表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
器用貧乏な漂流者  作者: 與吉
86/354

0-86『アイギス』見習い加入とか

一軒家の掃除も終わり、リウ達は各部屋にベッドを購入したりした


ただ、一軒家なのに寝る場所は、リウの部屋に大きい布団を4組敷きメンバー全員で同じ部屋で寝るのだった


この事についてリウはメンバーに聞いても、反対意見は無く寝る場所は、元リウの部屋になる


それとクエストやる上で問題もあった、薬草採取で森へ出かけると最短でも半日は、馬への餌やりが出来ないという事だった

その為に、薬草採取は街の近くに限定して行っていた

それでも何度も薬草採取をしてアライズとアリサとアンナはランクFになっていた

3人は無属性魔法の「身体強化」と「速度強化」を修練し、森の散策でもリウ達についていける様になる、リウから見てもアライズ達の成長は早く、もう少しで『ボルト』も撃てそうな感じがしていた


薬草採取で一軒家に誰もいない事を、リウやノノ達が気にしていたので、ギルドへ相談に行って、一軒家に人を雇う事になる

それは商業者ギルドからの人材派遣という事で、馬の世話や家の留守を守る人材を雇う事だった、そのへんはクラシスとリズに任せ、暫くするとギルド経由で2人の少女を紹介された


2人は姉妹という事で、馬の世話や一軒家の留守を守る事を条件で雇い入れた

2人とも黒髪で姉が12才、妹が10才だった

2人は孤児という事で、ギルドの手伝いをしながら街で生活していたが、今回の『アイギス』の人材派遣を聞き、ギルドマスターにお願いしてやってきたと言っていた


「初めまして商業者ギルドからの人材派遣できました、シルキー12才です」


「初めまして商業者ギルドからの人材派遣できました、ミルキー10才です」


2人は自己紹介をし、ぺこりと頭を下げた、ギルドの話では仕事は出来る優秀な人材という事だったが・・・、少し若い気がするが大丈夫かな?

そんな2人を見ながらリウは『アイギス』の紹介をし、この一軒家での仕事について説明を始める


「初めまして『アイギス』のリウです、それとメンバーのノノ・ココ・ジャンヌ・クラシス・リズ・アライズ・アリサ・アンナです。ここでの仕事内容はギルドで聞いてた思うけど、改めて説明するね」


シルキーとミルキーは『アイギス』メンバーの紹介を聞きながら、顔と名前を覚えているみたいだった


「この一軒家は『アイギス』の拠点として使用するけど、クエスト時にするになる事が多いから、その時に馬小屋の2頭の馬の世話と、来客の対応をお願いしたいんだ」


「その事ですが、それ以外の仕事は無いんですか?屋敷の掃除や食事の準備などが含まれていないのが気になったんですが?」


シルキーの隣でミルキーが話を聞きながら頷いていた

どうやら屋敷の仕事と聞いて、仕事内容が違っていたのを気にしている風だな


「その事だが食事はアライズ達3人が担当してくれてるし、ノノ達も食事は作れるんだ、掃除もメンバー全員生活魔法で清潔に保てるし問題無いんだよ」


「それでは私達はクエストの時だけ屋敷を訪ねればいいんですか?」


シルキーのその一言でミルキーは心配そうにリウの言葉を待っている


「出来れば今日から住み込みでお願いしたい、もちろん2人とも家の1室で生活してもらうけどね。この家も掃除をしてやっと住めるようになって、部屋は空いてるし出来れば僕達と一緒に食事をして欲しいし」


「そこまでしてもらってはギルドマスターに叱られます、待遇が良すぎますし、あとあと問題になるかもしれません」


「そっか、僕ら的には安心して2人に生活してもらいたいんだけど・・・」


それを聞いてクラシスは


「それなら、最初は仕事を見て、問題が無いなら『アイギス』の見習いメンバーとして加入させれば?」


今度はシルキーとミルキーが不安そうにリウ達を見ている

2人はギルドから派遣はされたが、見習いとはいえ冒険者になる事に不安があるみたいだ

見習いでも『アイギス』として加入すれば、2人は心おきなく仕事が出来るかもしれない


「シルキーとミルキーはどうする?ここで仕事をしてもらうけど、良かったら僕らと一緒に『アイギス』をやらない?」


シルキーとミルキーは突然の事で驚いている、ギルドから仕事を紹介してもらったはずなのに、仕事をしに来ていきなりパーティーに誘われれば驚くのも無理は無いな

少しだけ考えシルキーがリウに話しかけた


「私たち2人はギルドから仕事でここに来ました。いきなりパーティーに誘われても返答に困ります。それに2人とも冒険者をやれるほど強くはありません、住み込みでの仕事は嬉しいですが、加入は少し待ってもらえますか?一度、ギルドマスターに相談したいし、ここでの生活や仕事をしてからでいいでしょうか?」


シルキーは自分の状況を考え、これからの事を一度ギルドマスターに相談しつつ、生活や仕事、妹の事を考えなければいけないと思っているみたいだ

シルキーは12才という事だが、ひょっとしたらすごく頭の回転が速いのかとリウは思いはじめていた


「そうだね、急にいろいろな事を言われても困るのは当然だ。それじゃ、今日から仕事をしてもらうけど、馬の世話と部屋については、ノノ達に任せて大丈夫かな?」


「任せて~」


「案内と世話の仕方を教えます、家の案内も一緒にするとして、住み込みの部屋は2Fの部屋ならどこでもいいかな?」


「そうだね、ベッドが2つ置ける部屋があったはずだから、そこを案内してあげて」


「クラシスとリズは、シルキーとミルキーにお揃いのエプロンを購入してもらいたいんだけどいいかな?」


「いいけど、なんでお揃いのエプロンなの?」


「2人の服装を揃えるのは、やりすぎの様な気がするし、エプロンなら揃えても反対されないと思って・・・」


「なるほどね・・・、そのへんは任せて~」


「それじゃ、ノノ達は2人をお願いね。クラシス達も買い物をお願いね」


「了解~」


ノノとココとジャンヌはシルキーとミルキーを連れ馬小屋へ向かい

クラシスとリズはエプロンを購入する為に買い物へ出かけていった

家の中にはアライズとアリサとアンナとリウが部屋の中で紅茶を飲みながら、さっきの待遇の問題を話し合っていた


「さっきシルキーはここの仕事が待遇が良すぎるって話をしたけど・・・そうなの?」


「そうですね、屋敷での仕事は住み込みでやる場合はありますが、屋敷での住み込みはあまり聞いた事がありませんね」


「もっとも住み込みで雇うなら専属のメイドを雇うと思うので、『アイギス』の一軒家の仕事はギルドの想定外だと思いますよ」


「ギルドとしても馬の世話に、来客の対応なら屋敷じゃなく、離れでの生活を想定していたはずです。それに食事も一緒とは思ってないはずだし・・・」


「なるほど、確かに待遇がイイと思うのはしょうがないな。ただ、大事な馬の世話や来客の対応を任せるんだから、住み込みは当然だしなぁ」


「その辺は2人の仕事ぶりを見て考えましょう、多分『アイギス』の生活は普通以上の環境だから私達が変わっているのかもしれないし」


「それはあるかも、ここでは街での生活水準よりも格段に上がってる気がするし」


「私はここで不安な事は無いし、他での仕事の方が不安で」


どうやらアライズ達は『アイギス』の生活に染まってきているみたいだな



暫くするとノノ達がシルキーとミルキーを連れ、一軒家の案内をしている

アライズ達はご飯の下準備を始め、リウは庭の掃除を始める

広い庭なので、雑草を刈りながら、ここで毎朝の修練ができれば気持ちいいだろうなぁ・・・なんて考えながら雑草を刈っていく

庭の2割くらい雑草を刈っているとノノ達も庭にやってくる


「おつかれ、案内は終わったの?」


「はい、馬の世話も部屋の案内も終わったよ」


「庭掃除を手伝う~」


ノノ達はリウと一緒に庭掃除を始める

シルキーとミルキーも手伝いたいが、一緒に仕事をしていいか悩んでいるみたいだったので


「2人も庭掃除を手伝ってもらっていいかな?」


「「はい」」


シルキー達もノノ達の仕事を見て、一緒に庭の雑草を刈り取っていった

庭掃除っをしながら、この場所で明日の早朝の修練について話しておく

ノノ達は綺麗になっていく庭を見ながら、少し楽しそうに草を刈っていく

シルキー達は早朝の修練についてリウに聞いてみた


「早朝の修練は『アイギス』の恒例行事みたいなものかな?朝ご飯の前に、棍の修練や魔法の修練をしてるんだよ。2人もやってみる?」


「それで魔法を使えるようになるでしょうか?」


「魔法の基礎は教える事は出来るけど、修練は日々の積み重ねだからね。僕やノノ達は修練をして、今では中堅クラスになったし、シルキーやミルキーが魔法を覚える事は不可能じゃないよ」


シルキーとミルキーは、まだ自分達が何を出来るのか知らないので、少しでも自分の力をつける為に、明日からの早朝の修練に参加する事になる



昼時になってクラシスとリズが帰ってきた

クラシス達はエプロン以外にも、作業着も3着に靴も購入してきて、さっそく着替えをしてもらった、汚れてもいい様な服装という事で購入してみたいだった

シルキーとミルキーは、作業着とエプロン、靴を大事そうに抱きしめ、部屋に置きに行った

これで今日から2人はここでの生活が始まる


昼ご飯は、アライズ達が準備したが後片付けはシルキー達が担当して行った

それとアライズ達とクラシス達に明日の早朝から庭での修練をする事を告げる

そして、シルキー達も一緒に修練に参加する事も教えてやった


午後からはリウ達は庭掃除をし、クラシスとリズは来客用に扉の隣に、小さなドアを設置し、屋敷に入らずに対応できるように土壁を加工し始めていた

リウはドアの先に小さな子窓が見えたので、銀行の窓口みたいと思ってしまったが、ここで言っても誰も理解しないと思い、声に出さなかった・・・


「よし、これで来客の対応はこれで大丈夫」


「客といってもギルドからしか来ないから、これで十分よ」


不審者対策は、シルキー達でも対応できるように早朝の修練にかかってるな

屋敷にセーフティールームを作るのもいいが、そうならないように考えないとな




その日の夜からシルキー達は『アイギス』の一軒家に宿泊する事になる

食事ではアライズ達の作る料理に驚き、早朝の修練の厳しさに疲れ果て、少しずつシルキー達は力をつけていく



シルキー達が『アイギス』の一軒家に来てから、10日が過ぎたあたりで、シルキーとミルキーは商業者ギルドにリウと一緒に訪れていた

それはギルドからの人材派遣で『アイギス』で仕事をしていたのを、ギルドマスターにこれからの事を相談する為だった

商業者ギルドに着くと、リウは受付嬢に今回の人材派遣についての相談として、ギルドマスターに面談を持ちかけた


「すいません、突然押し掛けてしまって・・・」


リウは商業者ギルドの受付嬢に、ギルドマスター面談をお願いし、少しの時間なら問題ないという事で、ギルドの奥の部屋へ通してもらう

シルキーとミルキーは緊張した表情でリウの後を歩いている

受付嬢の後ろをリウが歩き、扉の前に案内される、コンコンと受付嬢がノックする


「マスターいいですか?」


「どうぞ、開いてるから入ってきて」


そう言って受付嬢は扉を開け、リウ達を部屋へ通す

ギルドマスターの部屋は、閑散とした部屋になっており、来客を迎え入れる風にはなっていなかった、リウは部屋に入り、ギルドマスターの机の前まで行き、話し始める


「それで『アイギス』に派遣した人材についての相談という事だったが?」


「そのことですが、シルキーとミルキーをうちの『アイギス』に見習いとして加入したいのですが?」


ギルドマスターは険しい表情で、リウを見つめながら話し始める


「それは冒険者の一員として2人を仲間にしたいという事かな?それともこの街にいる間だけ仲間にしたいという事かな?」


「最初は一軒家の留守を守る為に見習いメンバーとして仲間にしたいと思いましたが、最近では『アイギス』の修練にもついていけるほどの実力をつけました、それは留守の間に自分を守れるようになって欲しくて修練をしていましたが、今では初心者冒険者並みに強くなりました、僕達は1つの街に永住する事は今は考えていません、短ければ半年で街を離れます、出来ればその時に2人にはついて来てもらいたい。そう考えて今日はギルドマスターに相談しに来ました」


「今の話を聞くと、これからずっと仲間にするように聞こえるんだが・・・、それなら見習いというのはおかしいんじゃないか?」


「それは12~10才の冒険者を他の冒険者が納得しない可能性があるからです、ただでさえうちのメンバーは女性が多いので、表立って言わないだけです。それに2人が成長し『アイギス』を卒業しても生きていける様に、スキルの修得をするつもりです」


「卒業とは冒険者を辞めた後という事か?それとスキルの修得?」


「はい、うちのメンバーは冬の間は仕事に困らないように、ポーションの作成を出来ます。それと料理スキルや解体スキルも修練してます。冒険者家業は死ぬまでやる仕事じゃないので、メンバーには最低でもポーション作成は覚えてもらってます」


「うむ、1つ聞きたいが、そこまで考えていて、なぜ私に相談に来たんだい?そこまで考えていたなら相談しなくても加入してもいいと思うが?」


「それは、2人が12才と10才だからです、世間体で騙されて加入したと思われては嫌なのと、2人の親代わりなのはギルドマスターだと思ったからです」


ギルドマスターは「ふぅ」ため息をしつつ、イスに深く座り、目を瞑りながら考え始める、確かにリウのいう事も理解できるが、2人の意見を聞いてからじゃないと、答える事は出来ない気がし


「それでシルキーとミルキーは、どうしたいんだい?私は今回の話は賛成だが、2人はどう思ってるんだ?」


「私はこのまま『アイギス』で暮らしたいです、最近では初級魔法も修練しましたし、いつまでミルキーと一緒にいたいです」


「私もお姉ちゃんと一緒に『アイギス』で暮らしたいです、まだ、留守番しか出来ませんが離れ離れは嫌です」


シルキーとミルキーは手をつなぎながら、自分達の考えをギルドマスターに伝えていた


「そうか、それじゃあ、2人の事を『アイギス』にお願いします。2人は私の親友の忘れ形見なので、出来れば私が生きているうちに子供でも見せに戻ってきてもらいたいな」


そういってギルドマスターはリウと握手し、シルキーミルキーの頭を撫でて


「2人とも頑張りなさい、君達はこれからの経験が生きていく糧になる。『アイギス』の噂はこの街でも聞いている、リウ君達についていけば失敗する事は無いはずだ、何かあれば街へ帰ってこい、いつでも2人の事を待ってるからね」


「「はい、いってきます」」


シルキーとミルキーはギルドマスターに笑顔で手を振り、リウと一緒に部屋を出ていく

ギルドマスターは1人部屋の中で、今は亡き親友の事を思いながら、シルキー達のこれからの事を祈り、目を瞑っていた



商業者ギルドを出てからの3人は、手をつなぎながら一軒家へと戻っていった

改めてシルキーとミルキーを『アイギス』に加入するのは、リウとしては新しく守る対象が増えた事で、より一層自分が強くなることを意味していた


「2人は暫らくは留守番だけど、魔力の操作は毎日やってね」


「はい、時間の合間にやってます」


「もう少しで使えそうなんだけど」


そんな事を話しながらリウ達は一軒家へ戻っていく

そろそろ2人にもポーションの作成を教えてもいいのかもしれないな

それに最近ではアライズ達と一緒に料理をしているみたいだし

このまま、冒険者を辞めて、食堂『アイギス』を展開しても生活できそうで怖いな


そういえばギルドマスターの『アイギス』の噂ってなんだろ・・・?

『アイギス』に新加入です、留守番要員として見習い加入

シルキー12才とミルキー10才


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ