーハントの死骸がある事、そして、龍が彼らを襲ってきた事、逃げる為に冒険者の半数が龍に倒された事を教えてもらう

それを聞いたクラシスとリズは、今の『アイギス』では龍に立ち向かう事は不可能だと言い、街からの脱出を進言したが・・・


「クラシスとリズの意見は当然だけど・・・、多分逃げたら街は壊滅するんじゃない?それじゃあ、後味悪いしさ、それにダメなときは森から街まで土壁を作って街へ逃げ込めばいいんじゃない?」


「『アイギス』だけでも腐敗した山犬や黒熊・キラーハントは倒せるけど・・・、龍は無理よ、あれは生きモノというより天災のそのものだから・・・」


「はぁー、今の話では森の調査って話しだし、龍の討伐をしろって事じゃないなら受けてもいいか・・・」


「それで、森への調査は明日からでいいですか?準備もあるし、うちのメンバーのMPも回復させたいし・・・」


「それについては商業者ギルドに出発前に来てください、ギルドマスターが話したい事があるそうです。それと今回の依頼は両ギルドからの依頼です、依頼内容を聞き、この街の為によろしくお願いします」


ギルド職員は深々と頭を下げてから一軒家を後にする


ギルド職員から聞いた内容は、『アイギス』には無理な内容であったが、他の冒険者パーティーと合同でやればなんとかなりそうな気もするが・・・


「それじゃ、今日は修練は止めにしよう、MP回復や体調を整える事にしよう。アライズ達には料理を作ってもらいたい、ココのアイテムボックスに保存して、無理で食べるからさ~」


「はい、いつもの食事を用意しますね~」


そう言ってアライズ・アリサ・アンナ・シルキー・ミルキーは調理場へ向かう

リウは明日の事を考え、ノノとココとジャンヌに道具屋へロープと薪を大量に購入して欲しいと告げ、3人は急いで道具屋へと駆けていった


「なんでロープと薪なの?」


「腐敗し山犬とかが相手だし、ロープで縛って薪で燃やせば倒せないかっておもってさ、腐敗してるにしろ死者は弔ってやりたいしね・・・」


「ロープで縛るのは聞いたこと無いけど、腐敗したモノには火属性の魔法が効くって聞いたことあるわ」


「それを言うなら聖魔法か、光魔法じゃないの?」


「どっちも普通の冒険者が覚えてるわけ無いでしょうに」


リウは初めて聞く属性の魔法に驚き


「そんな魔法があるんだ・・・、けど燃やすだけなら薪でもいいでしょ」


「山犬や黒熊・キラーハントはそれでいいとして・・・冒険者はどうする?死者の相手はノノ達にして欲しくないけど・・・」



「その辺は僕が担当するよ、落とし穴で地下に落として燃やそう・・・。3mの深さなら脱出は不可能だし、一晩中燃やせば火葬として弔う事にもなるでしょ」



「そして問題は龍か・・・、本来龍は人里には近づかないのに、こんな傍まで近づいてるという事、それと腐敗している事が問題ね、腐敗は攻撃による傷からなのか、それとも呪いによる物なのか・・・」


「呪いなら龍は意識がある状態で動けないという事、傷からの腐敗なら今後『腐敗龍』となって災厄を振りまく天災になるという事、どちらもランクC・Dの依頼じゃないわよ・・・」


「意識があれば対処できるの?」


「それはどうだろ・・・、龍に呪いをかけれる存在は龍しかあり得ないし、それ以上の存在を私は知らないわ・・・」


「もし本当に『腐敗龍』になったら街の住民を見捨てでも、アライズ達を連れて逃げる事になるわ、それがシルキーやミルキーの故郷でもね・・・」


「それならあまり時間は無いかも知れないね、死骸が動き出したという事は、龍が龍で無くなってきている事になるし、最悪『イージス』を全方位に展開して逃げる事も考えないとダメかもね」


リウ達は明日の調査について話し合ったが、森へ行ってみないとわからない事ばかりで不安要素しかない事を知る

それとアライズ達5人で一軒家を守るという事で、一軒家全体にも補強をリウ達3人は行っていく、黒熊の一撃にも耐えれるように、大猪の突進にも崩れないように・・・



その頃、アライズ達はいつもよりも手をかけ料理をしていた、森へ向かうリウ達の為に、それとリウ達が森の中でもいつも通り食事が出来る様に、それは『ひよこ亭』でアライズ達がいつもやっていた事だったが、それに気づくことは無かった

シルキーとミルキーも森へ向かうリウ達の事を思い、料理の手伝いをし、無事に帰ってこれるよにと願いながら手伝いをしていた


ノノ達はリウの頼まれたロープを選んでいた、なるべく丈夫で切れにくいロープを選び、それと大量の薪を購入し、どちらもココのアイテムボックスに保存し、帰宅する、街の中はいつもよりも静かで、街に中を歩く住民や冒険者も少ない気がしていた、街全体が不安を感じているのかもしれない


ノノ達は不安を振り切る為に、いつも通りに露店で焼串を買い、お土産分と食べ歩き分を購入し、一軒家へと戻るのだった


明日は森へ調査へ出かける、『アイギス』としては格上のクエストとなり、無事に戻れるか不安ではあるが、リウが不安そうにしてない事をノノ達は知っていた

それだけで明日は普通どおりにやれる気がしていた



その日の夜は、当たり前の様にみんなで晩酌をし、少しだけ騒ぎ、寝落ちするように眠る事になる


明日は一世一代のクエストがあるのに、普通に過ごしている事を他の冒険者は知らない・・・

寝れずに過ごしている冒険者がいる事を、寝れずに対応しているギルド職員がいる事を、全ては明日知る事になるが、それは別の話だった

『白銀龍』と『腐敗龍』が出てきました

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